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26話 カード戦士、異世界の存在を知る
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マリエルを保護してから二日後の朝、彼女はようやく目覚めてくれた。この二日間、俺かフィリアナが彼女を看病しつつ、俺達はソロとして王都周辺の採取依頼や王都内の溝掃除などをこなしている。ここまでの段階で、学園で騒動などは起きていない。何か起きれば、冒険者ギルドも騒つくはずなんだが、現在まで平常運転となっている。本当に一月後、王都が半壊するのだろうか?
「マリエル、おかゆを作ったけど食べられるか?」
彼女はベッドからゆっくりと起き上がり、俺を見てくる。顔色もかなり回復しているが、生気を感じ取れない。森の中で初めて出会った時、彼女の目からは何か強い熱意というか、意志を感じたのだが、今は全くの逆、肌色も悪く、血の気もない。本当に、死人のような雰囲気を醸し出している。
「食べるわ…その…ありがとう」
細々と少しずつおかゆを食べている。あの時の彼女とは、別人だな。側にいるフィリアナも、俺と同じ感想を抱いているのか、複雑な表情を浮かべている。
「あ…美味しい。日本のおかゆと似てる。あはは…こんな場所で、懐かしさを感じるなんて…もう…帰りたいよ」
日本? そんな国、周辺にあったか? マリエルは何処か感傷に浸り大粒の涙を流しながら、おかゆを食べていく。ごく普通のありふれた味のおかゆなんだが…これって美味いから泣いているのではなく、何か訳ありのような感じだよな? 何かを呟きながら、黙々とおかゆを食べていくマリエル、フィリアナはそんな彼女をじっと見つめている。
「なるほどの…そういう事か。昔、母上から聞いたことはあるが、こうして経験するのは初めてじゃな。そう考えれば、妾の名前を知っていることも辻褄が合う。まあ断定する前に、いくつか質問しようかの」
フィリアナは、彼女の様子から何かを察したのか?
ここは、任せた方が良さそうだな。
「何?」
「な~に簡単な質問じゃ。お前さんの生まれは?」
何故に、そんな質問をするんだ?
マリエルも食事を止め、怪訝な顔をしている。
「ブルセイド王国の王都よ」
「ふむ…では、ここの世界の名前は?」
は?
何だその質問?
俺達の住む世界に、名前なんて存在しないぞ。
「何を言っているの? ここは、異世界ユーフォリアスでしょ?」
何で即答出来るんだよ!?
そもそも、《ユーフォリアス》って何だ?
「もう、わかった。お前さんは、【転生者】の方じゃな?」
転生者? 初めて聞く言葉だ。
マリエルの方は【転生者】と聞いて、明らかに動揺している。
「先に言っておくが、妾もフィックスも転生者ではない。そして、この世界そのものに《名》などない」
沈黙が、部屋を支配する。
フィリアナは聖獣だから、知識も豊富だ。俺の知らない何かを知っているんだ。
俺からは、何も言わない方がいい。
ここは、彼女に任せよう。
「え…ユーフォリアス…じゃないの?」
転生者、ユーフォリアス、俺の知らない言葉が連続して登場する。
この二人は、何を知っているんだ?
「言ったじゃろ、名などない。お前さんの…前世の故郷は、地球の日本という国じゃろ?」
何処だよ、そこは?
「ええ、そうよ」
「ふう~、女神様は異世界の八百万の神々から、また《死んだ若い女子の魂》を貰ったんじゃな。マリエル、大方この国が乙女の舞台で、自分がヒロインと思っているんじゃろ?」
俺は、【女神】という言葉を聞き驚愕する。
それと異なり、マリエルは【乙女】という言葉を聞き驚愕し身体を震わせている。
「おいフィリアナ、俺にわかるよう説明してくれ! もしかしたら、俺は女神に遭っているかもしれないんだ」
「なんじゃと!?」
フィリアナが女神を知っているのなら、話は別だ。
俺の事情も打ち明けよう。
○○○
まず、俺はマリエルから事情を聞いた。フィリアナ曰く、先に彼女の話を聞いておいた方が、話の展開を理解しやすくなるらしい。
そのため、マリエルは俺に理解できるよう、自分の境遇をゆっくりと説明してくれた。彼女は前世の記憶を宿しているらしく、前世での名前は柏木桜、十三歳になってから《乙女ゲーム》というものにハマリ、交通事故死する十九歳まで、十種類以上遊び、多くの世界観を堪能してきた。数あるゲームの中で、ここブルセイド王国王都の学園を舞台としたゲームがあったらしく、自分は前世の記憶を持ったまま、女神の計らいでそのヒロインに転生したと言っている。
そのおかげもあって、ゲームのエンディングまでなら未来を見通せるらしく、その力を使ってこれまで学園の生徒達…と言ってもゲームに登場する人物に限定されるが、彼らに起こる不幸を事前に回避したり、心に闇を抱える者を救ったりしたことで、皆から一定の信頼を置かれる。ただ、調子に乗ったせいで、フィリアナ救出イベントで大失態を犯す。
1) 事故発生からフィリアナ発見までの時間が、あまりにも短かすぎる。
2) 先に光魔法で大火傷を治療すべきところを、治療しないまま自己紹介もしないまま、フィリアナの名前と正体を言い当ててしまった。
これにより、彼女は不審感を抱き逃走する事態に陥る。その後、俺がフィリアナを回復させ、マフィン様に暴露したせいで、全ての信頼が失われ退学処分となり、貴族籍も剥奪され追放処分を受ける。
最後あたり、俺が捕捉したことで、彼女も全てに納得できたようだ。
「こことは違う異世界……本当にあるんだな」
「え…信じてくれるの?」
自分の秘めたる話を他者に話し受け入れられたからか、マリエルの顔色が、少しずつ回復してきている。
以前の俺なら、話が突拍子すぎて信じなかったかもしれない。
でも…
「ああ、信じる。俺自身、俺も似たような経験をしているからね。俺の話については、最後に話すよ。フィリアナ、君の話を聞かせてくれ」
俺の場合、【転生】じゃなくて、【やり直し】と言った方がいい。
「うぬう~、妾としては早うフィックスの話を聞きたいのじゃが仕方ないのう。マリエル、お前さんの話なんじゃが……乙女ゲームの中でも、妾達の登場するものに関しては、虚偽が混じっておる」
いきなりの発言に、俺もマリエルも言葉を失う。さっきの話を聞いた限り、虚偽の発言なんて全く感じなかったからだ。そもそも、ここにきてマリエルが嘘を話すとは思えない。
「私は…」
「最後まで妾の話を聞け」
フィリアナがマリエルの言葉を遮る。
どの部分が虚偽なのか、俺もしっかりと聞いておこう。
「マリエルよ、妾の登場する乙女ゲームのタイトルは何じゃ?」
そういえば、彼女の聞く乙女ゲームの話で、いくつかのタイトルを聞いたけど、肝心のこの世界のタイトルだけは聞いていないな。
「え、タイトル? ……あれ、何だったっけ? 思い出せないわ、なんで?」
おいおい、この世界の名を言えて、何故タイトルを言えないんだよ?
「知らなくて当然じゃ。そんな乙女ゲームは、存在せんのだから」
「え!?」「はあ!?」
衝撃的発言だぞ!?
それじゃあ、マリエルはどうして未来を見通せるんだよ?
「古来から、この世界に危機が訪れる時、女神は地上にいる人類に対し、何らかの啓示を行っておる。危機の度合いによって、その方法は毎回異なる。《王族に神託を贈る》、《勇者や聖女の称号を付与する》、《とある者に未来の映像を見せる》、多種多様じゃ」
そういえば、あの女性も『この世界にも、法律が存在するのよね』と言っていたな。
それに触れないよう、人類に世界の危機を訴えているのか。
「今回、女神はマリエルに、そういう乙女ゲームがあるよう、其方の記憶を改竄したのじゃ。多くの未来を見通せると知れ渡った場合、大概貴族や王族、教会、最悪悪党共に狙われ動きを制限されてしまうからの。【乙女ゲーム】という括りにすれば、其方自身も迂闊に他者に話さんじゃろう」
そうか、そういうことか!
あの時、女神様はこれから起こる未来を《独り言》という意味合いで、俺に教えてくれた。多分、俺の前にマリエルにも教えたけど、彼女は国に起こる未曾有の危機を回避できなかった。
その未来を回避すべく、俺に託したのか!
「マリエル、おかゆを作ったけど食べられるか?」
彼女はベッドからゆっくりと起き上がり、俺を見てくる。顔色もかなり回復しているが、生気を感じ取れない。森の中で初めて出会った時、彼女の目からは何か強い熱意というか、意志を感じたのだが、今は全くの逆、肌色も悪く、血の気もない。本当に、死人のような雰囲気を醸し出している。
「食べるわ…その…ありがとう」
細々と少しずつおかゆを食べている。あの時の彼女とは、別人だな。側にいるフィリアナも、俺と同じ感想を抱いているのか、複雑な表情を浮かべている。
「あ…美味しい。日本のおかゆと似てる。あはは…こんな場所で、懐かしさを感じるなんて…もう…帰りたいよ」
日本? そんな国、周辺にあったか? マリエルは何処か感傷に浸り大粒の涙を流しながら、おかゆを食べていく。ごく普通のありふれた味のおかゆなんだが…これって美味いから泣いているのではなく、何か訳ありのような感じだよな? 何かを呟きながら、黙々とおかゆを食べていくマリエル、フィリアナはそんな彼女をじっと見つめている。
「なるほどの…そういう事か。昔、母上から聞いたことはあるが、こうして経験するのは初めてじゃな。そう考えれば、妾の名前を知っていることも辻褄が合う。まあ断定する前に、いくつか質問しようかの」
フィリアナは、彼女の様子から何かを察したのか?
ここは、任せた方が良さそうだな。
「何?」
「な~に簡単な質問じゃ。お前さんの生まれは?」
何故に、そんな質問をするんだ?
マリエルも食事を止め、怪訝な顔をしている。
「ブルセイド王国の王都よ」
「ふむ…では、ここの世界の名前は?」
は?
何だその質問?
俺達の住む世界に、名前なんて存在しないぞ。
「何を言っているの? ここは、異世界ユーフォリアスでしょ?」
何で即答出来るんだよ!?
そもそも、《ユーフォリアス》って何だ?
「もう、わかった。お前さんは、【転生者】の方じゃな?」
転生者? 初めて聞く言葉だ。
マリエルの方は【転生者】と聞いて、明らかに動揺している。
「先に言っておくが、妾もフィックスも転生者ではない。そして、この世界そのものに《名》などない」
沈黙が、部屋を支配する。
フィリアナは聖獣だから、知識も豊富だ。俺の知らない何かを知っているんだ。
俺からは、何も言わない方がいい。
ここは、彼女に任せよう。
「え…ユーフォリアス…じゃないの?」
転生者、ユーフォリアス、俺の知らない言葉が連続して登場する。
この二人は、何を知っているんだ?
「言ったじゃろ、名などない。お前さんの…前世の故郷は、地球の日本という国じゃろ?」
何処だよ、そこは?
「ええ、そうよ」
「ふう~、女神様は異世界の八百万の神々から、また《死んだ若い女子の魂》を貰ったんじゃな。マリエル、大方この国が乙女の舞台で、自分がヒロインと思っているんじゃろ?」
俺は、【女神】という言葉を聞き驚愕する。
それと異なり、マリエルは【乙女】という言葉を聞き驚愕し身体を震わせている。
「おいフィリアナ、俺にわかるよう説明してくれ! もしかしたら、俺は女神に遭っているかもしれないんだ」
「なんじゃと!?」
フィリアナが女神を知っているのなら、話は別だ。
俺の事情も打ち明けよう。
○○○
まず、俺はマリエルから事情を聞いた。フィリアナ曰く、先に彼女の話を聞いておいた方が、話の展開を理解しやすくなるらしい。
そのため、マリエルは俺に理解できるよう、自分の境遇をゆっくりと説明してくれた。彼女は前世の記憶を宿しているらしく、前世での名前は柏木桜、十三歳になってから《乙女ゲーム》というものにハマリ、交通事故死する十九歳まで、十種類以上遊び、多くの世界観を堪能してきた。数あるゲームの中で、ここブルセイド王国王都の学園を舞台としたゲームがあったらしく、自分は前世の記憶を持ったまま、女神の計らいでそのヒロインに転生したと言っている。
そのおかげもあって、ゲームのエンディングまでなら未来を見通せるらしく、その力を使ってこれまで学園の生徒達…と言ってもゲームに登場する人物に限定されるが、彼らに起こる不幸を事前に回避したり、心に闇を抱える者を救ったりしたことで、皆から一定の信頼を置かれる。ただ、調子に乗ったせいで、フィリアナ救出イベントで大失態を犯す。
1) 事故発生からフィリアナ発見までの時間が、あまりにも短かすぎる。
2) 先に光魔法で大火傷を治療すべきところを、治療しないまま自己紹介もしないまま、フィリアナの名前と正体を言い当ててしまった。
これにより、彼女は不審感を抱き逃走する事態に陥る。その後、俺がフィリアナを回復させ、マフィン様に暴露したせいで、全ての信頼が失われ退学処分となり、貴族籍も剥奪され追放処分を受ける。
最後あたり、俺が捕捉したことで、彼女も全てに納得できたようだ。
「こことは違う異世界……本当にあるんだな」
「え…信じてくれるの?」
自分の秘めたる話を他者に話し受け入れられたからか、マリエルの顔色が、少しずつ回復してきている。
以前の俺なら、話が突拍子すぎて信じなかったかもしれない。
でも…
「ああ、信じる。俺自身、俺も似たような経験をしているからね。俺の話については、最後に話すよ。フィリアナ、君の話を聞かせてくれ」
俺の場合、【転生】じゃなくて、【やり直し】と言った方がいい。
「うぬう~、妾としては早うフィックスの話を聞きたいのじゃが仕方ないのう。マリエル、お前さんの話なんじゃが……乙女ゲームの中でも、妾達の登場するものに関しては、虚偽が混じっておる」
いきなりの発言に、俺もマリエルも言葉を失う。さっきの話を聞いた限り、虚偽の発言なんて全く感じなかったからだ。そもそも、ここにきてマリエルが嘘を話すとは思えない。
「私は…」
「最後まで妾の話を聞け」
フィリアナがマリエルの言葉を遮る。
どの部分が虚偽なのか、俺もしっかりと聞いておこう。
「マリエルよ、妾の登場する乙女ゲームのタイトルは何じゃ?」
そういえば、彼女の聞く乙女ゲームの話で、いくつかのタイトルを聞いたけど、肝心のこの世界のタイトルだけは聞いていないな。
「え、タイトル? ……あれ、何だったっけ? 思い出せないわ、なんで?」
おいおい、この世界の名を言えて、何故タイトルを言えないんだよ?
「知らなくて当然じゃ。そんな乙女ゲームは、存在せんのだから」
「え!?」「はあ!?」
衝撃的発言だぞ!?
それじゃあ、マリエルはどうして未来を見通せるんだよ?
「古来から、この世界に危機が訪れる時、女神は地上にいる人類に対し、何らかの啓示を行っておる。危機の度合いによって、その方法は毎回異なる。《王族に神託を贈る》、《勇者や聖女の称号を付与する》、《とある者に未来の映像を見せる》、多種多様じゃ」
そういえば、あの女性も『この世界にも、法律が存在するのよね』と言っていたな。
それに触れないよう、人類に世界の危機を訴えているのか。
「今回、女神はマリエルに、そういう乙女ゲームがあるよう、其方の記憶を改竄したのじゃ。多くの未来を見通せると知れ渡った場合、大概貴族や王族、教会、最悪悪党共に狙われ動きを制限されてしまうからの。【乙女ゲーム】という括りにすれば、其方自身も迂闊に他者に話さんじゃろう」
そうか、そういうことか!
あの時、女神様はこれから起こる未来を《独り言》という意味合いで、俺に教えてくれた。多分、俺の前にマリエルにも教えたけど、彼女は国に起こる未曾有の危機を回避できなかった。
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