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28話 学園大騒動勃発
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俺とフィリアナは、迷うことなく学園へと駆けていく。マリエルは回復したばかりで、体調も万全ではないため、俺の寝ぐらで休んでいる。学園を退学処分された彼女が突然現れたら、別の意味で騒ぎになってしまうからだ。今回の目的はマフィン様に状況を伝えること、マリエルは騒動勃発までに体調を整えてもらわないといけない。
もう少しで学園へ到着すると思った時、突然学園の方向から禍々しい魔力を感じ、進行方向から凍てつくような強風が吹いてきた。強風自体はすぐ止んだものの、身を竦ませる様な巨大魔力を持つ何かは健在のようだ。
「フィリアナ、まさかとは思うけど……」
「どうやら遅かったようじゃな。何らかの魔物が召喚されたようじゃ。それも、とびきり禍々しい魔物がな」
勘弁してくれよ。
何が、召喚されたんだよ。
こっちは、何の準備もしていないんだぞ!
ただ、俺自身恐怖を感じてはいるのだけど、周囲の人達の様な恐慌状態を引き起こす程ではない。あの時の罠にいた巨大石像に比べたら、そこまでの恐怖を感じない。
「ふ~む、この身を凍りつかせる程の強力な凍気、氷属性じゃな。これは、ヒュドラではない」
「え…ということは、マリエルの言ったルートから外れた魔物?」
「うむ、それに霊気も感じる。相手は、氷と幻属性を持っておるな」
【霊気】って……固有スキル【物理攻撃無効】を持つゴースト族の様な精神体のみが持つ特殊な力のことだよな? その力を糧に、《憑依》《ドレイン》《侵食》と言った精神系のスキルや魔法を放てたはずだ。ゴースト族の弱点は、《火》《光》《聖》の三つなんだが…
「相手はゴースト族か?」
「そこまではわからん。じゃが、その魔物を討伐するには《光》か《聖》の属性を持った者が必要じゃ。しかも、皆に属性を付与させる《ライトエンチャント》か《ホーリーエンチャント》がないと、物理攻撃によるダメージを与えられん」
おいおい、それって不味いだろ? マリエルの話だと学園の中でその力を持つ者は、彼女以外だと悪役令嬢と呼ばれる《アレイラ》しかいない。彼女の強さは不明だけど、学生一人で対応できるレベルの魔物じゃないだろう?
「フィリアナ、学園へ急ごう。俺も、冒険者の端くれだ。その魔物と戦ってやる!」
「その意気じゃ。フィックスには、カードガチャがある。その効果次第では、切り札にもなりえるからの」
……俺達が学園へと到着すると、そこは一面氷の世界へと大変貌を遂げていた。
校庭内にいる四割程の生徒達は完全氷に覆われており、三割は氷に身体を浸食され、寒さのためか全身を震わせているのだが、残りの生徒達は何故か無傷のようだ。こうやって見渡したことで、一つ気になる点がある。
それは、彼らの立ち位置だ。
氷の影響を受けていない者達のすぐ側には、完全氷漬けとなった学生もいる。
この差は、何だ?
諸悪の根源ともいえる魔物は、地上から十メートル付近に漂っており、現在も周囲に凍えるような凍気を拡散させているが、まるで意思を持っているかの様に、凍る者と凍らない者を選別させているように思える。
「見たことのない魔物だ」
元は、一つの球体だと思う。その球体の中心から、ドラゴンの様な首が無数に生えている。外殻の色からして青白い氷っぽく感じるが、全身が揺らめいていることから、実態はなさそうだ。大きさは、全長八メートル程か?
「あれは、アストラルゴーゴンヘッドじゃ」
「どんな魔物なんだ?」
「負の思念の塊じゃな。稀にあるんじゃよ。負の思念が集合し、それが一つの意志となって魔物化することが。強さは負の強さに依存するのじゃが、あれからは相当な怒りや蟠りを感じるの。ほれ、あの魔物の中心をよく見ろ、人が入っておるじゃろ?」
フィリアナに言われよく目を凝らすと、魔物の中心部に意識のない一人の男子生徒がいた。
「入ってはいるけど、一人だけだ。たった一人の念だけで、魔物が生まれるのか?」
「状況によるの。多分、あの者は自分以外の連中から相当な迫害を受けていたんじゃ。そして、何かがキッカケとなって魔物化したんじゃろう。校庭の様子を見た限り、今のところあの生徒の自我は残っておる様じゃ。その証拠に、ブレスを浴びても無傷な者がおる」
あれは、そういう意味か。
「自我を持っているのなら、説得できるんじゃないか?」
「無理じゃ。おそらく……あと五分程で負の念が奴の自我を呑みこみ、完全な一匹の魔物と化すじゃろう」
討伐するしかない…ということか。
俺達は、どう行動すべきだろう?
マリエルの話そのものをマフィン様に説明する時間すら、もう残されていない。
現在、無傷の学生や先生達が魔物化した学生を説得していることで、魔物の方も苦しんでいるせいか、ブレス照射を中断させているものの、完全魔物化するまで時間の問題だろう。
「フィックス、彼らが時間を稼いでいる間に、補助系のカードガチャをやっておくんじゃ」
「魔法系じゃなくて、補助系でいいのか?」
魔法系なら運次第だが、魔物を一撃で屠るカードが出現するかもしれない。
「お前さんに【導き手】のスキルがあれば、必ず補助系カードで上手くいくはずじゃ」
導き手?
そんなスキル、知らないぞ?
「妾は、学園全体を聖属性の領域で覆うことに専念する。聖属性で満たせば、負の念を少しだけ弱体化させるから、魔物化するまで時間を稼げるはずじゃ。その後、回復魔法を使用すれば氷漬けとなった学生達を救えるじゃろう。氷漬けされてから時間も経過していないから、今はまだ仮死状態、必ず救えるはずじゃ」
聖魔法【ホーリーフィールド】か、ある一定領域を聖属性で囲うことで、その領域内に限り、光と聖魔法を大幅に強化させる効果を持つ。フィリアナが回復に徹している間、俺が補助系カードで奴の足止めをする手筈か。【導き手】の意味がわからないけど、ここはフィリアナを信じよう。
「わかった。どんな補助カードが出るかわからないけど、俺と動ける者達で魔物と戦うよ」
今日の分のガチャは、まだ実施していない。一度限りのガチャである以上、俺の運を女神様に託す。早速、俺は補助系・移動系のカードガチャ、カードデルを実施したのだが、出てきたカードに絶句することとなる。
もう少しで学園へ到着すると思った時、突然学園の方向から禍々しい魔力を感じ、進行方向から凍てつくような強風が吹いてきた。強風自体はすぐ止んだものの、身を竦ませる様な巨大魔力を持つ何かは健在のようだ。
「フィリアナ、まさかとは思うけど……」
「どうやら遅かったようじゃな。何らかの魔物が召喚されたようじゃ。それも、とびきり禍々しい魔物がな」
勘弁してくれよ。
何が、召喚されたんだよ。
こっちは、何の準備もしていないんだぞ!
ただ、俺自身恐怖を感じてはいるのだけど、周囲の人達の様な恐慌状態を引き起こす程ではない。あの時の罠にいた巨大石像に比べたら、そこまでの恐怖を感じない。
「ふ~む、この身を凍りつかせる程の強力な凍気、氷属性じゃな。これは、ヒュドラではない」
「え…ということは、マリエルの言ったルートから外れた魔物?」
「うむ、それに霊気も感じる。相手は、氷と幻属性を持っておるな」
【霊気】って……固有スキル【物理攻撃無効】を持つゴースト族の様な精神体のみが持つ特殊な力のことだよな? その力を糧に、《憑依》《ドレイン》《侵食》と言った精神系のスキルや魔法を放てたはずだ。ゴースト族の弱点は、《火》《光》《聖》の三つなんだが…
「相手はゴースト族か?」
「そこまではわからん。じゃが、その魔物を討伐するには《光》か《聖》の属性を持った者が必要じゃ。しかも、皆に属性を付与させる《ライトエンチャント》か《ホーリーエンチャント》がないと、物理攻撃によるダメージを与えられん」
おいおい、それって不味いだろ? マリエルの話だと学園の中でその力を持つ者は、彼女以外だと悪役令嬢と呼ばれる《アレイラ》しかいない。彼女の強さは不明だけど、学生一人で対応できるレベルの魔物じゃないだろう?
「フィリアナ、学園へ急ごう。俺も、冒険者の端くれだ。その魔物と戦ってやる!」
「その意気じゃ。フィックスには、カードガチャがある。その効果次第では、切り札にもなりえるからの」
……俺達が学園へと到着すると、そこは一面氷の世界へと大変貌を遂げていた。
校庭内にいる四割程の生徒達は完全氷に覆われており、三割は氷に身体を浸食され、寒さのためか全身を震わせているのだが、残りの生徒達は何故か無傷のようだ。こうやって見渡したことで、一つ気になる点がある。
それは、彼らの立ち位置だ。
氷の影響を受けていない者達のすぐ側には、完全氷漬けとなった学生もいる。
この差は、何だ?
諸悪の根源ともいえる魔物は、地上から十メートル付近に漂っており、現在も周囲に凍えるような凍気を拡散させているが、まるで意思を持っているかの様に、凍る者と凍らない者を選別させているように思える。
「見たことのない魔物だ」
元は、一つの球体だと思う。その球体の中心から、ドラゴンの様な首が無数に生えている。外殻の色からして青白い氷っぽく感じるが、全身が揺らめいていることから、実態はなさそうだ。大きさは、全長八メートル程か?
「あれは、アストラルゴーゴンヘッドじゃ」
「どんな魔物なんだ?」
「負の思念の塊じゃな。稀にあるんじゃよ。負の思念が集合し、それが一つの意志となって魔物化することが。強さは負の強さに依存するのじゃが、あれからは相当な怒りや蟠りを感じるの。ほれ、あの魔物の中心をよく見ろ、人が入っておるじゃろ?」
フィリアナに言われよく目を凝らすと、魔物の中心部に意識のない一人の男子生徒がいた。
「入ってはいるけど、一人だけだ。たった一人の念だけで、魔物が生まれるのか?」
「状況によるの。多分、あの者は自分以外の連中から相当な迫害を受けていたんじゃ。そして、何かがキッカケとなって魔物化したんじゃろう。校庭の様子を見た限り、今のところあの生徒の自我は残っておる様じゃ。その証拠に、ブレスを浴びても無傷な者がおる」
あれは、そういう意味か。
「自我を持っているのなら、説得できるんじゃないか?」
「無理じゃ。おそらく……あと五分程で負の念が奴の自我を呑みこみ、完全な一匹の魔物と化すじゃろう」
討伐するしかない…ということか。
俺達は、どう行動すべきだろう?
マリエルの話そのものをマフィン様に説明する時間すら、もう残されていない。
現在、無傷の学生や先生達が魔物化した学生を説得していることで、魔物の方も苦しんでいるせいか、ブレス照射を中断させているものの、完全魔物化するまで時間の問題だろう。
「フィックス、彼らが時間を稼いでいる間に、補助系のカードガチャをやっておくんじゃ」
「魔法系じゃなくて、補助系でいいのか?」
魔法系なら運次第だが、魔物を一撃で屠るカードが出現するかもしれない。
「お前さんに【導き手】のスキルがあれば、必ず補助系カードで上手くいくはずじゃ」
導き手?
そんなスキル、知らないぞ?
「妾は、学園全体を聖属性の領域で覆うことに専念する。聖属性で満たせば、負の念を少しだけ弱体化させるから、魔物化するまで時間を稼げるはずじゃ。その後、回復魔法を使用すれば氷漬けとなった学生達を救えるじゃろう。氷漬けされてから時間も経過していないから、今はまだ仮死状態、必ず救えるはずじゃ」
聖魔法【ホーリーフィールド】か、ある一定領域を聖属性で囲うことで、その領域内に限り、光と聖魔法を大幅に強化させる効果を持つ。フィリアナが回復に徹している間、俺が補助系カードで奴の足止めをする手筈か。【導き手】の意味がわからないけど、ここはフィリアナを信じよう。
「わかった。どんな補助カードが出るかわからないけど、俺と動ける者達で魔物と戦うよ」
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