加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ

犬社護

文字の大きさ
56 / 61

56話 貧弱な心を鍛え上げよう

しおりを挟む
僕の頭の中には病気に適合化した理想系が見えているけど、これを実現させるには少しばかり時間がかかる。そのため、2人に許可を貰ってから、簡易用の色違いマスクを計10枚(黄色:3枚 水色:3枚 薄いピンク:4枚)をこの場で製作する。

製作時間は、5分程度。

「リ…リョウト、いくら何でも速すぎないか?」

マスクが目の前でポンポン出現する現象を見て、フレミングス子爵は大口を開ける。

「リョウトさん、どうしてそんなに速く作れるの?」

ナナリス様もこの速度に驚き、普通に話しかけてくる。

ギフト[加工]を経由して製作したものは、ステータス内に自動的に登録され、材料さえあれば、登録した全ての物をタップ1つで量産できる仕組みとなっている。今回のマスクに関しては、僕の魔力で製作されたもの、つまり魔力消費だけで簡単に済ませる代物なのだ。ここまで調査されているのなら、ギフト[加工]を説明しないと、帳尻が合わなくなるので、それを踏まえて説明すると…

「そんなギフトが…この世に存在していたとは」
「フレミングス子爵、僕にとっての完成系は、魔道具やマスクに頼らないことなんです」
「そんな事が可能なのか?」
「理論上可能です」

僕の求める完成系、それはマスクの役割をスキルで手助けしてもらうことにある。この世界のスキル体系は、地球でいうところのプログラムに近い。だから、ナナリス様が自身の魔力を制御して、魔力製の換気フィルターとなる目に見えないシールド膜を身体に張り付ければいい。この膜自体にマスクの役割を付与させ、一つのプログラムとして機能できれば、スキルとして発現するはずだ。プログラムという言葉を除いて、それらを説明すると……

2人が、懐疑的な目で僕を見る。これまでの先人の方々の研究のおかげで、魔法の総数は判明されており、新規魔法の作成に幾つも成功例があるので、魔法関係に関しては世間一般に浸透されている。

だが、新規スキルに関しては、成功例がない。

「僕がナナリス様に、直接魔力の制御方法を教えます」
「それはありがたいが、そもそも人がスキルを作成することなど可能なのか?」

「可能です。僕は、伯爵家に保管されている全ての書物を読破しました。その中に、『スキルを作成できたが、それ自体が新規スキルなのかを証明できる術がない』という記載がありました」

これは今思いついた嘘の話だけど、信憑性はあるはずだ。スキルの数は、魔法の数より圧倒的に多い。それ故、それが新規スキルなのか、古来から伝わるスキルなのか判別できない。

難易度こそ高いけど、新規スキルの作成は可能である。

「確かに…ナナリスが自分専用のスキルとして作成できれば、人並みの生活が可能となる。必要なのは、娘の魔力制御と魔力だけか」

フレミングス子爵だけでなく、ナナリス様自身もかなり戸惑っている。

「僕の求めるスキルを作成するには、[魔力具現化]と[付与]の二つが必要不可欠です。まず、ナナリス様には[魔力具現化]を取得してもらい、魔力の制御能力を向上させます」

僕の言葉に戸惑ったのか、ナナリス様がこっちを見て何か言いたそうにしている。

「どうして…そこまでして…私を助けてくれるのですか? ……失礼なことを言いますが……商会目当て? 私と結婚して、貴族の一員に戻りたいのですか?」

「ナナリス、失礼だぞ!?」

フレミングス子爵が、怒りのあまりに席を立ち上がる。

う~ん、ど直球の質問だね。普通は相手を怒らせないよう、もう少しオブラートに言うものだけど、彼女の目は真剣だし、何らかの意図が混じっているように思えるから、正直に答えるか。

「どちらも興味ありませんね。僕は世界中を渡り歩きながら、自由気ままな冒険生活を目指しているんです。あなたの言った内容は、僕の主義に反する。『どうして、そこまでするのか?』、あえて答えるのであれば、中途半端は嫌いなんですよ」

「え?」

「僕がいなければ、誰もマスクを作れない。そんな状況で王都を出て、君が死んでしまったら、正直寝覚めが悪い」

五年前に捨てた家族愛、僕がそれを求める選択をしていれば、父を死なせなかったかもしれない。どうしても、それだけが引っ掛かる。今後、他人に対して、そういった選択ミスを極力起こしたくない。

「だから、最後までやり通す。これが僕の答え、満足したかい?」

彼女の瞳から、僕の身体の全てを見通されているような感覚を受ける。解析系スキルを使用された場合、心に不快感を感じるけど、これにはないということは、ギフトによるものか。ナナリス様は何らかのギフトを使い、僕の真意を探りたいようだ。

「あ…はい」
「これは忠告です。ギフトを使って相手の真偽を図りたいのだろうけど、質問が直球過ぎる。目的を相手に悟られないよう、もう少しオブラートに包んだ方がいい」

「え!?」

ナナリス様は驚愕しているけど、隣にいるフレミングス子爵は右手で顔を押さえ呆れている。

「すまない。娘は、ギフト[審秘眼]を使ったようだ。これは、物や人のステータス内を覗けるだけでなく、情報や言葉に含まれる虚実を見破る効果がある」

僕が自分のギフトを教えたから、フレミングス子爵もあえて教えてくれたのか。

「厄介なギフトをお持ちですね。所持者の技量が低い場合、自分の投げた言葉や相手の言葉次第で、余計な誤解を生んでしまいます。安易に相手の嘘を周囲に教えてしまうと、諍いが生じやすくなるので、慣れるまでは外での使用を控えた方が……」

ナナリス様の顔色がどんどん悪くなっていく。
この様子だと、既にやらかしたようだ。

「もしかして…」
「ああ…浄化用魔道具の小型化に成功したことで、ナナリスにはそれを持たせ、お茶会に何度か出席させたことがある。そこで…な」

ギフトを使うのは自由だけど、それに振り回されたってわけか。

「ちなみに、その浄化用魔道具の形は?」
「小型のリュックサックタイプで、見えないようゆとりのあるドレスを着させて参加させた」

それで馬鹿にされた線は消えたな。

フレミングス子爵から色々と聞いたけど、ナナリス様は参加したお茶会全てでギフトを使い、貴族間の会話で真偽を確認したらしく、偽りと判断した内容の中でも、悪質なものを良かれと思い、周囲に噂としてそっと流したらしい。それらがキッカケで、婚約破棄が3件発生してしまい、2つの家が取り潰しにまで至ったという。

些細な会話であったけど、誰かが念の為と思い調査したらしく、そこから大事に発展したようだ。ナナリス様自身が嫌われたわけではないけれど、自分の仕出かしたことで人の人生を大きく狂わせてしまったこともあり、人との接触を極端に恐れるようになってしまったわけだ。

「使い慣れていないギフトを、お茶会で使用する行為が、そもそもおかしいですね。子供の集まる貴族間の会話なんて、殆どが嘘ばかりだ。誰かの容姿や服装を褒めたり、相手の懐を探り合い、嘘の情報を流して拡散させたりなど、どうしてそんな場所で使わせたんですか?」

「耳が痛いな。私も忠告したんだが、内容の真偽が気になって使ったようだ」

ナナリス様はその時のことを思い出したのか、震えている。彼女自身は周囲から愛され、善良で穏やかな女性のようだけど、病気のせいで社会性が乏しく、お茶会の騒動の影響もあって、人間関係を築けないでいる。

彼女の気持ちもわかる。前世、僕も幽霊から教えてもらった情報をそのまま家に伝えただけで、最終的に一家離散になったからね。

ギフト[審秘眼]自体は有用性のあるもので、貴族なら誰もが欲しがるものだ。ただ、ナナリス様の性格が優し過ぎることもあり、このまま放置すると、ギフトに振り回され、精神が壊れる危険性がある。

「ナナリス様には、強靭な精神が必要ですね。せっかくなので、ルティナとリノアの訓練に付き合ってもらい、僕があなたの貧弱な身体と精神を鍛えていきましょう」

病気を患っている以上、運動を控えていると思うから、現状の体力を2人と比較したい。

「え…」

僕の言葉に驚いたのか、ナナリス様は顔を上げ、僕を凝視する。

「それはありがたい!! リョウト、報酬を支払うから、娘の心身を鍛え上げてくれ!! この敷地内であれば、自由に使ってくれて構わない」

「お父様…」

父親が承諾したものだから、彼女も驚いている。中途半端は嫌いだから、これから3人をどんどん鍛えていこう。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される

向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。 アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。 普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。 白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。 そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。 剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。 だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。 おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。 俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。 ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を! 目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。 スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。 何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。 やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。 「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ! ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。 ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。   2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

処理中です...