うちのばあちゃん

ネメシス

文字の大きさ
3 / 6

ばあちゃんのご飯は量が多い

しおりを挟む


「……ただいま~」

「あぁ、おかえり……どうしたんだい? そんな夏に干からびたカタツムリみたいな顔して。そんなに今日は熱かったかねぇ?」

「どんな顔だよ……」

家のドアを開ければ、丁度ばあちゃんが玄関近くにいておかえりと言ってくれた。
だけど僕の様子を見て、よくわからない例えを言ってくる。
夏に干からびたカタツムリみたいな顔って何さ、しわくちゃなの? カピカピなの?

「ちょっと筋トレしてただけだよ」

前にばあちゃんの肩もみしてから、僕の力の無さを実感して筋トレをするようにしている。
腕立て、腹筋、背筋、スクワット、走り込みといった簡単なものを30分くらいだけど。
学校でやるのもなんか恥ずかしいし、近場の河川敷辺りを使ってこっそりやっている。
……時々通りすがるおじいさんおばあさんの目が生暖かい気がするけど、学校の知り合いに見られるよりはまし、かな?

「……だけど、全然力付いた気がしないんだよなぁ」

「そりゃ、一朝一夕で簡単にいくもんかい」

グダ―っと鞄を下ろして玄関に寝転がるボクに、ばあちゃんが呆れたように言ってくる。

「こういうのは毎日の積み重ねだよ、勉強と一緒さ。よく動いて、よく食べて、よく寝る。そうして少しずつ体ってのは大きくなっていくんだよ」

「……わかってるよそんなこと」

僕だって流石に1日、2日で簡単に筋肉モリモリになれるとは思ってない。
だけど運動してる人はいつもこんなに疲れて家に帰って来るのかと思うと、あまり長続きしそうになさそうだ。
たった30分程度なのになぁ。

「まぁ、とりあえずそんなに動いた後の飯はさぞ上手いだろうさ。もう少し待ってな、旨い飯作ってやるから。たんと食べて、力付けるんだね」

「……ばあちゃん、前から言おうと思ってたんだけど、もう少しご飯の量減らしてくれてもいいんだよ?」

ばあちゃんの作るご飯は肉じゃがだとか、里芋の煮っころがしだとか、どことなく田舎っぽい料理が多いけど、味付けは結構好きでちゃんと残さずに食べている。
そもそも作ってもらってるだけでも、文句を言う筋合いはないのはわかってるんだ。
……わかってはいるのだけど。

「このまま食べ続けてたら、僕お相撲さんになっちゃうよ」

「そうならないために運動するんだろ? 動いたら食べる、食べたら動く。食べないと体デカくならないよ」

「……だからってご飯は盛りすぎだし、おかずも多過ぎだし」

「あの程度で何言ってんだい! 別に相撲取りみたいになれとは言わないけど、男の子は少し太ってるくらいで丁度良いんだよ! あたしが小さい頃なんて、給食で男の子たちが休んだ人の分まで取り合ってたもんさね」

ばあちゃんはよくそう言って昔の話をする。
でも、ということはばあちゃんが小学生の頃のクラスの男子、皆少し太ってたのかな?
……少し想像できないや。

「とにかく、家に帰ってきたらまず手洗いうがい! ちゃんとやっとくんだよ! あと風呂入って汗も流しときな。そのうちに飯も出来るからさ」

「はーい」

そう言って、ばあちゃんは台所に入っていった。
ばあちゃんの作るご飯はおいしい、だけどその量は絶対他の家より多いと思う。
それをいつも食べてると、いつか間違いなく太るだろうな。

「……運動は少しずつでもいいから続けていこう」

そう小さな決意をした。
力をつけるため、というより太らないために。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

名称不明なこの感情を表すために必要な2万文字。

春待ち木陰
青春
 高校一年生の女の子である『私』はアルバイト先が同じだった事から同じ高校に通う別のクラスの男の子、杉本と話をするようになった。杉本は『私』の親友である加奈子に惚れているらしい。「協力してくれ」と杉本に言われた『私』は「応援ならしても良い」と答える。加奈子にはもうすでに別の恋人がいたのだ。『私』はそれを知っていながら杉本にはその事を伝えなかった。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

処理中です...