鬼の宴

さかばんばすぴす

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「ってことがあってさーー」

ある鬼の世界の森の中の屋敷、
いつもは数名の遊び場となる所に、珍しく一人のお客がいた。

「あ゛あ゛あ゛…なんでそんなときに俺いなかったんだよ…くそ、あの上層部野郎。」

n代目陰陽師当主、またの名をくるるの叔父だ。
名前は決めていない。

当主はスピカの首を縫いながら今回の事件についての概要を聞いた。
…くるるの活躍シーンは詳細に教えてもらっていたが。

実際今回の事件は、仏、鬼、人間界のいざこざが混ざった結果。
そのため、形だけでも“人間代表”と“鬼代表”が話し合うことになったのだ。
…で。その話し合いの最中である。

「にしても、お前敵作りすぎ、全方位に中指立てて回ってんの?」
「しょーがねーだろ、境界正常化の代償を自分の臓物にしたせいだよ。」

正常化により暴動に出るものは少なからずいると思ったが、
なりそこないがここまで暴れるとは思ってもいなかったらしい。
正直なりそこないも、破壊衝動に身を任せただけで、深い意味はなさそうだが。

「日向弓に宴の後片付け、家の修理に境界のセキュリティ強化、てんてこ舞いだよ。」

茶をすすりながら、スピカが言った言葉に、
自分だったらと考えると、当主も苦笑いしか出なかった。

「…え?日向弓がなんかあったの?」

あ、と、失言に気付いたスピカが、目をそらす。

「日向弓って、たしか、もどってきてたよね?だよね?」

圧をかける当主。

「…ゑと、日向弓のほうは、帰ってきたんすよ。」
「…まさか、」
「矢の方が…三本なくしました☆彡」

一瞬で凍える空気に達する室内。
日向弓の弓は、境界正常化の証、つまり、無くなると、条約破棄。
当主の血と涙の結晶も、臓物もオサラバである。

「…スピカ君?おはなしあいしよっか、まず表出ろ。」
「私死ぬから!!やめて!!せめて人道的な手段で…」

そもそも人じゃないだろと引きずり出されるスピカ、




他の皆さんが駆り出されるまであと数日。


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