40 / 48
最終章 事件の真相
40話 容疑者の絞り込み
しおりを挟む
あれからチェルシーたちがこの屋敷へと入ってきて、クバイルム家の家族全員がチェルシーを出迎えてくれました。夕食時に関しては、まるでパーティーであるかのような賑やかさがありましたね。そこには、存在を可視化させた闇精霊イルカも混じっており、豪華な食事を堪能していました。
私がいると、イルカも気を使ってしまうため、現在屋敷の庭園にあるベンチで夜風に吹かれながら、これからの事を考えています。
チェルシーに関しては、身分差交流演習の六日間に限りティエリナやアレンと行動を共にしますので、まず大きな問題も起こらなでしょう。
その間に、私は自分とニーナの事件を解決させたい。
手掛かりは、先程見つけました。
・アイリスとベルナは、遠い未来を見通せる力を持っている。
・アイリスは、未来に起こるであろう悲劇を防ぐため、これまで動いてきた。しかし、《強制力》という謎の力によって阻まれてしまい、フォンテンス家はロイドお兄様のみを残し壊滅した。
私の視点から見て、気になる点は三つありますわ。
一つ目
強制力の意味は不明ですが、【私】は何者かによって殺された。両親の事故も、その者が人為的に引き起こした可能性が高いわ。多分、犯人はアイリスたちと同様未来を見通せる力があり、それを悪用したと考えられるわね。何らかの目的があって、フォンテンス家を潰したのよ。
二つ目
ベルナの存在。
生前、私はアイリスよりも、ベルナと深い親交を持っていました。
あの時の話し合いで、ベルナが未来を見通せる力があるとわかったものの、フォンテンス家を守ろうとする言葉は、彼女の口から紡がれていません。現時点で、アイリスは信用できますが、ベルナは信用できない。
三つ目
この二人だけでなく、未来を見通せる者は最低でもあと一人いるという事ですわ。
二人の言い分が正しいのなら、本来の私の性格は王太子妃として相応しくないものだった。でも、それが相応しい者だったからこそ、アイリスはアルのことを諦めたのよね。
それならば、《その一人》というのは十中八九【グレース】ね。子供の頃の私は、我が儘で傲慢なところもあり、使用人たちや家族を困らせていました。
それを注意し矯正してくれたのが、グレースです。
あの子がいなければ、私はアルに見限られていたかもしれません。
そして、チェルシーの件でロイドお兄様に注意したのがグレースでしたね。もし、その注意がなければ、チェルシーの性格も今とかけ離れたものへ変容していたでしょう。
光の精霊王様が私を見張っているとはいえ、ここまでの時点で注意してくる気配はありません。私が大きく動き出したとしても、いきなり抹消されることはないでしょう。チェルシーとアレンが三年後に殺される危険性がある以上、今のうちに危険因子を排除しておきましょう。その過程で、私が最後に抹消されることになったとしても構いませんわ。どうせ一度死んでいますから、今更死ぬことに対して恐怖もありませんもの。
「よし、覚悟を決めましたわ‼︎」
まずは、【アイリス】・【ベルナ】・【グレース】のいずれかに私の事情を打ち明け、協力してもらわないといけませんわね。
「現時点で最も信頼できるのは【グレース】、その次に【アイリス】ですわね」
まずはグレースにこちらの事情を話して、信用してもらことが先決ですわ。それが上手くいけば、私自らがニーナと対峙します。日記帳を読んだことで、彼女への印象がかなりプラスに転じました。私の正体を知れば、黒幕の名前を教えてくれるかもしれません。生まれて一週間程しか経過していませんが、自分に内蔵されている力の本流を完全制御できてはいませんが、《人と精霊の理》のおかげで、魔術や魔法に関しての制御であれば、上手く扱えるようになりましたから暴走の恐れもないでしょう。
私のこの行動が未来にどう影響してくるのか不明ですが、なんとしてでもグレースとアイリスを説き伏せて、二つの事件の犯人を見つけ出し表舞台に引き摺り出してみせますわ!!
○○○
ここは王城四階にあるグレースの寝室。
流石に一国の王妃だけあって、寝室の調度品だけで、その価値は平民の家を大きく上回っていますわ。時間が遅いこともあって、侍女は退室し、寝室にはグレース一人となっており、今は日記を書いているのか、机で作業中のようです。寝間着に着替えていますから、それが終わり次第就寝するのでしょう。
「今日起きた出来事は、これぐらいね。どうして、事件がこの時期に立て続けに頻発するのかしら? 誰が、裏で動いているのよ」
ペンの進みが止まりました。
どうやら整理がついたようですわね。
「グレース、それは学園での《立志の儀》を指しているのかしら?」
「誰!? 女の子? どうやって、この寝室に!?」
どうやって?
空を飛んで、壁をすり抜けて無断で侵入したのですわ。
後方から私の声が聞こえたためか、彼女は急ぎ立ち上がり振り返ります。
そこにいたのが十三歳くらいの女の子だから、不思議に思って当然ですわね。
「この姿では初めましてになるわね。私は光の帝異精霊ルーテというの」
「て、帝異精霊様!?」
この国の歴史において、精霊王や帝異精霊がこの地に現れたという事象はございません。信頼の置けるフューイ様がおられるのですから、彼に全てを任せているのでしょう。
「ふふ、そんなに畏まらないでいいのよ? あの時、アルとは婚約破棄という形であったけど、お別れの挨拶はできたの。でも、あなたには何もお礼を言えないまま犯人に毒殺されてしまったから、私的に心残りだったのよね。十八年ぶりに目覚めたら、私は精霊になっているし、あなたもアルと結婚していて色々と驚いたわ。死ぬ寸前、誰がアルと結婚するのか気になっていたのだけど、あなたが王妃であれば、この国の将来は安泰ね」
私の言葉に対して、グレースは大きく目を見開き、こちらを凝視したまま身体を震わせます。グレースとの付き合いは十年近くになりますので、勘づいたかもしれませんね。
「ま…まさか、ルーテシアなの?」
「正解よ。生前の名前はルーテシア・フォンテンス、今は転生して光の帝異精霊ルーテよ。よろしくね」
腰が抜けたのか、グレースはそのままズルズルと床に崩れ落ち気絶してしまいました。
う~ん、刺激が強すぎたかしら?
私がいると、イルカも気を使ってしまうため、現在屋敷の庭園にあるベンチで夜風に吹かれながら、これからの事を考えています。
チェルシーに関しては、身分差交流演習の六日間に限りティエリナやアレンと行動を共にしますので、まず大きな問題も起こらなでしょう。
その間に、私は自分とニーナの事件を解決させたい。
手掛かりは、先程見つけました。
・アイリスとベルナは、遠い未来を見通せる力を持っている。
・アイリスは、未来に起こるであろう悲劇を防ぐため、これまで動いてきた。しかし、《強制力》という謎の力によって阻まれてしまい、フォンテンス家はロイドお兄様のみを残し壊滅した。
私の視点から見て、気になる点は三つありますわ。
一つ目
強制力の意味は不明ですが、【私】は何者かによって殺された。両親の事故も、その者が人為的に引き起こした可能性が高いわ。多分、犯人はアイリスたちと同様未来を見通せる力があり、それを悪用したと考えられるわね。何らかの目的があって、フォンテンス家を潰したのよ。
二つ目
ベルナの存在。
生前、私はアイリスよりも、ベルナと深い親交を持っていました。
あの時の話し合いで、ベルナが未来を見通せる力があるとわかったものの、フォンテンス家を守ろうとする言葉は、彼女の口から紡がれていません。現時点で、アイリスは信用できますが、ベルナは信用できない。
三つ目
この二人だけでなく、未来を見通せる者は最低でもあと一人いるという事ですわ。
二人の言い分が正しいのなら、本来の私の性格は王太子妃として相応しくないものだった。でも、それが相応しい者だったからこそ、アイリスはアルのことを諦めたのよね。
それならば、《その一人》というのは十中八九【グレース】ね。子供の頃の私は、我が儘で傲慢なところもあり、使用人たちや家族を困らせていました。
それを注意し矯正してくれたのが、グレースです。
あの子がいなければ、私はアルに見限られていたかもしれません。
そして、チェルシーの件でロイドお兄様に注意したのがグレースでしたね。もし、その注意がなければ、チェルシーの性格も今とかけ離れたものへ変容していたでしょう。
光の精霊王様が私を見張っているとはいえ、ここまでの時点で注意してくる気配はありません。私が大きく動き出したとしても、いきなり抹消されることはないでしょう。チェルシーとアレンが三年後に殺される危険性がある以上、今のうちに危険因子を排除しておきましょう。その過程で、私が最後に抹消されることになったとしても構いませんわ。どうせ一度死んでいますから、今更死ぬことに対して恐怖もありませんもの。
「よし、覚悟を決めましたわ‼︎」
まずは、【アイリス】・【ベルナ】・【グレース】のいずれかに私の事情を打ち明け、協力してもらわないといけませんわね。
「現時点で最も信頼できるのは【グレース】、その次に【アイリス】ですわね」
まずはグレースにこちらの事情を話して、信用してもらことが先決ですわ。それが上手くいけば、私自らがニーナと対峙します。日記帳を読んだことで、彼女への印象がかなりプラスに転じました。私の正体を知れば、黒幕の名前を教えてくれるかもしれません。生まれて一週間程しか経過していませんが、自分に内蔵されている力の本流を完全制御できてはいませんが、《人と精霊の理》のおかげで、魔術や魔法に関しての制御であれば、上手く扱えるようになりましたから暴走の恐れもないでしょう。
私のこの行動が未来にどう影響してくるのか不明ですが、なんとしてでもグレースとアイリスを説き伏せて、二つの事件の犯人を見つけ出し表舞台に引き摺り出してみせますわ!!
○○○
ここは王城四階にあるグレースの寝室。
流石に一国の王妃だけあって、寝室の調度品だけで、その価値は平民の家を大きく上回っていますわ。時間が遅いこともあって、侍女は退室し、寝室にはグレース一人となっており、今は日記を書いているのか、机で作業中のようです。寝間着に着替えていますから、それが終わり次第就寝するのでしょう。
「今日起きた出来事は、これぐらいね。どうして、事件がこの時期に立て続けに頻発するのかしら? 誰が、裏で動いているのよ」
ペンの進みが止まりました。
どうやら整理がついたようですわね。
「グレース、それは学園での《立志の儀》を指しているのかしら?」
「誰!? 女の子? どうやって、この寝室に!?」
どうやって?
空を飛んで、壁をすり抜けて無断で侵入したのですわ。
後方から私の声が聞こえたためか、彼女は急ぎ立ち上がり振り返ります。
そこにいたのが十三歳くらいの女の子だから、不思議に思って当然ですわね。
「この姿では初めましてになるわね。私は光の帝異精霊ルーテというの」
「て、帝異精霊様!?」
この国の歴史において、精霊王や帝異精霊がこの地に現れたという事象はございません。信頼の置けるフューイ様がおられるのですから、彼に全てを任せているのでしょう。
「ふふ、そんなに畏まらないでいいのよ? あの時、アルとは婚約破棄という形であったけど、お別れの挨拶はできたの。でも、あなたには何もお礼を言えないまま犯人に毒殺されてしまったから、私的に心残りだったのよね。十八年ぶりに目覚めたら、私は精霊になっているし、あなたもアルと結婚していて色々と驚いたわ。死ぬ寸前、誰がアルと結婚するのか気になっていたのだけど、あなたが王妃であれば、この国の将来は安泰ね」
私の言葉に対して、グレースは大きく目を見開き、こちらを凝視したまま身体を震わせます。グレースとの付き合いは十年近くになりますので、勘づいたかもしれませんね。
「ま…まさか、ルーテシアなの?」
「正解よ。生前の名前はルーテシア・フォンテンス、今は転生して光の帝異精霊ルーテよ。よろしくね」
腰が抜けたのか、グレースはそのままズルズルと床に崩れ落ち気絶してしまいました。
う~ん、刺激が強すぎたかしら?
20
あなたにおすすめの小説
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
前世ブラックOLの私が転生したら悪役令嬢でした
タマ マコト
ファンタジー
過労で倒れたブラック企業勤めのOLは、目を覚ますと公爵令嬢アーデルハイトとして転生していた。しかも立場は“断罪予定の悪役令嬢”。だが彼女は恋愛や王子の愛を選ばず、社交界を「市場」と見抜く。王家の財政が危ういことを察知し、家の莫大な資産と金融知識を武器に“期限付き融資”という刃を突きつける。理想主義の王太子と衝突しながらも、彼女は決意する――破滅を回避するためではない。国家の金脈を握り、国そのものを立て直すために。悪役令嬢の経済戦争が、静かに幕を開ける。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?
ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」
バシッ!!
わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。
目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの?
最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故?
ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない……
前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた……
前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。
転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
悪役令嬢だから知っているヒロインが幸せになれる条件【8/26完結】
音無砂月
ファンタジー
※ストーリーを全て書き上げた上で予約公開にしています。その為、タイトルには【完結】と入れさせていただいています。
1日1話更新します。
事故で死んで気が付いたら乙女ゲームの悪役令嬢リスティルに転生していた。
バッドエンドは何としてでも回避したいリスティルだけど、攻略対象者であるレオンはなぜかシスコンになっているし、ヒロインのメロディは自分の強運さを過信して傲慢になっているし。
なんだか、みんなゲームとキャラが違い過ぎ。こんなので本当にバッドエンドを回避できるのかしら。
【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。
かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。
謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇!
※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる