加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ

犬社護

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52話 どうして、こうなったの? *マクレミーサ視点

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「マクレミーサ、処分が決まるまで、この牢屋の中に入っていなさい」

ジェイコブ先生が私の背中を軽く押したことで、私は神殿地下の牢屋内に入れられる。そこは狭い仄暗い空間で、囚人は私1人。先生を見ると、丁度鍵を閉め終えたところだった。

神殿地下にある牢屋の中でも、大罪を犯したものだけが収監される『終獄牢』、スキルや魔法といったステータスの全てが封印され脱出不可能と聞かされていたけど、授業で教わった通りだわ。

力が、全然入らない。

「君の仕出かした事がキッカケで、5名の巫女と13名の神官が死んだ。ヒライデン伯がいなければ、タルパ共が王都を支配し、王国を滅ぼしていたかもしれない。聖女になりたいがため、欲が先走り、幼いリノアを殺し、幼いルミナに全責任を負わせる。大人として、その行為を恥ずかしいと思わないのか?」

そんな事…言われなくてもわかってるわよ。

あの時、空にいるタルパの大群を感知できていれば、こんな事にはならなかったのに。死霊系モンスターの中でも上位に入る人型魔物リッチ、そいつが空高くに隠れ、旧ラリマンド邸の敷地内に特殊な結界を張って、タルパを呼び寄せ、神官たちを誘き寄せ、全員を食って強化した後、王都にいる全ての人々を殺し、ゾンビ化させて、死霊の国を作り上げようと画策していた。

ヒライデン伯と冒険者リョウトが、リッチを捕縛し邸内に引き込み討伐したことで、その計画を破綻させた。あの時の闇、あれは間違いなくリッチクラスの魔物だった。それを邸内で何の被害も出さずに瞬殺、そんな人物を敵に回せないわよ。

私を睨む伯爵様の目、私の全てを見透かしているかのような感覚がして、心底恐ろしかった。だから、ヒライデン伯が神殿を訪れた時、私は全てを自白した。

その結果がこれ。

「私は……死罪でしょうか?」

私が全てを自白し、別部屋で監禁されていた時、何らかの話し合いが行われていたはず。

「それは、教皇様方が帰還して決められる……と言いたいところだが、君と私の刑に関しては、先程決まったところです」

先生と私?
私はともかく、先生が何故罰を受けるの?

「教皇様方の意見を無視するのですか?」
「今回の件、光精霊いえ全ての精霊たちが、大変お怒りなんですよ。光精霊様が代表して、教皇様方のもとを訪れ、『罰は我々が下す』と宣言したそうです」

そんな…だって精霊は、地上に不干渉なんでしょ? 特に、こういった政治関連には、絶対に関わってこないのに…どうして…いえ、それよりも、どんな罰が下されるの?

「ルティナもリノアも、精霊様方のお気に入りなんです。リノアを、このままタルパとして地上に残すのは大変遺憾、そこで精霊方はこう宣言しました。『マクレミーサを【時間凍結の刑】とする。刑執行は、明日の午前0時。8年後、リノアが成人となり、彼女の身体を欲した時、魂を消滅させる。また、身体を欲していない場合、魂を消滅させたあと、身体を永久的に時間凍結させたまま、ダメな聖女候補の見本として、次代の聖女候補たちに語り継いでいけ』」

嘘…でしょ? それって、私にとっては死と同義じゃない。明日の午前0時になったら、身体を動かせなくなり、この魂だけが意識を持って、8年間を過ごさないといけない。そして8年後、リノアの返事に関係なく、私は消滅する。

「そんな…」

「君は、精霊様を怒らせるほどの大罪を犯したということだ。そして今から8年間、私は時の止まった君の身体を護るよう命令を受けた。それが、私の罰だ。私は8年間、君は一生、この空間から逃れられない。当然の罰でしょう。次代の聖女候補たちの殆どが死んでしまい、神官たちは今から国中を旅して、新たな聖女候補たちを探し出さないといけないのですから」

なんで…どうして…。

「ルティナは…ルティナはどうなるのですか? あの子は、間違いなく次代の聖女に近しい存在です。古来から伝わる聖魔法[サンクチュアリ]の常識を、根底から覆したわ」

ルティナの魔力量は私と同等だけど、制御能力がイマイチだったのに、神殿を追放されてから劇的に変わった。ヒライデン伯の次男リョウト様が彼女を救い、現在も共に行動していると聞いている。あのエリアヒールとキュアの改良型も、彼が発案したものらしいけど、ルティナはそれをもう使いこなしているわ。あの子は生きているのだから、神殿へ呼び戻せばいいじゃない。

「私も、ルティナこそが次代の聖女と思っていますが、彼女を神殿から追放した以上、その処分を簡単に覆せません。聖女様方がご帰還されるまで、『リョウトには彼女やリノアと行動を共にするよう約束を取り付けた』と、ヒライデン伯が仰っていたので、こちらとしても一安心です」

一度下した裁定を覆す、これは神殿側にとっても屈辱のはずだわ。
あはは、よく考えたら、その決断をさせたのも、全部私の企んだ事じゃない。
もう……味方になってくれる人は誰もいないわ。
今日以降、私にとって地獄の日々が始まるのね。

8年間、皆から文句を言われ続け、魂が消滅しても、身体はダメ聖女の見本として語り継がれていく。

「先生…申し訳…ありませんでした」

「こんな事になって残念です。ファーレン侯爵方も今日中に来られるでしょうから、自分で反省の言葉を述べなさい」

「はい」

「あなたは、私の生徒です。魂が消滅するまで、私があなたの側に控えていますよ。語り合えることはできませんが、あなたは1人じゃない」

「ありがとう…ござい…ます」
先生の言葉で、私は泣いた。
彼は何も悪くないのに、私の罪を一部背負ってくれてる。
全部、私が悪いのに。

私は、間違いなく貴族としての身分を剥奪され、親子との縁も切られる。ある意味、あの時の戦いで死んでいた方がマシだったかもしれない。

あの状況下で命の危機を感じた時、真っ先に思い浮かんだのは【保身】。

少しでも躊躇したらタルパに狙われると思い、私は我が身可愛さで悩む事なく、2人の子供たちを差し出した。

取り返しのつかない事件を起こしたからこそ、心を魔物にするしかなかった。だから、私は未来ある8歳の子供(ルティナ)に、奴隷の首輪を装着させ、全ての責任を押し付けて神殿から追い出した。

すぐに死体になると思ったのに、まさか奴隷の首輪を外され、真実を冒険者だけでなく、新聞記者にまで話し、おまけにリノアと仲睦まじい様子まで見せつけた写真を掲載するなんて思いもしなかった。

それだけ2人は、私を恨んでいる。
当然よね。
ルティナとリノアには、正式に謝罪を入れたかったな。
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