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鬼の宴
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~●〇●~
今までの歓声が、悲鳴に代わる。
止まっていた観衆が、必死に逃れようとする。
幸い、だれも大したけがはなさそうだ。
動かしにくい足に鞭を打って、立ち上がる。
砂ぼこりで汚くなった服、鼻緒の切れた草履、
すべてがどうでもよくなるように、息を吸った。
矢は、二個とも同じ方向からきている。
東南東、の、少し南寄り、
刺さっている角度からすると…
目で追うと、そちらから、矢が降ってくる。
「…っあっぶない!」
逃げている群衆めがけて降った矢は振ることはなく、
刹那の刀に薙ぎ払われる。
「ナイス!刹那!群衆の誘導は任せた!」
「え?」
半強制的に刹那を途中退場させようとするライ。
そして、退場したくない刹那。
「僕だって戦いたいし!!誘導ライやってよ!」
「いやーーーやっぱり守る戦いって言ったら刹那でしょ、うん、」
「え…いや、まあ、そうだけど…」
さすが詭弁の天才、そーいうことには頭が回ると…
「そーいうわけで、よろしくな!!あ、あと…」
ボクのちかくにくたばっていたくとをぶん投げる。
きれいに(人間の構造を理解しているのかが怪しまれる体勢ではあるが。)キャッチして、
しょうがないと一息ついて刹那は言う。
「しょーがねえ!群衆の誘導は任せられた!!」
炎の誘導灯は、矢が降る方向には見えないように家の影で隠されている。
群衆はそれに従い、矢の追撃から逃げた。
刹那と群衆たちは、だんだんと過ぎ去ってゆく、
これ以上の追撃はできないと判断したのだろうか、
次は正確にこちらに射ってくる。
「後ろに隠れろ!!」
パーカーの部分を持たれて強引に後ろへ持ってかれる。
ライは降ってくる矢がすべて当たるように、頭蓋骨を召還した。
…やっぱりでけぇな。
「一応あそこにいるということは分かる…でも、やっぱ殴りには行けないか?」
「というか、殴れないでしょ、なりそこないは。」
でも一発殴りたいと真顔で言っているライ、お前も大概刹那の事何にも言えないよな…。
あっちは復讐でこっちは興味の方が強い気はするが。とんとんだろう。
「この札を使うんでしょ…でも、この弾幕じゃあ矢を誘うにも誘えないしね。」
未だに遠くから降ってくる、とどめの無い矢は、一瞬でも出てきたらぶっ殺すという殺気が漏れている。
「カウンター系のお札は意外とポピュラーだ、
そうあい札は知らないにせよ、警戒はしてくるだろう。」
とすると一人は誘導で贄になるしかないか…
考えていると、少し弱まった矢、本当に少しだけだが、
飛んでくるのが少なくなった気がする。
好機ととらえるべきか、又は…
視界の端で、紫色の何かがはじけた。
瞬間。
液体が自分の頬にかかる。
なぜか痛みはない、いや、なぜか、の意味は明白だ。
「…ッツ!ライ!!」
急いで、その方を見る。
右肩に背の方から矢が刺さっていた。
痛そうにそっちの肩をかばっている。
何かしらの能力で方向を転換させたのか?
360度警戒しなくてはいけないとか無理ゲーすぎだろ!!
頬に自分の汗がにじむ。
ライの手当は…できねえよ!そんなことしたことない。
未だにうずくまっているライに、大丈夫かと声をかけるしかない。
返答は、ない。
ライの額はボクよりも汗がにじみ、息は荒くなり始めている。
口を、動かして、何かを訴えている。
えと…に……げ…r
『に・げ・ろ』
認識して、後ずさりする。
それを見て、ボクが分かったと理解したのだろう。
好戦的な、瞳孔のかっぴらいた目で、にやりとわらった。
その時、
矢を起点に、雷が走り出す。
帯電するように…いや、たぶん帯電しているのだろう。
痙攣しながら、苦痛の声を漏らしている。
終わるころには、能力の頭蓋骨も消えて、気絶しているのかその場で倒れた。
追撃のようにライめがけて矢が数十本降ってくる。
考えるより先に、体は動いていた。
かばうように前に立ち、脇差を構える。
すべては、無理だ。
でも、あの札を見分けることはできる。
呼吸、ひとつ
視えろ、ここで視えなくて、どこで視る?
セピアに帰した視界を、もう一度。
紫の、光。3本。
脇差を握りしめて、正確に心臓と利き足と右手を狙った紫を。
薙ぎ払った。
同時に、痛みがやってくる。
薙ぎ払えなかった矢が、自分に刺さった。
「…っおい!!きのすけ!」
目が覚めたのだろう、後ろから焦った声が聞こえる。
脇腹にかすって、左肩と太ももにひとつづつ…かな。
ふしぎと、ボクは冷静だった。
赤い札を、自分の左手に握りしめる。
挑発するように、刀をさっき見えた炎の方に向けた。
「来いよ、臆病者。」
矢が、数十本単位で降ってくる。
自分の勘だが、普通の矢は多分敵には効かない。
あの、紫の矢を跳ね返せれば、たぶん、いける。
数十本の矢を右後ろによける。(後ろにライがいたが多分大丈夫。)
地面に着弾した矢は急所や利き手を狙っているであろう場所のみ紫の札が巻いてあった。
体勢を整えてから大通りの真ん中を走る。
なし、なし、紫、なし、紫…
土に刺さる矢を確認する。
ああ、これ。紫の方がちょっと僕のルートを予想して射っているみたいにちょっと遅い。
多分紫はそんなに連続して打てないんだ。
だけど、それをわからせないようにわざと大量にしているだけだね。
で、急所部分はちゃんと紫だから弱みを見せたら討ってくる、そうしたら…
近くの角で曲がる。
自分は敵に向かって走る形になった。
多分これで、脅すしても狂気的に迫ってくるからって、一本勝負とかで来るはず。
案の定少なくなった矢の本数で、勝利を信じた。
刹那。数本のうち一本が変な方向に矢が飛んで行く。
またしても、紫がはじけた。
そう、迫ってくるからって矢の本数を少なくしたわけではない。
ライに傷を与えたあれで、来るための下準備だったのだ。
だろ?なりそこないさん?
右足を軸にして後ろを向く。
ライの時とは違い見える敵だからか、正確に心臓を狙うその矢には、やはり札が見えた。
軌道上の心臓の代わりに左手に持っていた自分の赤い札を置くと。
見事に、命中した。
今までの歓声が、悲鳴に代わる。
止まっていた観衆が、必死に逃れようとする。
幸い、だれも大したけがはなさそうだ。
動かしにくい足に鞭を打って、立ち上がる。
砂ぼこりで汚くなった服、鼻緒の切れた草履、
すべてがどうでもよくなるように、息を吸った。
矢は、二個とも同じ方向からきている。
東南東、の、少し南寄り、
刺さっている角度からすると…
目で追うと、そちらから、矢が降ってくる。
「…っあっぶない!」
逃げている群衆めがけて降った矢は振ることはなく、
刹那の刀に薙ぎ払われる。
「ナイス!刹那!群衆の誘導は任せた!」
「え?」
半強制的に刹那を途中退場させようとするライ。
そして、退場したくない刹那。
「僕だって戦いたいし!!誘導ライやってよ!」
「いやーーーやっぱり守る戦いって言ったら刹那でしょ、うん、」
「え…いや、まあ、そうだけど…」
さすが詭弁の天才、そーいうことには頭が回ると…
「そーいうわけで、よろしくな!!あ、あと…」
ボクのちかくにくたばっていたくとをぶん投げる。
きれいに(人間の構造を理解しているのかが怪しまれる体勢ではあるが。)キャッチして、
しょうがないと一息ついて刹那は言う。
「しょーがねえ!群衆の誘導は任せられた!!」
炎の誘導灯は、矢が降る方向には見えないように家の影で隠されている。
群衆はそれに従い、矢の追撃から逃げた。
刹那と群衆たちは、だんだんと過ぎ去ってゆく、
これ以上の追撃はできないと判断したのだろうか、
次は正確にこちらに射ってくる。
「後ろに隠れろ!!」
パーカーの部分を持たれて強引に後ろへ持ってかれる。
ライは降ってくる矢がすべて当たるように、頭蓋骨を召還した。
…やっぱりでけぇな。
「一応あそこにいるということは分かる…でも、やっぱ殴りには行けないか?」
「というか、殴れないでしょ、なりそこないは。」
でも一発殴りたいと真顔で言っているライ、お前も大概刹那の事何にも言えないよな…。
あっちは復讐でこっちは興味の方が強い気はするが。とんとんだろう。
「この札を使うんでしょ…でも、この弾幕じゃあ矢を誘うにも誘えないしね。」
未だに遠くから降ってくる、とどめの無い矢は、一瞬でも出てきたらぶっ殺すという殺気が漏れている。
「カウンター系のお札は意外とポピュラーだ、
そうあい札は知らないにせよ、警戒はしてくるだろう。」
とすると一人は誘導で贄になるしかないか…
考えていると、少し弱まった矢、本当に少しだけだが、
飛んでくるのが少なくなった気がする。
好機ととらえるべきか、又は…
視界の端で、紫色の何かがはじけた。
瞬間。
液体が自分の頬にかかる。
なぜか痛みはない、いや、なぜか、の意味は明白だ。
「…ッツ!ライ!!」
急いで、その方を見る。
右肩に背の方から矢が刺さっていた。
痛そうにそっちの肩をかばっている。
何かしらの能力で方向を転換させたのか?
360度警戒しなくてはいけないとか無理ゲーすぎだろ!!
頬に自分の汗がにじむ。
ライの手当は…できねえよ!そんなことしたことない。
未だにうずくまっているライに、大丈夫かと声をかけるしかない。
返答は、ない。
ライの額はボクよりも汗がにじみ、息は荒くなり始めている。
口を、動かして、何かを訴えている。
えと…に……げ…r
『に・げ・ろ』
認識して、後ずさりする。
それを見て、ボクが分かったと理解したのだろう。
好戦的な、瞳孔のかっぴらいた目で、にやりとわらった。
その時、
矢を起点に、雷が走り出す。
帯電するように…いや、たぶん帯電しているのだろう。
痙攣しながら、苦痛の声を漏らしている。
終わるころには、能力の頭蓋骨も消えて、気絶しているのかその場で倒れた。
追撃のようにライめがけて矢が数十本降ってくる。
考えるより先に、体は動いていた。
かばうように前に立ち、脇差を構える。
すべては、無理だ。
でも、あの札を見分けることはできる。
呼吸、ひとつ
視えろ、ここで視えなくて、どこで視る?
セピアに帰した視界を、もう一度。
紫の、光。3本。
脇差を握りしめて、正確に心臓と利き足と右手を狙った紫を。
薙ぎ払った。
同時に、痛みがやってくる。
薙ぎ払えなかった矢が、自分に刺さった。
「…っおい!!きのすけ!」
目が覚めたのだろう、後ろから焦った声が聞こえる。
脇腹にかすって、左肩と太ももにひとつづつ…かな。
ふしぎと、ボクは冷静だった。
赤い札を、自分の左手に握りしめる。
挑発するように、刀をさっき見えた炎の方に向けた。
「来いよ、臆病者。」
矢が、数十本単位で降ってくる。
自分の勘だが、普通の矢は多分敵には効かない。
あの、紫の矢を跳ね返せれば、たぶん、いける。
数十本の矢を右後ろによける。(後ろにライがいたが多分大丈夫。)
地面に着弾した矢は急所や利き手を狙っているであろう場所のみ紫の札が巻いてあった。
体勢を整えてから大通りの真ん中を走る。
なし、なし、紫、なし、紫…
土に刺さる矢を確認する。
ああ、これ。紫の方がちょっと僕のルートを予想して射っているみたいにちょっと遅い。
多分紫はそんなに連続して打てないんだ。
だけど、それをわからせないようにわざと大量にしているだけだね。
で、急所部分はちゃんと紫だから弱みを見せたら討ってくる、そうしたら…
近くの角で曲がる。
自分は敵に向かって走る形になった。
多分これで、脅すしても狂気的に迫ってくるからって、一本勝負とかで来るはず。
案の定少なくなった矢の本数で、勝利を信じた。
刹那。数本のうち一本が変な方向に矢が飛んで行く。
またしても、紫がはじけた。
そう、迫ってくるからって矢の本数を少なくしたわけではない。
ライに傷を与えたあれで、来るための下準備だったのだ。
だろ?なりそこないさん?
右足を軸にして後ろを向く。
ライの時とは違い見える敵だからか、正確に心臓を狙うその矢には、やはり札が見えた。
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