冤罪で殺された悪役令嬢は精霊となって自分の姪を守護します 〜今更謝罪されても手遅れですわ〜

犬社護

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第一章 姪との出会い

13話 誕生日パーティーの終焉

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王族たちが《翡翠の間》を出ていくと、十分もしないうちに貴族一人一人が呼び出され、尋問が始まり、一時間程経過した時、《翡翠の間》に届く程の女性の怒声が聞こえてきました。

「無礼者!! 私を誰だと思っているの!! 誰かが私を嵌めようとしているのよ!! あの陣の中に、私の魔力の欠片なんてあるはずないでしょう!! こんなのありえないわ!! もう一度解析してちょうだい!! !!」

想定通り、ニーナが捕縛されたようですね。

ここまでの段階で、彼女は犯人ではないものの、その関係者である可能性が高いです。また、あなたがチェルシーを陥れようとしたことは事実、ルーテシアの件で地下牢獄は使用できませんから、容疑が晴れるまで王城の何処かの部屋に閉じ込められるでしょう。しばらくの間、そこで反省するといいですわ。自尊心の高い彼女にとって、この上ない屈辱でしょう。翡翠の間にいる彼女の娘らしき女の子も、この声を聞いてかなり動揺していますわ。許可なく翡翠の間を出てしまうと、誰であろうとも捕縛されてしまいますから、どう行動したらいいのかわからないのでしょう。彼女の父親がいれば問題ないのですが、どうやら欠席しているようですね。

「今の女性の声…まさかとは思うけどエクスランデ公爵夫人?」

チェルシーだけでなく、他の貴族も気づき始め、周囲が騒がしくなってきました。解析作業が終わり、手掛かりとなる欠片の魔力認証を行ったことで、該当人物がニーナと確定したのでしょう。

「チェルシー、容疑者が確保されました。陛下の命で、ここにいる全員が帰還しても良いとのことです。さあ、別邸へ帰りましょう」

周囲が騒つく中、一人の女性がチェルシーとクリスティーのもとへやって来ました。オレンジの髪色をした女性は清楚な細身のドレスを着ているためか、彼女のスタイルの良さが際立っています。また、ネックレスと指輪といった宝石類も身に付けていますが、ドレスと見事に調和しており、彼女の持つ本来の美しさだけが前面に出ています。

「お母様!!」

この方がチェルシーの母、アルテイシア様ですか。こうやって見比べてわかりましたが、チェルシーは、お兄様似のようですね。

「クリスティー、あなたのご両親は《翡翠の間》入口にいます。馬車の手配を済ませたようですから、先にお帰りなさい。明日は休日で学園の授業もありませんから、家族との触れ合いを十分堪能すればいいでしょう」

微笑みながら語る優しい口調、先程のニーナとは正反対ですわ。ニーナの場合、上から目線で言われるため、どんな言葉でも無理に押し付けてくるような圧迫感を感じさせますが、アルテイシア様はそういった圧力を全く感じさせませんし、どちらかというと声を聞いただけで癒される感じがしますわ。

「はい、ありがとうございます!! それじゃあチェルシー、また学園で会おうね」

クリスティーは私たちに軽いお辞儀をしてから入口にいる両親と合流しました。ご両親も私たちに向けて軽くお辞儀してから、翡翠の間を出て行きました。彼女のご家族はフランチェスカ家のため、貴族位は《伯爵》、チェルシーたちよりも格の高い貴族なのですが、偉ぶることなく私たちにお辞儀しましたね。

「お母様、ニーナ様が犯人なのですか?」
「それはわかりません。エクスランデ公爵家が犯人であったとしても、あんなわざとらしい手掛かりを残すとは思えません。まるで…」

何を言いたのかわかりますわ。私自身がやられたことを、そのままニーナにやりましたからね。私としても、複雑な胸中です。

「とにかく、あの方は皆のいる目の前で、チェルシーの印象を落とそうとしたことは事実なのですから、あのような目に遭って胸がスカッとしたわね。そういえば、あなたもいつの間に魔術言語なんて勉強していたのかしら? 本来、あれは専門分野になるから、学園二年生の選択科目を履修しないとわからない内容のはずだけど?」

「あ、あれは…その~…それに関しては馬車内でお話しします」

アルテイシア様に言われ、チェルシーも動揺を隠しきれていないようです。私としても、ここで姿を現すことはできませんから、馬車の中できちんとお話ししましょう。

「あらあら、その様子だと、私に何か隠し事があるようね。でも、ラルカーク様の件に関してはお手柄よ。あのまま黙っていれば、彼は間違いなく大きな挫折を味わい、学園で苦しむことになったでしょうから」

王族主催の誕生日パーティー、そこで催された立志の儀、その失敗は国中の貴族、いえ最悪他国にまで広まったでしょうね。

「ただ、今後チェルシーも学園で注目を浴びるでしょうから気をつけなさい」
「う!? そこまで考えていませんでした」

そう、今回の手柄によりチェルシーも男爵令嬢とはいえ、貴族たちに名を覚えられたでしょう。つまり、皆が『彼女もラルカーク様の婚約者候補に入るかもしれない』と思うはずです。学園生活にも、変化が訪れるかもしれません。

「さあ、私たちも帰りましょう。ここだけの話、ロイドも来てくれているのよ」

アルテイシア様がチェルシーの耳元で、小声で語りかけてきましたが、その名前を聞いたことで私も驚きました。

「え!? 帰りましょう、今すぐ帰りましょう!!」

お兄様が来ている!?

パーティーにお兄様の姿が見えないから残念に思っていたのですが、オースコット家の別邸が王都内にあるのなら、私も絶対に行きますわ!!
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