光精霊に転生した俺は悪役令嬢推しでした!

ほんわか

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第112話 モニカの旅路

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ヒカリは、翌日に控えたモニカとの実家訪問と置かれている立場を前もってクラリスに伝えていた。

「それじゃ、明日からモニカの実家に行ってくるね」

クラリスは静かにうなずきながら、ヒカリの顔を見つめた。
「ええ、気をつけてね。お父様には私から連絡を入れておいたから問題ないと思うわ」

「ありがとう、助かるよ」
ヒカリは、クラリスの思いやりに心から感謝し、笑顔で言った。

これで、モニカも安心して故郷へ帰ることができるだろう。

二人が話していると、ヒカリは、クラリスの近くで、チラチラとこちらを見る視線を感じた。
その視線の主は、言うまでもなくカインだった。
彼は、ソワソワと落ち着かない様子で、ヒカリに声をかけてもらうのを待っているようだった。

(うーん、カインが付いてくると、また色々とフラグが立ちそうな気がするんだよな……)

ヒカリは、内心苦笑していた。
なぜならカインは、何かと騒動を引き起こすタイプだからだ。

それにモニカの実家までは、王都からかなりの距離があり往復で一週間くらいかかる見込みだった為に
その間クラリスを一人にしてしまうのも、少し気がかりだった。

そんなことを考えていると今度はカインが、遠慮がちにクラリスの方をチラチラと見始めるその視線には、明確な意図が込められていた。

クラリスは、そんなカインの様子に気づき、小さくため息をついた。そして、諦めたようにカインの方を向いた。

「……カイン、誘われるの待ってるんだよな」
ヒカリボソッと呟いた。

クラリスは空気の読めない存在に向かって静かに言う。
「カイン、そんなに行きたいの?」

「う、うむ。ヒカリが……心配だからな」
カインはどこか居心地悪そうに返した。

「えー、そこを出してくる?」
ヒカリは、カインの露骨な言い訳に、思わず笑ってしまった。
「素直に『一緒に行きたい』って言えばいいのに」

「あ、いや……うむ……」
カインは、言葉に詰まり、視線を泳がせた。

「はぁ……」
クラリスはため息をつきながらも、苦笑いを浮かべた。

「いいわよ。行ってきて、カイン。ただし……わかってるわよね?」

「も、もちろん!」

「ホントにわかってるのかなあ……」と、ヒカリはぼそっとつぶやいたが、それ以上は何も言わなかった。

翌朝。モニカは王城の門の前で小さな荷物を抱えて待っていた。

「ヒカリ様、お待たせしてしまいましたか?」

「ううん、こっちも今来たところ。準備はできてる?」

「はい」
モニカは小さくうなずき、視線を前に向けた。

「では、出発しましょうか」
ヒカリの隣には、モニカには見えないもう一人の旅人――カインがいた。

旅の道中、モニカは久しぶりの野の風に心を癒されていた。
「この辺りの草花……変わっていませんね。懐かしいです」

「やっぱり落ち着く? しばらく帰れてなかったんだもんね」

「ええ。母のことがずっと気になっていましたが、こうして戻れるのは……なんだか夢みたいです」

ヒカリはモニカの横をぷかぷかと飛びながら、微笑んだ。

「母様の病気……治せるといいのですが……」

「モニカなら、きっと大丈夫だよ。俺の魔力とクラウの腕輪、どっちも信頼できるものだよ」

モニカはヒカリの方を見て、深々と頭を下げた。
「本当に……ありがとうございます。ヒカリ様がいなければ、今の私は……」

「いいっよそんなの。俺がやりたくてやってることだし。……それに、モニカが笑ってる方が、俺も嬉しいからさ」

その言葉に、モニカの頬がほんのり赤く染まった。
(……ああ、何を照れてるのかしら。落ち着いて、私)

数日後、モニカたちはようやくモニカの実家のある小さな村に到着した。
「おぉ……静かでいいところだね」

「ええ、小さい村ですが、皆さん温かくて」
モニカはゆっくりと家の門を開いた。中から、年配の女性が現れた。彼女の顔を見た瞬間、モニカは駆け寄って抱きしめた。

「……おばあさま!」

「モニカ……! 本当に、モニカなの?」

「はい。お母様に会いに、帰ってきました」
モニカは祖母と一緒に母の部屋へとやって来た。

「ただいま、お母様」
母を見たモニカは泣きそうになったがグッと我慢した。

「おかえりモニカ」
母の手は細く、力なく、だが優しくモニカの背中をなでた。

ヒカリはその様子を少し離れて見つめていた。ふと、母親の体内の歪みを感じた。

(なるほど、これは……普通の病じゃないね)

「モニカ、今夜にでも試してみよう。あまり長居もできないし」

「はい……。わかりました」

夜。母親がベッドに横たわる中、モニカは静かに右腕の腕輪に触れた。
「……どうか、お母様に癒しの光を……」
心の中で強く願う。

すると、腕輪の花びらが淡く光り、ヒカリの魔力が優しく放出された。
母の身体を包み込むように、温かな光が広がっていく。

「ん……ああ……」

「お母様?」

母の顔が穏やかになっていく。ヒカリは真剣な表情で様子を見守っていた。

「よし、モニカ……うまくいってるよ。体内の歪みが改善してきてるよ」

モニカの目には涙が浮かんでいた。
「本当に……本当に……ありがとうございます……!」

その夜、モニカは久しぶりに母の手を取りながら、穏やかな眠りについた。

ヒカリはその様子を見届け、静かに微笑む。
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