Tril"if"e

さかばんばすぴす

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第二章 水色の哀哭

File1  猫は鳴く

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Sideライ

刹那の件から数か月後、春の陽気が衣替えを急かす今日この頃。
本部にて定例会議(お菓子パーティ)が行われていた。
ぐだぐだ続けられていくそれに、少しづつ大切な知らせをスピカやらくるるが入れてゆく。
連絡だけだったら多分30分ぐらいで終わるはずなのだが、
現在1時間を経過したところだ。

「来月の予算、軍費下げてインフラに費やすから。いい?ライ?」
「まあ、いいけど。最近、近くの国の動向怪しくね?
多分今年位に北の国と職人の国を火種に全面戦争はいるぞ。なあ、くるる。」

職人の国は短い歴史の中で、多くの国をまとめて作られた国だ。
最近革命があり、リーダーが王から総統に変わったばっかり、
少数精鋭な軍隊で電撃戦を得意とする国、

北の国は長い歴史をもち、
大きな国土にいる人々による人海戦術、防衛戦術が得意だ。

正反対な国が対立するのは自明、
これから生きる中で戦争は確実に起こるだろう。

「まあ、最悪…な?てか、どっちの国につくんだ?くと?」

え?と、いつもより大きな声が、くとの声帯から出てくる。

「かかわらないって選択肢…は?」

「そりゃ、中立になりたいことは分からんでもない、でも、そうすると、
 外交面で不利になるし、立地的に飛び火しそうなんだよな。」

「戦うしかないだろ。どっちにするんだ?くと。」

椅子の、倒れる音がする。
くとは目を見開き、少し震えているようにも煮える。

「だめだよ!全面戦争で死ぬ量は桁違いだよ!今までの戦争でもたくさんの人が死んだ!
 それの何十倍の」
「なあ、くと、今まで最小の犠牲ですんだのが運がよかったんだ、」

くるるは、諭すような、悲しいような声を重々しく発した。

「戦争は人が死ぬ、戦争をしないで孤独な中立を貫いても、どんなに最善を尽くしても、
 奇跡でも起きない限りそこに犠牲は必ず出る。」

「恐れて戦わず、蹂躙され、多くの人が死に、傀儡となることが一番の“最悪“だ。」

俺に言わせるとそれを防ぐための外交官という役職に就く俺からすれば
あまり賛同はしてはいけない気がするが、確実に正論だろう。

「最悪から逃げるんじゃなくて、私は“最善”を選びたい。」
「最善なんて所詮理想論だ。最悪を逃れるのが得策だろう。」

二つの意見が衝突する。
俺は刹那と目を向けた。
…あ、こいつ、わかってねえな。
まあいい。こいつ以外でわかってそうなスピカに目を向ける。
こちらは顔が見えないほどの資料を流し見している、
こっちの視線に気付いたのかふと視線を向けてきた。
まあ、待ってろ、みたいな表情を浮かべながら…いや、これはあれだ。
きのすけが自腹で買ったロマン武器を見ている時と同じ、ひどく無謀な…。

「じゃあ、こんなのどう?」

そこに出された紙には、国際会議の招待の文面が書かれていた。
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