太やかなアラサー女子の嘆き ~どこから突っ込めばよいのでしょうか~

猫宮

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亡くなって解りました(sid観月の弟)

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姉が亡くなった…。

父と妹と僕は今まで姉に身の回りを見て貰っていた。

見て貰っていた…と言っても妹も僕も成人してからは独り暮らしを始めて姉が亡くなるまでは父が独りで世話になっていた。

姉が亡くなるまでの盆や正月、親戚連中は口ばかりの応援とねぎらいの言葉を必ず姉にしていた。
姉はそれを聞いてる間はいつも困った顔をしていた…。
父親似である姉は、あまり喜怒哀楽の表情が家族以外には解りずらい。側にいた親戚も姉が困っている事に気が付かない。
家族である僕にとっては解りやすい性格の姉だったから考えていることと表情が僕には丸解りだった…どうせ、人付き合いも大切だとか考えて我慢しているのだろう。親戚連中も空気を読んでくれたら良いのに…。

僕達の母は僕と妹がまだ物心もつかない頃、姉が小学校を卒業する頃に家を出ていったらしい…。
口ばかりの親戚が出ていった母を姉を労いながら余所の男と浮気、派手な性格と悪し様に言っていた。

人様の生活に口を出すより、自分達の生活は大丈夫なのか?

姉は知らない、きっと亡くなるまで気付かなかった事だ。
否、気付かれないようにしていた事なのだが、姉以外の家族は異性関係にはとにかくうんざりしていたのだ…。

僕がまだ小学生の頃、そして姉が高校生の頃、僕は年齢が遥かに上の親戚の叔母から性的な行為をされていた…。
当時の僕は今ほど刷れた性格はしていなく、嫌な感情は持っていたが素直に叔母の言うことを聞いていた。理解していなかった行為の回数が増して父が気が付いてくれたのだ。

父は烈火のごとく怒った。

そして話してくれたのだ。
それまでの父は…僕にとってはただ一緒に生活しているだけの大人の人だったけれど、助けて貰ったという、ひとつのきっかけから一枚の家族写真と話を聴くことで父を理解するようになった。

見せて貰った家族写真には父と手を繋いだ僕と妹を抱いた母、ランドセルを背負った姉が幸せそうに笑って写っていた。
姉が小学校入学の時の写真らしい。
父が話す離婚して出ていった母は親戚連中の言う通り派手な性格をしており、欲望好きな女だったそうで、なんと浮気した相手が父の会社の重役で母は愛人だそうだ。
なんでそんな女と結婚していたんだ?
その上、当時の母は小間使いにするため姉を引き取ると親権争いをしてきたらしい…我母ながら最低だな…。
法的に父が優位だった為、そんな話はすぐに誰も知る事がないままに済んだらしいが。

父は言った、小学生だった僕に。

「女は感情と欲望で動く。子供のお前にそんなモノをやろうとしていたんだ…善いものではないと言う事は判るだろ?」

「・・・姉さん達は?」

「観月達は…俺が育てている。母親や先程の女のようにはならんだろう。まぁ、食欲に負けているようだがな…。」

「ハハッ、姉さんまたダイエットだって、何回目だろうね?。」

あの後は笑い泣きして疲れて、いつの間にか寝ていたんだ。


その後、起こって欲しくはなかったが妹も僕と似たような体験をしたことで、姉は他人に無関心な態度をとる僕達を怒っていた。

家族が揃う家で夕食を作る為に姉は独り、壁一枚向こうの台所。
父と妹と僕は居間に。

「兄さん、また姉さんを怒らせたの?」

「知らない…父さんじゃないのか?」

「違うだろ。お前じゃないか?」

父も妹も僕も、姉さんに怒られた。
怒っていても美味しい御飯を作ってくれた。

その姉はもう棺桶の中、明日には火葬される。

「姉さん…貴女は僕にとって初恋だった。実らせる気もない恋をした僕だけど、姉さんが居たから僕はまともな男に育つ事ができた。全ての女を嫌悪しなかった…。
明日は火葬場に送ります。

初恋は実らない…って解っていたけど…

実らせる気もない恋だったけど…

相手が…突然、居なくなるのは…
結構辛いものなんですね…。」









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