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第193話 お気楽なヒカリ
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瘴気生成装置の魔石が浄化されたことで、光の結界は意味をなさなくなった。ソラリスとクラウたちは、一旦調査を中断して光の結界の外へと出てきた。
ソラリスはそのままナタリーの方へと向かい、驚きを隠せない表情でナタリーに尋ねた。
「あの浄化魔法は、おぬしがやったのか?」
「い、いえ、違います。プニが……」
ナタリーが肩に乗っているプニを指差した。
「プニじゃと?」
ソラリスは困惑した。
「はい。この子です」
ナタリーは自分の肩にいる小さな光の精霊をソラリスに見せた。ソラリスは、プニをまじまじと見つめた。
「むう、ただの低級精霊ではないようじゃな……」
ソラリスがそう呟くと、クラウが不満そうな顔で二人の会話に割って入った。
「ソラリス殿、瘴気生成装置はどうなったのです?瘴気が止まったようですが」
「うむ。装置の魔石が浄化されたようじゃ。おかげで、調査は中断せざるを得ん」
ソラリスの言葉に、クラウはさらに不満を募らせる。
「では、また明日調査をするのですか?」
「そうじゃな。瘴気が生成されなくなると、解析も難しくなるからのう」
クラウは、何かが納得いかない様子で、再び装置の方へと向かった。
瘴気生成装置が浄化されたことで、魔道士のソラリスは頭を抱えていた。
「この状況をどうすればいいんじゃ……」
ちょうどその時、ヒカリが戻ってきた。
「あれ、休憩かな」
ヒカリはナタリーのもとへ向かい、「ただいま」と声をかけた。ナタリーの顔色が悪いことに気づいたヒカリは、心配そうに尋ねる。
「顔色悪いけどどうしたの、ナタリー?」
「あ、あの……」
ナタリーは落ち込んだ表情を浮かべうつむいていた。
「光魔法の魔力を感じたけど、誰か怪我でもした?」
「あ、違います。プニが魔法を使ったんですが……」
「そうなんだ。プニ、すごいね」
ヒカリは、プニの成長を素直に喜んだ。
その言葉に、ナタリーはさらに落ち込んだ様子で頷く。
「うん、プニ、すごいんだよ」
プニは無邪気に喜んで答えたが、ナタリーはさらに落ち込んでいた。
「光精霊や」
ソラリスがヒカリに声をかけた。
「何、ソラリス?」
「そやつの浄化魔法で、瘴気生成装置の魔石が浄化されてしもうたんじゃが」
ソラリスはプニを指差した。
「そうなんだ。プニ、すごいね」
「うん!」
ヒカリに褒められプニは喜ぶがソラリスは頭を抱えていた。
「そういうことではないんじゃ!」
「調査の途中で瘴気の魔石が浄化されて、調査が中断してしまったんじゃ!」
「あ……そうなんだ……」
ヒカリはようやく状況を飲み込んだ。
「いやー、プニ、ドンマイ」
ヒカリの言葉に、プニは首を傾げた。
「まずは魔力操作からだね。ナタリー、プニに魔力操作から教えてあげてね」
ヒカリのお気楽な様子に、ソラリスは冷ややかな視線を向けた。
「光精霊よ、どうするんじゃ、この状況?」
ソラリスの鋭い視線がヒカリに突き刺さる。
「ああ、もう一つ瘴気生成装置があるから問題ないよ」
「ただ、それまで浄化されるとまずいから、ナタリー、プニのことよろしくね」
ヒカリの言葉に、ナタリーは諦めたように頷いた。
「あ、はい……」
話がまとまったところで、森の奥から雷蔵が歩いてきた。その姿を見て、護衛騎士たちとソラリスは警戒を強めた。
「止まれ!何者だ!」
護衛騎士の言葉に、雷蔵は歩みを止めた。
「あれ、雷蔵くんだ」
「む? 光精霊、おぬしの知り合いか?」
ソラリスは怪訝な顔でヒカリに尋ねた。
「そうそう、雷精霊の雷蔵くんだよ」
ヒカリの答えに、ソラリスはさらに首を傾げた。
「どう見ても人間じゃが? 雷精霊じゃと?」
その疑問をよそに、雷蔵がヒカリに声をかけた。
「ヒカリ殿、少し良いでござるか?」
「どうしたの、雷蔵くん」
雷蔵に呼ばれたヒカリは、彼の元へと向かった。
「死の森で、こ奴らと遭遇したでござるが、こ奴以外はそのまま死の森に放置してきたでござる」
雷蔵は抱えていた黒フードの男を、地面に置いた。
「あれ、こいつって……」
ヒカリは黒フードの男を見て、何かを思い出したようにソラリスに声をかけた。
「ねーねー、ソラリス、ちょっと来て」
「なんじゃ?」
ソラリスはヒカリのもとへと向かった。
「こいつ、死の森にいたんだって他にも居たけどこいつ以外は死の森に放置してきたから今頃魔物の餌になってると思う」
ヒカリの言葉に、ソラリスの表情が険しくなる。
「瘴気生成装置を設置したのも、この黒フードの仲間だったんだ」
「な、なんじゃと!」
ソラリスは驚きを隠せず、男を睨みつけた。
気絶している男を睨みつけながら、ソラリスは周りの者たちに指示を出す。
「調査は一旦中止じゃ! 町に戻る!」
ソラリスの言葉に、ナダルニア王国の調査団は困惑した表情で立ち尽くした。
「ねーねー、ソラリス、ちゃんと説明しないと、調査団がぽかんとしてるよ」
ヒカリがソラリスを諭すように言った。
「今はそれどころじゃないんじゃが!」
ソラリスは苛立ちを隠せない様子で言い返した。
「はぁ……。こ奴は、瘴気生成装置を設置した奴の仲間と思われるのじゃ」
ソラリスはそう言って、地面に横たわる男を指差した。
「拘束後、すぐに町に戻って尋問を始める」
ソラリスの言葉に、周囲に緊張が走る。
ソラリスの言葉に調査団の護衛騎士たちは、警戒しながら周囲を見回した。
「心配ない。こ奴以外は撃退されておる」
ソラリスはそう言って、皆を安心させた。
「速やかに戻るぞ!」
ソラリスが撤収を促し、一同はすぐさま引き返した。
ララはソラリスのもとへ歩み寄る。
「ソラリス様、ムムにこの方を運ばせようと思うのですが、よろしいでしょうか?」
ここから町に戻るにはかなりの時間を要する。
ララは、その時間を短縮するため、ムムに運搬を頼むことを提案した。
「そうじゃな。頼めるか」
「はい!ムム、この方を急いで町まで運んでもらっていい?」
「ムム、分かった!」
その様子を見ていたヒカリが、ソラリスに話しかけた。
「なら、俺が拘束するよ」
ヒカリは、雷蔵の横に転がっている黒フードの男に向かって、魔法を唱えた。
『シャインプリズン』
男の周囲に光の檻が現れ、彼は身動きが取れなくなった。
「じゃあ、ムム、運んじゃって」
ムムは黒フードの男を持ち上げると、凄まじいスピードで町へと戻っていった。
「わしらも戻るぞ」
ソラリスがそう言うと、調査団は町へ戻る準備を始めた。しかし、彼らは未だに雷蔵を警戒していた。
「それがしも鍛錬に戻るでござるよ」
雷蔵は空気を察し、調査団から離れて死の森の方へと歩き出すとヒカリは雷蔵に声をかけた。
「あまり無理しないようにね」
雷蔵は小さく頷くと、森の奥へと姿を消した。
「俺はここに残るけど、プニはどうする?」
ヒカリが尋ねると、プニはナタリーを見つめ、何かを訴えかけるような仕草をした。それに気づいたナタリーが、おそるおそるヒカリに話しかける。
「あの、ヒカリ様、プニを連れて行ってもダメでしょうか?」
「別に問題無いよプニに魔力操作を教えてね」
ヒカリの言葉に、プニとナタリーは喜びの表情を浮かべた。
「あ、ありがとうございます!」
(光属性のプニが多少暴走しても害はないからな)
ヒカリはそう考えたが、彼のこの安易な判断が、後に大変なことになろうとは、ヒカリはまだ知る由もなかった。
「それじゃ、またね」
ヒカリはそう言って、世界樹の奥の方へと飛び立っていった。
ソラリスと調査団は荷物をまとめ、町へと戻っていった。
その頃、ムムは一足先に町へと戻っていた。
町の入り口にある詰所では、見張りの兵士が異様な光景を目撃していた。ムムの姿が見えない者にとって、そこにあるのは、宙に浮かぶ黒フードの男だった。光の檻に閉じ込められ、空中に静止している男の姿は、兵士たちに大きな動揺を与えた。
「おい! 人が宙に浮いてんだが…!」
見張りの兵士の一人が、詰所の中にいる兵士に慌てて声をかけた。
「風の魔法で浮いてるんじゃねーのか?」
「いや、そいつ全く動かないんだ。とりあえず外に来い!」
詰所から新たに三人のエルフ兵が外に出てきた。
「確かに浮いてるな……」
彼らが困惑していると、一人の兵士が「あ……」と声を漏らし、宙に浮く黒フードの男のもとへと急ぎ、その場に膝をついた。
「ムム様、なぜ人を抱えているのですか?」
ムムに話しかけたこの兵士は地属性の精霊術士であったため、ムムの姿が見えていたのだ。他の兵士は属性が違うため、ムムの存在に気づかなかった。
「ムムね、ララにこの人を町に連れて行ってって言われたの」
「ララ様に?」
「うん。この人、悪い人だから連れてってって言われたの」
詰所の兵士たちの間に、一気に緊張が走った。
「では、こちらでお預かりします」
兵士はムムから黒フードの男を預かった。
光の檻に閉じ込められているため、男は動けない。
「他に何か言ってましたか?」
ムムは少し考えた。
「ううーん……あ、ソラリスが尋問するって言ってたよ」
兵士たちは一気に険しい顔になると、すぐに黒フードの男を詰所の地下にある牢屋へと運んで行った。
ソラリスはそのままナタリーの方へと向かい、驚きを隠せない表情でナタリーに尋ねた。
「あの浄化魔法は、おぬしがやったのか?」
「い、いえ、違います。プニが……」
ナタリーが肩に乗っているプニを指差した。
「プニじゃと?」
ソラリスは困惑した。
「はい。この子です」
ナタリーは自分の肩にいる小さな光の精霊をソラリスに見せた。ソラリスは、プニをまじまじと見つめた。
「むう、ただの低級精霊ではないようじゃな……」
ソラリスがそう呟くと、クラウが不満そうな顔で二人の会話に割って入った。
「ソラリス殿、瘴気生成装置はどうなったのです?瘴気が止まったようですが」
「うむ。装置の魔石が浄化されたようじゃ。おかげで、調査は中断せざるを得ん」
ソラリスの言葉に、クラウはさらに不満を募らせる。
「では、また明日調査をするのですか?」
「そうじゃな。瘴気が生成されなくなると、解析も難しくなるからのう」
クラウは、何かが納得いかない様子で、再び装置の方へと向かった。
瘴気生成装置が浄化されたことで、魔道士のソラリスは頭を抱えていた。
「この状況をどうすればいいんじゃ……」
ちょうどその時、ヒカリが戻ってきた。
「あれ、休憩かな」
ヒカリはナタリーのもとへ向かい、「ただいま」と声をかけた。ナタリーの顔色が悪いことに気づいたヒカリは、心配そうに尋ねる。
「顔色悪いけどどうしたの、ナタリー?」
「あ、あの……」
ナタリーは落ち込んだ表情を浮かべうつむいていた。
「光魔法の魔力を感じたけど、誰か怪我でもした?」
「あ、違います。プニが魔法を使ったんですが……」
「そうなんだ。プニ、すごいね」
ヒカリは、プニの成長を素直に喜んだ。
その言葉に、ナタリーはさらに落ち込んだ様子で頷く。
「うん、プニ、すごいんだよ」
プニは無邪気に喜んで答えたが、ナタリーはさらに落ち込んでいた。
「光精霊や」
ソラリスがヒカリに声をかけた。
「何、ソラリス?」
「そやつの浄化魔法で、瘴気生成装置の魔石が浄化されてしもうたんじゃが」
ソラリスはプニを指差した。
「そうなんだ。プニ、すごいね」
「うん!」
ヒカリに褒められプニは喜ぶがソラリスは頭を抱えていた。
「そういうことではないんじゃ!」
「調査の途中で瘴気の魔石が浄化されて、調査が中断してしまったんじゃ!」
「あ……そうなんだ……」
ヒカリはようやく状況を飲み込んだ。
「いやー、プニ、ドンマイ」
ヒカリの言葉に、プニは首を傾げた。
「まずは魔力操作からだね。ナタリー、プニに魔力操作から教えてあげてね」
ヒカリのお気楽な様子に、ソラリスは冷ややかな視線を向けた。
「光精霊よ、どうするんじゃ、この状況?」
ソラリスの鋭い視線がヒカリに突き刺さる。
「ああ、もう一つ瘴気生成装置があるから問題ないよ」
「ただ、それまで浄化されるとまずいから、ナタリー、プニのことよろしくね」
ヒカリの言葉に、ナタリーは諦めたように頷いた。
「あ、はい……」
話がまとまったところで、森の奥から雷蔵が歩いてきた。その姿を見て、護衛騎士たちとソラリスは警戒を強めた。
「止まれ!何者だ!」
護衛騎士の言葉に、雷蔵は歩みを止めた。
「あれ、雷蔵くんだ」
「む? 光精霊、おぬしの知り合いか?」
ソラリスは怪訝な顔でヒカリに尋ねた。
「そうそう、雷精霊の雷蔵くんだよ」
ヒカリの答えに、ソラリスはさらに首を傾げた。
「どう見ても人間じゃが? 雷精霊じゃと?」
その疑問をよそに、雷蔵がヒカリに声をかけた。
「ヒカリ殿、少し良いでござるか?」
「どうしたの、雷蔵くん」
雷蔵に呼ばれたヒカリは、彼の元へと向かった。
「死の森で、こ奴らと遭遇したでござるが、こ奴以外はそのまま死の森に放置してきたでござる」
雷蔵は抱えていた黒フードの男を、地面に置いた。
「あれ、こいつって……」
ヒカリは黒フードの男を見て、何かを思い出したようにソラリスに声をかけた。
「ねーねー、ソラリス、ちょっと来て」
「なんじゃ?」
ソラリスはヒカリのもとへと向かった。
「こいつ、死の森にいたんだって他にも居たけどこいつ以外は死の森に放置してきたから今頃魔物の餌になってると思う」
ヒカリの言葉に、ソラリスの表情が険しくなる。
「瘴気生成装置を設置したのも、この黒フードの仲間だったんだ」
「な、なんじゃと!」
ソラリスは驚きを隠せず、男を睨みつけた。
気絶している男を睨みつけながら、ソラリスは周りの者たちに指示を出す。
「調査は一旦中止じゃ! 町に戻る!」
ソラリスの言葉に、ナダルニア王国の調査団は困惑した表情で立ち尽くした。
「ねーねー、ソラリス、ちゃんと説明しないと、調査団がぽかんとしてるよ」
ヒカリがソラリスを諭すように言った。
「今はそれどころじゃないんじゃが!」
ソラリスは苛立ちを隠せない様子で言い返した。
「はぁ……。こ奴は、瘴気生成装置を設置した奴の仲間と思われるのじゃ」
ソラリスはそう言って、地面に横たわる男を指差した。
「拘束後、すぐに町に戻って尋問を始める」
ソラリスの言葉に、周囲に緊張が走る。
ソラリスの言葉に調査団の護衛騎士たちは、警戒しながら周囲を見回した。
「心配ない。こ奴以外は撃退されておる」
ソラリスはそう言って、皆を安心させた。
「速やかに戻るぞ!」
ソラリスが撤収を促し、一同はすぐさま引き返した。
ララはソラリスのもとへ歩み寄る。
「ソラリス様、ムムにこの方を運ばせようと思うのですが、よろしいでしょうか?」
ここから町に戻るにはかなりの時間を要する。
ララは、その時間を短縮するため、ムムに運搬を頼むことを提案した。
「そうじゃな。頼めるか」
「はい!ムム、この方を急いで町まで運んでもらっていい?」
「ムム、分かった!」
その様子を見ていたヒカリが、ソラリスに話しかけた。
「なら、俺が拘束するよ」
ヒカリは、雷蔵の横に転がっている黒フードの男に向かって、魔法を唱えた。
『シャインプリズン』
男の周囲に光の檻が現れ、彼は身動きが取れなくなった。
「じゃあ、ムム、運んじゃって」
ムムは黒フードの男を持ち上げると、凄まじいスピードで町へと戻っていった。
「わしらも戻るぞ」
ソラリスがそう言うと、調査団は町へ戻る準備を始めた。しかし、彼らは未だに雷蔵を警戒していた。
「それがしも鍛錬に戻るでござるよ」
雷蔵は空気を察し、調査団から離れて死の森の方へと歩き出すとヒカリは雷蔵に声をかけた。
「あまり無理しないようにね」
雷蔵は小さく頷くと、森の奥へと姿を消した。
「俺はここに残るけど、プニはどうする?」
ヒカリが尋ねると、プニはナタリーを見つめ、何かを訴えかけるような仕草をした。それに気づいたナタリーが、おそるおそるヒカリに話しかける。
「あの、ヒカリ様、プニを連れて行ってもダメでしょうか?」
「別に問題無いよプニに魔力操作を教えてね」
ヒカリの言葉に、プニとナタリーは喜びの表情を浮かべた。
「あ、ありがとうございます!」
(光属性のプニが多少暴走しても害はないからな)
ヒカリはそう考えたが、彼のこの安易な判断が、後に大変なことになろうとは、ヒカリはまだ知る由もなかった。
「それじゃ、またね」
ヒカリはそう言って、世界樹の奥の方へと飛び立っていった。
ソラリスと調査団は荷物をまとめ、町へと戻っていった。
その頃、ムムは一足先に町へと戻っていた。
町の入り口にある詰所では、見張りの兵士が異様な光景を目撃していた。ムムの姿が見えない者にとって、そこにあるのは、宙に浮かぶ黒フードの男だった。光の檻に閉じ込められ、空中に静止している男の姿は、兵士たちに大きな動揺を与えた。
「おい! 人が宙に浮いてんだが…!」
見張りの兵士の一人が、詰所の中にいる兵士に慌てて声をかけた。
「風の魔法で浮いてるんじゃねーのか?」
「いや、そいつ全く動かないんだ。とりあえず外に来い!」
詰所から新たに三人のエルフ兵が外に出てきた。
「確かに浮いてるな……」
彼らが困惑していると、一人の兵士が「あ……」と声を漏らし、宙に浮く黒フードの男のもとへと急ぎ、その場に膝をついた。
「ムム様、なぜ人を抱えているのですか?」
ムムに話しかけたこの兵士は地属性の精霊術士であったため、ムムの姿が見えていたのだ。他の兵士は属性が違うため、ムムの存在に気づかなかった。
「ムムね、ララにこの人を町に連れて行ってって言われたの」
「ララ様に?」
「うん。この人、悪い人だから連れてってって言われたの」
詰所の兵士たちの間に、一気に緊張が走った。
「では、こちらでお預かりします」
兵士はムムから黒フードの男を預かった。
光の檻に閉じ込められているため、男は動けない。
「他に何か言ってましたか?」
ムムは少し考えた。
「ううーん……あ、ソラリスが尋問するって言ってたよ」
兵士たちは一気に険しい顔になると、すぐに黒フードの男を詰所の地下にある牢屋へと運んで行った。
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