27 / 36
第二十六章 疑惑の子
疑惑の子
しおりを挟む
拾いの誕生からしばらくたった文禄二年(一五九三年)十月中旬。
大坂城内にいた大勢の女房や仏僧が秀吉の命令で処刑され、追放された。
その罪状は「「妄ニ男女ト之義二ヨリ御成敗」。
ようは、淀の側近侍女らが、秀吉の許可を得ず、勝手に僧に金銀を与え、「子授けの祈祷」を行ったという理由であった。
淀は、この話を聞いて大蔵卿局を前にして、笑った。
「そんなもの、鶴松が生まれる前からやっていたことではないか。今更何を言うておるのか。のう、大蔵卿局、そなたが僧に費やした金銀は相当なものであろう」
「左様でございます」
「一番、大枚をはたいたそなたがお咎めなし。祈祷が効いて子を生んだ私もお咎めなし。面白い」
大蔵卿局は白髪を撫でつけながら、声を潜めた。
「命拾いしておいてなんでございますが、これは何者かの陰謀に違いございません。淀の方様が祈祷の僧侶と密通して子を成したと、太閤様はそう、お疑いなのです。
なんと愚かなお考え。計算してみればすぐわかることです。淀の方様がお拾い様を宿したのは、太閤様に連れられて名護屋城へ行かれた三月から五月半ば」
ひのふの……と大蔵卿局は指を折って、八まで数える。
「肥前の名護屋城でございますよ。どのお家もどの大将もみな、明国に渡り、太閤様以外にお父君になられるような方はいないというのに、何を思い違いされておられるのやら」
大仰に首を振る大蔵卿局を無視して、淀は腕の中の赤子を愛おし気に見つめた。
「拾いは体も大きい。月足らずなのに元気に生まれすぎた」
大蔵卿局は淀の乳母らしい感慨を込めて、嬉しそうに答える。
「お健やかなのは何よりなこと。それに体が大きいのは淀の方様の血でございます」
淀は当時の女性としては相当な長身である。
「それよりも」と大蔵卿局は、眦(まなじり)をつり上げた。これが一大事というような気迫のこもった声音だ。
「治長がこのような書状を見つけてまいりました。これは、名護屋城にいた太閤様が北政所様に宛てて、お方様の懐妊を知らせるものでございます」
書状の写しを袂から出そうとする大蔵卿局を、淀はよい、と止めた。
「お聞き下さい!」
大蔵卿局は金切り声を上げ、この書状にはこう書かれてございますと続けた。
「にのまる殿は かりのこにてよく候はんや」
それが書状の秀吉の言葉であった。
「生まれる子は二の丸殿(淀)が、一人で産んだ子ということにしよう」。
それは、赤ん坊は儂の子種ではない、と秀吉がはっきりと北政所(おね)に告げた文言であった。
大蔵卿局が耐えかねたように声を上げる。
「いくら北政所様が御大事といえども、あまりにひどいお言葉。さらには、太閤様は、お拾いには乳母をつけず、お方様の乳で育てよ、とまで仰って。あまりにひどいなさりようではございませんか」
当時、身分のある家に生まれた嫡男には乳母がつくのが慣習である。乳母をつけないのは、跡を継がせない庶子などの場合に限られる。
淀は言った。
「太閤は、拾いは自分の種ではないと天下に向けて言いたいのであろう」
構わぬ、こちらもそれを望んでおる、と淀は肚の中で続ける。
そのお陰で、ふくふくと温かく柔らかな拾いをこの手に抱いていられるのだ。
「しかしこれでは、お拾い様が太閤殿下のお跡を継がせていただけないかもしれないのですよ? お拾い様はゆくゆく関白になれましょうか?」
不安げに大蔵卿局の目が見開かれる。
「さあな」
淀は、それは本当にわからないと思う。
大蔵卿局は身を乗り出して続ける。
「それにまだ奇妙なことがあるのです。治長にひそかに書庫を調べさせたところ、書状や日記では、太閤様とともに名護屋城に同行した側室の名は、淀の方様ではなく、京極殿(龍子)になっていたそうなのです」
「ほう」
「いったい、太閤様がどんなわけで、もうとうにお褥すべりして、子の産めぬ京極殿をわざわざ名護屋城に連れて行ったことにしたのか、私にはわけがわかりませぬ。京極殿とお方様をお間違えになるなんて、果たして太閤様は頭がおかしくなってしまわれたのか」
大蔵卿局の大げさな嘆きに、ふあああっと赤ん坊が声を上げる。
淀は腕の中の赤ん坊の顔を見つめる。
生まれて間がないのに端正で整った顔をしている。そして、秀吉にはまるで似ていない。
ふふふっと淀は笑う。
「じき、わかるであろう」
淀は大蔵卿局に向かってそう言い、拾いを抱く手を揺すった。打掛の袂の中で、ちりんと鈴が鳴った。
大阪城の女房と僧侶の追放・粛清が落ち着いた十月の末、聚楽第の関白秀次の元に弟の秀保が訪れた。
秀次の側室、於佐子(おさこ)の方が男児を生んだその祝いである。
北の丸の蝉の間で、秀保は男児誕生を寿ぐ和歌と懐剣を贈り物として、兄の秀次に捧げた。部屋には布団に寝かされ眠る赤ん坊がおり、そばに乳母が控えている。
「兄上、ご三男、十丸君(とまるぎみ)のお誕生、まことにおめでとうござりまする。
お拾い様のご誕生に続き、めでたきよし。これで豊臣の天下も安泰でございますね。
兄上にはすでに仙千代丸君に、百丸君と天下を支えるお子がおり、私からすれば、何とお羨ましいこと」
そう言った秀保に、秀次は渋面を作っている。(どうやら、近頃、また兄上は太閤殿下に絞られたようだ)と秀保は察した。
「めでたくなどないわ。仙千代丸、百丸、この十丸は、すぐに出家じゃ出家じゃ。あの太閤猿にしてみれば、拾いに関白を継がせるには、拾いより先に生まれている儂の男子らが邪魔であろう? わが手元に置いておくわけにはいかぬ。高野山にでも預けるわ」
「左様でございますか」
「ふん。三人男児を出家させれば、太閤は俺への信を深めるだろう。出家など形だけ、あの老い猿が死ぬまでのことだ、太閤が死んでから還俗でもさせればよいのだ」
「兄上は、よくお考えでございますな」
秀安は心から感心したような声が出た。
「お前は子がないお陰で、太閤の機嫌を伺う必要もない、羨ましいの」
これには温厚な秀保もさすがに顔をしかめた。
「家を継ぐ者がおらぬでは困りまする。秀長叔父から、私が引き受けた所領はまことに大きなものでございますゆえ。とはいえ妻のお菊はまだ六歳、子を生むどころか……」
言葉を濁した秀保に、秀次は励ますように言った。
「なに、女など幾つでも、こちらにその気があればなんとかなるものよ。秀保、子どもとするのはなかなかよいものだぞ」
話題が下卑たものになる前に秀保は首を振った。
「私は遠慮しておきまする」
「そうか。そうだな、子が生めぬ子どもとしても意味がないか。まあ、側室と励め」
「はあ」
答える秀保の声に精彩がない。
「なんだ、まさか、お前も死んだ叔父上と同じで側室はいないのか?」
「おりませぬ」
死んだ義父、秀長は正室、藤の方(ふじのかた)への愛情が強く、いくら兄の秀吉が勧めても側室を持とうとしなかった。
秀保は、その秀長の娘、お菊を四歳の時に正室にしており、年齢からいえば側室を持ってもいいはずであった。
とはいえ、生来から秀保は男女のことにあまり興味がない。
この線が細く頭の鈍い少年は、自分が日々、豊臣政権の一翼を背負う重圧の中で、生きおおせるだけでやっとであった。
秀保は話題を変えようと、乳母が抱いている赤ん坊のそばに行き、その顔を見た。頬が豊かに膨れ、ぷくりとした瞼が健康そうな、しっかりとした顔立ちの男児である。
「兄上によく似ておられますな」
「そうか」
その時、秀次の小姓がすっと近寄ってきて、秀保の贈った懐剣を赤ん坊の布団のそばに置いた。贈り物をありがたく受け取り、赤ん坊の守り刀として使うという秀次の意志表示である。
その懐剣に、翡翠色をした蛇の根付があしらわれているのを見て、秀保は目をとめた。
蛇の体の中に小さな菊の花が三つ咲いている。
「面白い根付でございますね」
「ふむ。岐阜の豪族からの献上品だ。その者のことはよう知らぬのだが、細工がよく出来ており、気に入っておる」
刀剣や和歌だけはなく、茶道具や書画にも凝る秀勝は、こういう意匠をこらしたものに目がない。秀次が新たに作ったこの聚楽第の北の丸も、豪奢な調度品や茶の湯道具と書画で溢れている。
「ところで赤ん坊といえば、俺は六歳になる娘のつやを、拾いの許嫁にするぞ」
「まことでございますか? 生まれたばかりのお拾い君と六歳のつや姫をですか」
「すでに太閤には話を通してある。じき、婚儀の儀もこの聚楽第で行われるわ。太閤は諸大名を呼んで盛大にやると仰せだ」
秀保はつや姫と同じ六歳になる妻、お菊の顔を思い出してちょっと笑った。
「兄上は本当に知恵者でございますな。しかし、これで太閤様も豊臣の行く末は安泰とご安心されましょう」
秀保の世辞に、秀次は奇妙な叱咤で返した。
「そうよ。だからお前も早く子を作れ。これから先、お前が秀勝のように早死にしたらば、俺も困るわ」
しかし秀保は、この二年後の文禄四年(一五九五年)五月二十四日、十七歳で病死する。
その時に八歳の妻、お菊との間に子はなかった。
大坂城内にいた大勢の女房や仏僧が秀吉の命令で処刑され、追放された。
その罪状は「「妄ニ男女ト之義二ヨリ御成敗」。
ようは、淀の側近侍女らが、秀吉の許可を得ず、勝手に僧に金銀を与え、「子授けの祈祷」を行ったという理由であった。
淀は、この話を聞いて大蔵卿局を前にして、笑った。
「そんなもの、鶴松が生まれる前からやっていたことではないか。今更何を言うておるのか。のう、大蔵卿局、そなたが僧に費やした金銀は相当なものであろう」
「左様でございます」
「一番、大枚をはたいたそなたがお咎めなし。祈祷が効いて子を生んだ私もお咎めなし。面白い」
大蔵卿局は白髪を撫でつけながら、声を潜めた。
「命拾いしておいてなんでございますが、これは何者かの陰謀に違いございません。淀の方様が祈祷の僧侶と密通して子を成したと、太閤様はそう、お疑いなのです。
なんと愚かなお考え。計算してみればすぐわかることです。淀の方様がお拾い様を宿したのは、太閤様に連れられて名護屋城へ行かれた三月から五月半ば」
ひのふの……と大蔵卿局は指を折って、八まで数える。
「肥前の名護屋城でございますよ。どのお家もどの大将もみな、明国に渡り、太閤様以外にお父君になられるような方はいないというのに、何を思い違いされておられるのやら」
大仰に首を振る大蔵卿局を無視して、淀は腕の中の赤子を愛おし気に見つめた。
「拾いは体も大きい。月足らずなのに元気に生まれすぎた」
大蔵卿局は淀の乳母らしい感慨を込めて、嬉しそうに答える。
「お健やかなのは何よりなこと。それに体が大きいのは淀の方様の血でございます」
淀は当時の女性としては相当な長身である。
「それよりも」と大蔵卿局は、眦(まなじり)をつり上げた。これが一大事というような気迫のこもった声音だ。
「治長がこのような書状を見つけてまいりました。これは、名護屋城にいた太閤様が北政所様に宛てて、お方様の懐妊を知らせるものでございます」
書状の写しを袂から出そうとする大蔵卿局を、淀はよい、と止めた。
「お聞き下さい!」
大蔵卿局は金切り声を上げ、この書状にはこう書かれてございますと続けた。
「にのまる殿は かりのこにてよく候はんや」
それが書状の秀吉の言葉であった。
「生まれる子は二の丸殿(淀)が、一人で産んだ子ということにしよう」。
それは、赤ん坊は儂の子種ではない、と秀吉がはっきりと北政所(おね)に告げた文言であった。
大蔵卿局が耐えかねたように声を上げる。
「いくら北政所様が御大事といえども、あまりにひどいお言葉。さらには、太閤様は、お拾いには乳母をつけず、お方様の乳で育てよ、とまで仰って。あまりにひどいなさりようではございませんか」
当時、身分のある家に生まれた嫡男には乳母がつくのが慣習である。乳母をつけないのは、跡を継がせない庶子などの場合に限られる。
淀は言った。
「太閤は、拾いは自分の種ではないと天下に向けて言いたいのであろう」
構わぬ、こちらもそれを望んでおる、と淀は肚の中で続ける。
そのお陰で、ふくふくと温かく柔らかな拾いをこの手に抱いていられるのだ。
「しかしこれでは、お拾い様が太閤殿下のお跡を継がせていただけないかもしれないのですよ? お拾い様はゆくゆく関白になれましょうか?」
不安げに大蔵卿局の目が見開かれる。
「さあな」
淀は、それは本当にわからないと思う。
大蔵卿局は身を乗り出して続ける。
「それにまだ奇妙なことがあるのです。治長にひそかに書庫を調べさせたところ、書状や日記では、太閤様とともに名護屋城に同行した側室の名は、淀の方様ではなく、京極殿(龍子)になっていたそうなのです」
「ほう」
「いったい、太閤様がどんなわけで、もうとうにお褥すべりして、子の産めぬ京極殿をわざわざ名護屋城に連れて行ったことにしたのか、私にはわけがわかりませぬ。京極殿とお方様をお間違えになるなんて、果たして太閤様は頭がおかしくなってしまわれたのか」
大蔵卿局の大げさな嘆きに、ふあああっと赤ん坊が声を上げる。
淀は腕の中の赤ん坊の顔を見つめる。
生まれて間がないのに端正で整った顔をしている。そして、秀吉にはまるで似ていない。
ふふふっと淀は笑う。
「じき、わかるであろう」
淀は大蔵卿局に向かってそう言い、拾いを抱く手を揺すった。打掛の袂の中で、ちりんと鈴が鳴った。
大阪城の女房と僧侶の追放・粛清が落ち着いた十月の末、聚楽第の関白秀次の元に弟の秀保が訪れた。
秀次の側室、於佐子(おさこ)の方が男児を生んだその祝いである。
北の丸の蝉の間で、秀保は男児誕生を寿ぐ和歌と懐剣を贈り物として、兄の秀次に捧げた。部屋には布団に寝かされ眠る赤ん坊がおり、そばに乳母が控えている。
「兄上、ご三男、十丸君(とまるぎみ)のお誕生、まことにおめでとうござりまする。
お拾い様のご誕生に続き、めでたきよし。これで豊臣の天下も安泰でございますね。
兄上にはすでに仙千代丸君に、百丸君と天下を支えるお子がおり、私からすれば、何とお羨ましいこと」
そう言った秀保に、秀次は渋面を作っている。(どうやら、近頃、また兄上は太閤殿下に絞られたようだ)と秀保は察した。
「めでたくなどないわ。仙千代丸、百丸、この十丸は、すぐに出家じゃ出家じゃ。あの太閤猿にしてみれば、拾いに関白を継がせるには、拾いより先に生まれている儂の男子らが邪魔であろう? わが手元に置いておくわけにはいかぬ。高野山にでも預けるわ」
「左様でございますか」
「ふん。三人男児を出家させれば、太閤は俺への信を深めるだろう。出家など形だけ、あの老い猿が死ぬまでのことだ、太閤が死んでから還俗でもさせればよいのだ」
「兄上は、よくお考えでございますな」
秀安は心から感心したような声が出た。
「お前は子がないお陰で、太閤の機嫌を伺う必要もない、羨ましいの」
これには温厚な秀保もさすがに顔をしかめた。
「家を継ぐ者がおらぬでは困りまする。秀長叔父から、私が引き受けた所領はまことに大きなものでございますゆえ。とはいえ妻のお菊はまだ六歳、子を生むどころか……」
言葉を濁した秀保に、秀次は励ますように言った。
「なに、女など幾つでも、こちらにその気があればなんとかなるものよ。秀保、子どもとするのはなかなかよいものだぞ」
話題が下卑たものになる前に秀保は首を振った。
「私は遠慮しておきまする」
「そうか。そうだな、子が生めぬ子どもとしても意味がないか。まあ、側室と励め」
「はあ」
答える秀保の声に精彩がない。
「なんだ、まさか、お前も死んだ叔父上と同じで側室はいないのか?」
「おりませぬ」
死んだ義父、秀長は正室、藤の方(ふじのかた)への愛情が強く、いくら兄の秀吉が勧めても側室を持とうとしなかった。
秀保は、その秀長の娘、お菊を四歳の時に正室にしており、年齢からいえば側室を持ってもいいはずであった。
とはいえ、生来から秀保は男女のことにあまり興味がない。
この線が細く頭の鈍い少年は、自分が日々、豊臣政権の一翼を背負う重圧の中で、生きおおせるだけでやっとであった。
秀保は話題を変えようと、乳母が抱いている赤ん坊のそばに行き、その顔を見た。頬が豊かに膨れ、ぷくりとした瞼が健康そうな、しっかりとした顔立ちの男児である。
「兄上によく似ておられますな」
「そうか」
その時、秀次の小姓がすっと近寄ってきて、秀保の贈った懐剣を赤ん坊の布団のそばに置いた。贈り物をありがたく受け取り、赤ん坊の守り刀として使うという秀次の意志表示である。
その懐剣に、翡翠色をした蛇の根付があしらわれているのを見て、秀保は目をとめた。
蛇の体の中に小さな菊の花が三つ咲いている。
「面白い根付でございますね」
「ふむ。岐阜の豪族からの献上品だ。その者のことはよう知らぬのだが、細工がよく出来ており、気に入っておる」
刀剣や和歌だけはなく、茶道具や書画にも凝る秀勝は、こういう意匠をこらしたものに目がない。秀次が新たに作ったこの聚楽第の北の丸も、豪奢な調度品や茶の湯道具と書画で溢れている。
「ところで赤ん坊といえば、俺は六歳になる娘のつやを、拾いの許嫁にするぞ」
「まことでございますか? 生まれたばかりのお拾い君と六歳のつや姫をですか」
「すでに太閤には話を通してある。じき、婚儀の儀もこの聚楽第で行われるわ。太閤は諸大名を呼んで盛大にやると仰せだ」
秀保はつや姫と同じ六歳になる妻、お菊の顔を思い出してちょっと笑った。
「兄上は本当に知恵者でございますな。しかし、これで太閤様も豊臣の行く末は安泰とご安心されましょう」
秀保の世辞に、秀次は奇妙な叱咤で返した。
「そうよ。だからお前も早く子を作れ。これから先、お前が秀勝のように早死にしたらば、俺も困るわ」
しかし秀保は、この二年後の文禄四年(一五九五年)五月二十四日、十七歳で病死する。
その時に八歳の妻、お菊との間に子はなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
アブナイお殿様-月野家江戸屋敷騒動顛末-(R15版)
三矢由巳
歴史・時代
時は江戸、老中水野忠邦が失脚した頃のこと。
佳穂(かほ)は江戸の望月藩月野家上屋敷の奥方様に仕える中臈。
幼い頃に会った千代という少女に憧れ、奥での一生奉公を望んでいた。
ところが、若殿様が急死し事態は一変、分家から養子に入った慶温(よしはる)こと又四郎に侍ることに。
又四郎はずっと前にも会ったことがあると言うが、佳穂には心当たりがない。
海外の事情や英吉利語を教える又四郎に翻弄されるも、惹かれていく佳穂。
一方、二人の周辺では次々に不可解な事件が起きる。
事件の真相を追うのは又四郎や屋敷の人々、そしてスタンダードプードルのシロ。
果たして、佳穂は又四郎と結ばれるのか。
シロの鼻が真実を追い詰める!
別サイトで発表した作品のR15版です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる