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20話 カード戦士とフィリアナ、マリエルの状況を知り怒る
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俺は金貨二十五枚を一枚のカードにした後、ポシェットにしまう。こんな大金を財布に入れたことなど、これまでに一度もない。もし入れてしまったら、挙動不審な態度をとってしまうかもしれない。その点、金貨を一枚のカードにすると、大金を持っているという自覚が和らぐから不思議だ。
「フィックス、《あの女》というのは誰を指しているのですか?」
まずはマフィン様に、こちらの事情を説明したいところだけど、どこまで話していいものか? 本来、相手が王族である以上、聖獣の件に関しては真っ先に話すべき事案だろう。ただ、フィリアナは他国の王族に約七十年間監禁されていたから、自分が聖獣と知られたくないはずだ。となると、冒険者ギルドと同じ説明にした方が無難か。
「直接聞いていませんが、周囲から聞こえてきた声が正しければ、《マリエル》という名前のはずです」
その名を口にした途端、マフィン様の顔色が悪くなる。王族がここまで表情を変化させるという事は、相当な問題児なのか?
「まさか…昨日の件で、彼女は何かしたのでしょうか?」
あ、察してくれている。
それなら話が早い。
「フィリアナは、昨日の魔力暴走に巻き込まれたんです。多少の火傷を負い動けないところを見計らったのか、あの女は奴隷契約を迫ってきました」
「なんですって、彼女がそんな違法行為を!」
マフィン様は、俺の言った内容に驚き絶叫する。王族である以上、こういった違法行為を犯す生徒を見過ごせないはずだ。現在の彼女の状況だけでも教えてほしいところだ。
「真実です。俺がギリギリのところで二人を発見したので、幸い奴隷契約は成されていません。あの女は、令嬢達に見つかるわけにはいかないと豪語した後、その場から逃げました」
あながち、嘘を言っているわけではない。マフィン様はマリエルを知っているかのような言い方をしたが、どういった関係性なのだろうか? 彼女を見ると両目を閉じ、何やら考え込んでいるようだが?
「彼女は私と同じ三年Sクラスなのですが、アレさえなければ本当に優秀な女性なんです。今の王族にとって解決すべき重大事項の一つ、彼女とお兄様の関係性をなんとかしなければ」
お兄様って王子のことだよな?
あの女は聖獣だけでなく、王族にも迷惑を掛けているのか?
「マフィン様、あの女がまたジークハルト殿下とお話しているようですが? それも二人だけで」
ハルヒトさんが冷淡な瞳で、窓腰からある一点を見つめている。俺もフィリアナもマフィン様も席を立ち、その視線の先を辿っていくと、あの時の女マリエルが中庭の噴水付近に設置されているベンチに座り、一人の男性と談笑している。あの男性がジークハルト殿下なのか? 王族だけあって平民とは違い、高貴なオーラを醸し出している。金髪碧眼で、爽やかな顔立ちだ。
「あの子は、またお兄様と二人だけで……お兄様もお兄様よ、アレイラ様という婚約者がおられるのに、以前見たときより距離感が狭くなっているじゃないの‼︎」
かなりご立腹のようだ。俺から見ても、二人の距離感が友人というより、恋人のような印象を受けるが…これって不味い関係性だよな? 殿下には、婚約者がいるんだろ? 中庭で、あんな堂々と二人だけで話し合うのは後々不味いことになるのでは?
「あの女、昨日の今日で、何故あんな笑顔で男と談笑できる? 妾を殺…妾には奴隷契約を迫ろうとしたくせに…」
フィリアナはマリエルに対して、刺し殺すかのような視線を向けている。俺の見た限り、あの女は昨日の出来事について、全く反省していないようにも思える。マフィン様に、昨日の状況を少し聞いてみるか。
「マフィン様、昨日の事件の際、マリエルから何かおかしな点を見受けられませんでしたか?」
もうこの時点でマリエルの印象は最悪、《うんちカード》使用の判断基準として、一応聞いておきたい。
「そういえば王都への帰り道、彼女は何か呟いていましたね。《イベントに失敗》《一人で騒動に立ち向かう》《王道エンド》《友情エンド》とかぶつぶつ言っていたのを、私を含めた数人のクラスメイト達が聞いています。その際、フィリアナという名前は、一切出ていません」
イベント?
王道エンド?
どういう意味だ?
とにかく、あの女にとって、【フィリアナを殺した】という行為は些細な事に該当するわけか。内心《うんちカードはやり過ぎかな》と思っていたが、あの女には罰を与えて自分の仕出かした行為に気づかせた方がいいな。
「マフィン様、この学園に些か迷惑が掛かると思うので、一応伝えておきます。明日以降、あのマリエルという女には、《とある呪い》が天から降りかかるでしょう」
「呪い!? フィックス、マリエルは子爵令嬢ですよ? そんな事をすれば、あなたやフィリアナも只では済みません!」
そう言われる事は、こちらも想定している。
その点に関しては、聖獣の名を利用させてもらおう。
「罰を与えるのは、俺達ではありません……聖獣様です」
「聖…聖獣様? どうして。その名が出てくるのですか?」
さすがの王族も、聖獣と聞いて少し取り乱している。
虚実と真実を織り混ぜて、マフィン様とハルヒトさんを信じさせるか。
「フィリアナは、聖獣様の加護を持っています。昨日の件を聞いた聖獣様は大変お怒りになり、『あの女には即座に罰を与える』と仰ったのです。俺達は説得して怒りを収めることに成功しましたが、『あの女に反省がないのなら近日中に罰を執行する』と仰った後…連絡がとれなくなったのです」
こう言えば、マフィン様もハルヒトさんも信じざるおえないだろう。なんせ、半分真実なのだから、虚実かの判断がわかりにくいはずだ。
「あの子は私達の知らないところで何てことを……今の件、先生方に話しても構いませんか?」
「ええ、構いませんよ。聖獣様曰く、『どんな術者であろうとも、絶対に解呪できない呪いを執行する』と言っていました」
《エンシェントドラゴンのとぐろうんち》、《ガチャカード》の効果を振り祓える術者がいたら、俺も見てみたいよ。マリエルの言ったイベントなどの言葉の意味、裏で何を企んでいるのかわからないけど、フィリアナを殺したことに間違いないんだ。聖獣の怨みを、その身に味合わせてやろう。
「明日が楽しみじゃ。あの女は、全然反省しとらん。呪いを執行するんじゃ!」
フィリアナも、俄然やる気になっているようだ。
「フィックス、その呪いについてなんですが、どんなものか聞いていませんか? 私としては、極力他の学生達に迷惑を掛けたくないのですが」
聖獣が関わっている以上、マフィン様も放っておけないのだろう。
少しくらいなら、内容を教えておいた方がいいか。
まあ、アレを見ただけでどういった対処が必要なのかもわかるはずだ。
「俺も詳しく聞いていませんが、《加護持ち》には視認できるようにしておくと仰っていました」
「加護持ち…ですか? それなら、私やお兄様にも見えますね」
王族は、何らかの加護を持っているのか。今の時点で仲がかなり進展しているようだし、アレを載っけたマリエルを見たら、如何に殿下であろうとも身を引くだろう。マフィン様にも見えているのか質問してくるだろうから、その時に今日の話を言えば絶対に二度と近づかないと思う。フィリアナもさっきからニマニマしていて、明らかに何かを隠しているのが丸わかりだ。二人も気づいているだろうけど、あえて問わないようだ。
「マフィン様、極小生物辞典とマリエルの件は全くの無関係なので、このまま契約を続行ということで宜しいでしょうか?」
急に話を切り替えられたからか、マフィン様は戸惑いながら俺を見る。
「え…ええ、私としても助かります。複写に関しては、近日にメンバーを揃えて開始します。三冊程作りたいので、おそらく一ヶ月以上かかるでしょう。あなたの宿泊先を教えて頂けませんか?」
俺がスラム街の廃墟の位置を教えると、かなり困惑していた。今の俺なら安い宿屋で泊まることも可能だが、慣れ親しんだ場所でないと心から寛げない。フィリアナ自身も俺と似たような境遇のため、スラム街の方が落ち着くと言ってくれたこともあり、彼女はすんなりと納得してくれた。てっきり差別的な目で見られるのかと思ったが、彼女はそういった目で国民を見ないようだ。
全ての用事が済んだことで、俺達はマフィン様と別れ、学園の校舎から出ると、さっきまで中庭にいたマリエルと殿下の姿はなかった。次の授業が始まったのかもしれない。
「フィリアナは偉いな。マリエルを見たことで、魔法で攻撃するんじゃないかとハラハラしたよ」
俺が頭を撫でてあげると、彼女は頬を少し赤らめそっぽを向いた。
なんだ、結構可愛いところもあるじゃないか。
「ふん、妾を子供扱いするな! 其方よりも年上なんじゃぞ!」
俺的には君と話していると、身体的にも精神的にも年下のような印象を受けるよ。子供扱いされたくなかったら、人前で『うんち、うんち』と連呼することを止めような。
「ごめんごめん。フィリアナ、明日の朝、うんちカードを執行するけど、まずは三日間だけに留めよう」
「それは何故じゃ? ずっと、罰を与えれば良いではないか?」
「あのカードを使った時の余波が、想像しにくいからさ。全ての人々から嫌われ、誰も近づいてこない。人によっては、かなり辛い体験だ。君だって、彼女を殺したいほど憎いわけじゃあないだろ?」
殺された直後は、フィリアナだって相当彼女を憎んでいたはずだけど、こうして今を生き楽しんでいる。もし罰の執行で彼女を殺してしまったら、フィリアナだって後々苦しむことになる。極力、それは避けたい。
「そ…それは…そうじゃな。我とて一度殺されておるが、今は彼奴を殺したい程憎んでなどおらん。わかった、フィックスの指示に従おう」
カード戦士になってからまだ三日だというのに、《パーティーからの追放》、《訳わからん女マリエルとの邂逅》、《フィリアナとの主従契約》、なんて濃密な時間が続くんだろう。一月後、王都に危機が訪れるらしいけど、今のところ、その兆候はない。女神様は、俺に何をさせたいのだろう?
「フィックス、《あの女》というのは誰を指しているのですか?」
まずはマフィン様に、こちらの事情を説明したいところだけど、どこまで話していいものか? 本来、相手が王族である以上、聖獣の件に関しては真っ先に話すべき事案だろう。ただ、フィリアナは他国の王族に約七十年間監禁されていたから、自分が聖獣と知られたくないはずだ。となると、冒険者ギルドと同じ説明にした方が無難か。
「直接聞いていませんが、周囲から聞こえてきた声が正しければ、《マリエル》という名前のはずです」
その名を口にした途端、マフィン様の顔色が悪くなる。王族がここまで表情を変化させるという事は、相当な問題児なのか?
「まさか…昨日の件で、彼女は何かしたのでしょうか?」
あ、察してくれている。
それなら話が早い。
「フィリアナは、昨日の魔力暴走に巻き込まれたんです。多少の火傷を負い動けないところを見計らったのか、あの女は奴隷契約を迫ってきました」
「なんですって、彼女がそんな違法行為を!」
マフィン様は、俺の言った内容に驚き絶叫する。王族である以上、こういった違法行為を犯す生徒を見過ごせないはずだ。現在の彼女の状況だけでも教えてほしいところだ。
「真実です。俺がギリギリのところで二人を発見したので、幸い奴隷契約は成されていません。あの女は、令嬢達に見つかるわけにはいかないと豪語した後、その場から逃げました」
あながち、嘘を言っているわけではない。マフィン様はマリエルを知っているかのような言い方をしたが、どういった関係性なのだろうか? 彼女を見ると両目を閉じ、何やら考え込んでいるようだが?
「彼女は私と同じ三年Sクラスなのですが、アレさえなければ本当に優秀な女性なんです。今の王族にとって解決すべき重大事項の一つ、彼女とお兄様の関係性をなんとかしなければ」
お兄様って王子のことだよな?
あの女は聖獣だけでなく、王族にも迷惑を掛けているのか?
「マフィン様、あの女がまたジークハルト殿下とお話しているようですが? それも二人だけで」
ハルヒトさんが冷淡な瞳で、窓腰からある一点を見つめている。俺もフィリアナもマフィン様も席を立ち、その視線の先を辿っていくと、あの時の女マリエルが中庭の噴水付近に設置されているベンチに座り、一人の男性と談笑している。あの男性がジークハルト殿下なのか? 王族だけあって平民とは違い、高貴なオーラを醸し出している。金髪碧眼で、爽やかな顔立ちだ。
「あの子は、またお兄様と二人だけで……お兄様もお兄様よ、アレイラ様という婚約者がおられるのに、以前見たときより距離感が狭くなっているじゃないの‼︎」
かなりご立腹のようだ。俺から見ても、二人の距離感が友人というより、恋人のような印象を受けるが…これって不味い関係性だよな? 殿下には、婚約者がいるんだろ? 中庭で、あんな堂々と二人だけで話し合うのは後々不味いことになるのでは?
「あの女、昨日の今日で、何故あんな笑顔で男と談笑できる? 妾を殺…妾には奴隷契約を迫ろうとしたくせに…」
フィリアナはマリエルに対して、刺し殺すかのような視線を向けている。俺の見た限り、あの女は昨日の出来事について、全く反省していないようにも思える。マフィン様に、昨日の状況を少し聞いてみるか。
「マフィン様、昨日の事件の際、マリエルから何かおかしな点を見受けられませんでしたか?」
もうこの時点でマリエルの印象は最悪、《うんちカード》使用の判断基準として、一応聞いておきたい。
「そういえば王都への帰り道、彼女は何か呟いていましたね。《イベントに失敗》《一人で騒動に立ち向かう》《王道エンド》《友情エンド》とかぶつぶつ言っていたのを、私を含めた数人のクラスメイト達が聞いています。その際、フィリアナという名前は、一切出ていません」
イベント?
王道エンド?
どういう意味だ?
とにかく、あの女にとって、【フィリアナを殺した】という行為は些細な事に該当するわけか。内心《うんちカードはやり過ぎかな》と思っていたが、あの女には罰を与えて自分の仕出かした行為に気づかせた方がいいな。
「マフィン様、この学園に些か迷惑が掛かると思うので、一応伝えておきます。明日以降、あのマリエルという女には、《とある呪い》が天から降りかかるでしょう」
「呪い!? フィックス、マリエルは子爵令嬢ですよ? そんな事をすれば、あなたやフィリアナも只では済みません!」
そう言われる事は、こちらも想定している。
その点に関しては、聖獣の名を利用させてもらおう。
「罰を与えるのは、俺達ではありません……聖獣様です」
「聖…聖獣様? どうして。その名が出てくるのですか?」
さすがの王族も、聖獣と聞いて少し取り乱している。
虚実と真実を織り混ぜて、マフィン様とハルヒトさんを信じさせるか。
「フィリアナは、聖獣様の加護を持っています。昨日の件を聞いた聖獣様は大変お怒りになり、『あの女には即座に罰を与える』と仰ったのです。俺達は説得して怒りを収めることに成功しましたが、『あの女に反省がないのなら近日中に罰を執行する』と仰った後…連絡がとれなくなったのです」
こう言えば、マフィン様もハルヒトさんも信じざるおえないだろう。なんせ、半分真実なのだから、虚実かの判断がわかりにくいはずだ。
「あの子は私達の知らないところで何てことを……今の件、先生方に話しても構いませんか?」
「ええ、構いませんよ。聖獣様曰く、『どんな術者であろうとも、絶対に解呪できない呪いを執行する』と言っていました」
《エンシェントドラゴンのとぐろうんち》、《ガチャカード》の効果を振り祓える術者がいたら、俺も見てみたいよ。マリエルの言ったイベントなどの言葉の意味、裏で何を企んでいるのかわからないけど、フィリアナを殺したことに間違いないんだ。聖獣の怨みを、その身に味合わせてやろう。
「明日が楽しみじゃ。あの女は、全然反省しとらん。呪いを執行するんじゃ!」
フィリアナも、俄然やる気になっているようだ。
「フィックス、その呪いについてなんですが、どんなものか聞いていませんか? 私としては、極力他の学生達に迷惑を掛けたくないのですが」
聖獣が関わっている以上、マフィン様も放っておけないのだろう。
少しくらいなら、内容を教えておいた方がいいか。
まあ、アレを見ただけでどういった対処が必要なのかもわかるはずだ。
「俺も詳しく聞いていませんが、《加護持ち》には視認できるようにしておくと仰っていました」
「加護持ち…ですか? それなら、私やお兄様にも見えますね」
王族は、何らかの加護を持っているのか。今の時点で仲がかなり進展しているようだし、アレを載っけたマリエルを見たら、如何に殿下であろうとも身を引くだろう。マフィン様にも見えているのか質問してくるだろうから、その時に今日の話を言えば絶対に二度と近づかないと思う。フィリアナもさっきからニマニマしていて、明らかに何かを隠しているのが丸わかりだ。二人も気づいているだろうけど、あえて問わないようだ。
「マフィン様、極小生物辞典とマリエルの件は全くの無関係なので、このまま契約を続行ということで宜しいでしょうか?」
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「え…ええ、私としても助かります。複写に関しては、近日にメンバーを揃えて開始します。三冊程作りたいので、おそらく一ヶ月以上かかるでしょう。あなたの宿泊先を教えて頂けませんか?」
俺がスラム街の廃墟の位置を教えると、かなり困惑していた。今の俺なら安い宿屋で泊まることも可能だが、慣れ親しんだ場所でないと心から寛げない。フィリアナ自身も俺と似たような境遇のため、スラム街の方が落ち着くと言ってくれたこともあり、彼女はすんなりと納得してくれた。てっきり差別的な目で見られるのかと思ったが、彼女はそういった目で国民を見ないようだ。
全ての用事が済んだことで、俺達はマフィン様と別れ、学園の校舎から出ると、さっきまで中庭にいたマリエルと殿下の姿はなかった。次の授業が始まったのかもしれない。
「フィリアナは偉いな。マリエルを見たことで、魔法で攻撃するんじゃないかとハラハラしたよ」
俺が頭を撫でてあげると、彼女は頬を少し赤らめそっぽを向いた。
なんだ、結構可愛いところもあるじゃないか。
「ふん、妾を子供扱いするな! 其方よりも年上なんじゃぞ!」
俺的には君と話していると、身体的にも精神的にも年下のような印象を受けるよ。子供扱いされたくなかったら、人前で『うんち、うんち』と連呼することを止めような。
「ごめんごめん。フィリアナ、明日の朝、うんちカードを執行するけど、まずは三日間だけに留めよう」
「それは何故じゃ? ずっと、罰を与えれば良いではないか?」
「あのカードを使った時の余波が、想像しにくいからさ。全ての人々から嫌われ、誰も近づいてこない。人によっては、かなり辛い体験だ。君だって、彼女を殺したいほど憎いわけじゃあないだろ?」
殺された直後は、フィリアナだって相当彼女を憎んでいたはずだけど、こうして今を生き楽しんでいる。もし罰の執行で彼女を殺してしまったら、フィリアナだって後々苦しむことになる。極力、それは避けたい。
「そ…それは…そうじゃな。我とて一度殺されておるが、今は彼奴を殺したい程憎んでなどおらん。わかった、フィックスの指示に従おう」
カード戦士になってからまだ三日だというのに、《パーティーからの追放》、《訳わからん女マリエルとの邂逅》、《フィリアナとの主従契約》、なんて濃密な時間が続くんだろう。一月後、王都に危機が訪れるらしいけど、今のところ、その兆候はない。女神様は、俺に何をさせたいのだろう?
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