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エピローグ 普通の冒険者生活に……戻れなさそうです
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結論から言おう。
フィリアナのホーリブレスによって、魔物アストラルゴーゴンヘッドは中の生徒だけを残し消滅した。俺がフィリアナと合流し、彼女が聖獣であることを生徒達に告げると、皆半信半疑であったが、聖獣形態パピヨン種になった事で信じたのか、あらゆる箇所から大歓声が聞こえてきた。校舎内や校庭問わず、多くの先生や生徒達が、彼女の戦法と考えたようで、俺には全く注目が集まっていないようだ。ちょっと残念な気もするが、カードのことを皆に知られるわけにはいかないので、俺にとっては好都合な展開だ。あの魔物、まともに戦えば、大勢の死者が発生していたはずだ。犠牲者もなく、こうして無事に解決できたのはカードとフィリアナの力によるもの。
今後、フィリアナだけが注目の的となる。
寝ぐらに戻ったら、これからの行動を考えないといけない。
この後、俺達は学園長室へと案内され、学園長や王族の王子やマフィン王女からもお礼を盛大に言われたが(主にフィリアナが!!)、彼女は極めて冷静に対処し、《マリエルからされた仕打ち》、《俺が瀕死状態の彼女を救出したこと(【瀕死】設定にしておいた)》や《天罰》の件を話し、今ではマリエルや学園の生徒達を恨んでなどいないと断言した事で、皆がその態度にホッとしていたのは俺の目から見てもわかった。現在、俺と組んで冒険者活動を続けていくことも宣言したこともあって、別れ際、俺は皆から《聖獣》に関する本や、聖獣保護法に関わる法律などの専門書を手渡され、【聖獣に関して多くの知識を身につけておきなさい】とアドバイスされた。
また、魔物化した生徒は、俺達が初めてここへ来た際に見かけた体内魔力に欠陥を持つ男子生徒で、フィリアナが助言したことで、すぐに仙術師に診てもらったのだが、相手が悪徳仙術師であったらしく、治療には法外な値段を請求され、払えないと言ったことで、態度が一変しそのまま何もせず帰っていった。そして、その光景を盗み見ていた生徒が皆に言いふらした事で状況が悪化、件の生徒の堪忍袋が切れてしまい、魔物化したようだ。
フィリアナは自分のふとした発言がキッカケとなって、こんな騒動を起こしてしまったと思い、保健室で寝ている男子生徒のもとへ向かい、彼の抱える病巣を聖魔法で浄化させ、内に眠る魔力が暴走しないよう、ゆっくりと彼の体に馴染むよう魔力を身体全体へと循環させた。この治療もあって、俺達が寝ぐらへ帰還できたのは夕方となってしまった。
○○○
寝ぐらへと戻り、俺がマリエルに学園内で起きた出来事を全て話すと、彼女は気が抜けたのか、ベッドにへたり込んでしまう。元々、病み上がり状態だから、立っているのもしんどいはずだ。
「何よそれ~誰も死ぬ事なく事件解決って、あなたの持つカードってチートスキルじゃない!!」
チートスキル?
「私の頭上にあるウンチも、フィックスの仕業なんだよね?」
「ああ、そうだよ。今は、元のカードに戻しているから安心していい」
安心させようと思い言った言葉なのだけど、彼女は右腕を横に振りながらこう呟いた。
「いやいや、もう遅いって。私、全てを失った後だもん。でも、どうしてか身体が軽いのよね。何か呪縛から解放されたような感覚よ」
マリエルとは少ししか話していないが、この話し方は平民寄りだな。ゲームのことばかり考えていたせいで、ゲームそのものに縛られていたんじゃないのか?
「それで、これからどうするの? フィリアナの正体が露見された以上、二人共絶対に目立つよ? 多分、貴族達も動き出す」
それに関しては、ここに来るまでにフィリアナと相談済だ。
「大丈夫、今後のことも考えている。ほとぼりが醒めるまで、王都を出ようと思うんだ。目指す場所は【聖獣の里】」
俺の言葉に驚いたのか、彼女は口を閉ざし何やら考え込んでいる。
なんとなく、次の言葉が何なんなのかわかるよ。
「私も連れてって!! もう、ここには私の居場所がないの!! お願い!!」
俺はフィリアナを見て、苦笑する。
俺もフィリアナも、マリエルがこういうと思ったからだ。
「仕方ないのう。お前さん、反省しているようじゃし、妾達のパーティーに入れてやろう」
「やった!!」
両手でガッツポーズか。
この子は、元々が前向きで明るい性格なんだな。
フィリアナも、自分を殺した相手なのにマリエルの全てを知ったことで、彼女の罪を赦している。
聖獣の里へ行くことは、フィリアナのためだけじゃない。俺の隠し持つスキル【導き手】について、もっと情報を知りたいと思ったからだ。ここに来るまで、フィリアナから聞いてはいたけど、彼女自身もはっきりとはわからないそうだ。一つ言えることは、俺には【導き手】と【女神の気まぐれ】というスキルがあるらしい。
【導き手】
俺自身が人々と深く繋がっていくことで、俺と関わりのある人物達は生きていく上で最善のルートを辿りやすくなるらしい。これは、俺とその人との繋がりの深さに依存するらしく、深く関われば関わる程、その効果が増加していく。
【女神の気まぐれ】
ごく稀に、女神は特定の人間に対し、何らかのスキルを与える。どんなものかは一切不明、全て彼女の気まぐれによるもの。俺の場合、出てくるカードが全て精霊か女神による気まぐれで制作された可能性が高い。俺自身、言われたことでもあるからだ。ただ、裏を返せば、俺の行く先々で危険が迫った場合、女神が何らかの形で力を貸してくれるということだ。問題は、俺以外にもこういった気まぐれに付き合わされた人達がいるはずなんだが、その人達の末路がどうなったのか、そこが気になるんだよ。フィリアナ自身も、そこだけはわからないようだ。
こういった自分に関わることを、聖獣様のおられる里へ出向き、直接聞いてみたいと思っている。
一度死に、女神に気にかけてもらって以降、俺の人生が激変している。聖獣や聖女候補とも知り合ったし、今後もスキルのせいで多くの人々と知り合っていく可能性が高い。聖獣様に、何らかのアドバイスをもらいたい。
そのために、【聖獣の里】へ向おう!!
俺のやり直しの冒険、ここからが本当のスタートかもしれないな。
《完》
ここまで御愛読して頂き、誠にありがとうございます。
ふと思いついたアイデアを、物語にしてみました。
次回作は、これまでの作品とは違った趣向のものにしたいと思います。
犬社護
フィリアナのホーリブレスによって、魔物アストラルゴーゴンヘッドは中の生徒だけを残し消滅した。俺がフィリアナと合流し、彼女が聖獣であることを生徒達に告げると、皆半信半疑であったが、聖獣形態パピヨン種になった事で信じたのか、あらゆる箇所から大歓声が聞こえてきた。校舎内や校庭問わず、多くの先生や生徒達が、彼女の戦法と考えたようで、俺には全く注目が集まっていないようだ。ちょっと残念な気もするが、カードのことを皆に知られるわけにはいかないので、俺にとっては好都合な展開だ。あの魔物、まともに戦えば、大勢の死者が発生していたはずだ。犠牲者もなく、こうして無事に解決できたのはカードとフィリアナの力によるもの。
今後、フィリアナだけが注目の的となる。
寝ぐらに戻ったら、これからの行動を考えないといけない。
この後、俺達は学園長室へと案内され、学園長や王族の王子やマフィン王女からもお礼を盛大に言われたが(主にフィリアナが!!)、彼女は極めて冷静に対処し、《マリエルからされた仕打ち》、《俺が瀕死状態の彼女を救出したこと(【瀕死】設定にしておいた)》や《天罰》の件を話し、今ではマリエルや学園の生徒達を恨んでなどいないと断言した事で、皆がその態度にホッとしていたのは俺の目から見てもわかった。現在、俺と組んで冒険者活動を続けていくことも宣言したこともあって、別れ際、俺は皆から《聖獣》に関する本や、聖獣保護法に関わる法律などの専門書を手渡され、【聖獣に関して多くの知識を身につけておきなさい】とアドバイスされた。
また、魔物化した生徒は、俺達が初めてここへ来た際に見かけた体内魔力に欠陥を持つ男子生徒で、フィリアナが助言したことで、すぐに仙術師に診てもらったのだが、相手が悪徳仙術師であったらしく、治療には法外な値段を請求され、払えないと言ったことで、態度が一変しそのまま何もせず帰っていった。そして、その光景を盗み見ていた生徒が皆に言いふらした事で状況が悪化、件の生徒の堪忍袋が切れてしまい、魔物化したようだ。
フィリアナは自分のふとした発言がキッカケとなって、こんな騒動を起こしてしまったと思い、保健室で寝ている男子生徒のもとへ向かい、彼の抱える病巣を聖魔法で浄化させ、内に眠る魔力が暴走しないよう、ゆっくりと彼の体に馴染むよう魔力を身体全体へと循環させた。この治療もあって、俺達が寝ぐらへ帰還できたのは夕方となってしまった。
○○○
寝ぐらへと戻り、俺がマリエルに学園内で起きた出来事を全て話すと、彼女は気が抜けたのか、ベッドにへたり込んでしまう。元々、病み上がり状態だから、立っているのもしんどいはずだ。
「何よそれ~誰も死ぬ事なく事件解決って、あなたの持つカードってチートスキルじゃない!!」
チートスキル?
「私の頭上にあるウンチも、フィックスの仕業なんだよね?」
「ああ、そうだよ。今は、元のカードに戻しているから安心していい」
安心させようと思い言った言葉なのだけど、彼女は右腕を横に振りながらこう呟いた。
「いやいや、もう遅いって。私、全てを失った後だもん。でも、どうしてか身体が軽いのよね。何か呪縛から解放されたような感覚よ」
マリエルとは少ししか話していないが、この話し方は平民寄りだな。ゲームのことばかり考えていたせいで、ゲームそのものに縛られていたんじゃないのか?
「それで、これからどうするの? フィリアナの正体が露見された以上、二人共絶対に目立つよ? 多分、貴族達も動き出す」
それに関しては、ここに来るまでにフィリアナと相談済だ。
「大丈夫、今後のことも考えている。ほとぼりが醒めるまで、王都を出ようと思うんだ。目指す場所は【聖獣の里】」
俺の言葉に驚いたのか、彼女は口を閉ざし何やら考え込んでいる。
なんとなく、次の言葉が何なんなのかわかるよ。
「私も連れてって!! もう、ここには私の居場所がないの!! お願い!!」
俺はフィリアナを見て、苦笑する。
俺もフィリアナも、マリエルがこういうと思ったからだ。
「仕方ないのう。お前さん、反省しているようじゃし、妾達のパーティーに入れてやろう」
「やった!!」
両手でガッツポーズか。
この子は、元々が前向きで明るい性格なんだな。
フィリアナも、自分を殺した相手なのにマリエルの全てを知ったことで、彼女の罪を赦している。
聖獣の里へ行くことは、フィリアナのためだけじゃない。俺の隠し持つスキル【導き手】について、もっと情報を知りたいと思ったからだ。ここに来るまで、フィリアナから聞いてはいたけど、彼女自身もはっきりとはわからないそうだ。一つ言えることは、俺には【導き手】と【女神の気まぐれ】というスキルがあるらしい。
【導き手】
俺自身が人々と深く繋がっていくことで、俺と関わりのある人物達は生きていく上で最善のルートを辿りやすくなるらしい。これは、俺とその人との繋がりの深さに依存するらしく、深く関われば関わる程、その効果が増加していく。
【女神の気まぐれ】
ごく稀に、女神は特定の人間に対し、何らかのスキルを与える。どんなものかは一切不明、全て彼女の気まぐれによるもの。俺の場合、出てくるカードが全て精霊か女神による気まぐれで制作された可能性が高い。俺自身、言われたことでもあるからだ。ただ、裏を返せば、俺の行く先々で危険が迫った場合、女神が何らかの形で力を貸してくれるということだ。問題は、俺以外にもこういった気まぐれに付き合わされた人達がいるはずなんだが、その人達の末路がどうなったのか、そこが気になるんだよ。フィリアナ自身も、そこだけはわからないようだ。
こういった自分に関わることを、聖獣様のおられる里へ出向き、直接聞いてみたいと思っている。
一度死に、女神に気にかけてもらって以降、俺の人生が激変している。聖獣や聖女候補とも知り合ったし、今後もスキルのせいで多くの人々と知り合っていく可能性が高い。聖獣様に、何らかのアドバイスをもらいたい。
そのために、【聖獣の里】へ向おう!!
俺のやり直しの冒険、ここからが本当のスタートかもしれないな。
《完》
ここまで御愛読して頂き、誠にありがとうございます。
ふと思いついたアイデアを、物語にしてみました。
次回作は、これまでの作品とは違った趣向のものにしたいと思います。
犬社護
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