冤罪で殺された悪役令嬢は精霊となって自分の姪を守護します 〜今更謝罪されても手遅れですわ〜

犬社護

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最終章 事件の真相

40話 容疑者の絞り込み

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あれからチェルシーたちがこの屋敷へと入ってきて、クバイルム家の家族全員がチェルシーを出迎えてくれました。夕食時に関しては、まるでパーティーであるかのような賑やかさがありましたね。そこには、存在を可視化させた闇精霊イルカも混じっており、豪華な食事を堪能していました。

私がいると、イルカも気を使ってしまうため、現在屋敷の庭園にあるベンチで夜風に吹かれながら、これからの事を考えています。

チェルシーに関しては、身分差交流演習の六日間に限りティエリナやアレンと行動を共にしますので、まず大きな問題も起こらなでしょう。

その間に、私は自分とニーナの事件を解決させたい。
手掛かりは、先程見つけました。

・アイリスとベルナは、遠い未来を見通せる力を持っている。

・アイリスは、未来に起こるであろう悲劇を防ぐため、これまで動いてきた。しかし、《強制力》という謎の力によって阻まれてしまい、フォンテンス家はロイドお兄様のみを残し壊滅した。

私の視点から見て、気になる点は三つありますわ。

一つ目
強制力の意味は不明ですが、【私】は何者かによって殺された。両親の事故も、その者が人為的に引き起こした可能性が高いわ。多分、犯人はアイリスたちと同様未来を見通せる力があり、それを悪用したと考えられるわね。何らかの目的があって、フォンテンス家を潰したのよ。

二つ目
ベルナの存在。
生前、私はアイリスよりも、ベルナと深い親交を持っていました。
あの時の話し合いで、ベルナが未来を見通せる力があるとわかったものの、フォンテンス家を守ろうとする言葉は、彼女の口から紡がれていません。現時点で、アイリスは信用できますが、ベルナは信用できない。

三つ目
この二人だけでなく、未来を見通せる者は最低でもあと一人いるという事ですわ。

二人の言い分が正しいのなら、本来の私の性格は王太子妃として相応しくないものだった。でも、それが相応しい者だったからこそ、アイリスはアルのことを諦めたのよね。
それならば、《その一人》というのは十中八九【グレース】ね。子供の頃の私は、我が儘で傲慢なところもあり、使用人たちや家族を困らせていました。

それを注意し矯正してくれたのが、グレースです。
あの子がいなければ、私はアルに見限られていたかもしれません。

そして、チェルシーの件でロイドお兄様に注意したのがグレースでしたね。もし、その注意がなければ、チェルシーの性格も今とかけ離れたものへ変容していたでしょう。

光の精霊王様が私を見張っているとはいえ、ここまでの時点で注意してくる気配はありません。私が大きく動き出したとしても、いきなり抹消されることはないでしょう。チェルシーとアレンが三年後に殺される危険性がある以上、今のうちに危険因子を排除しておきましょう。その過程で、私が最後に抹消されることになったとしても構いませんわ。どうせ一度死んでいますから、今更死ぬことに対して恐怖もありませんもの。

「よし、覚悟を決めましたわ‼︎」

まずは、【アイリス】・【ベルナ】・【グレース】のいずれかに私の事情を打ち明け、協力してもらわないといけませんわね。

「現時点で最も信頼できるのは【グレース】、その次に【アイリス】ですわね」

まずはグレースにこちらの事情を話して、信用してもらことが先決ですわ。それが上手くいけば、私自らがニーナと対峙します。日記帳を読んだことで、彼女への印象がかなりプラスに転じました。私の正体を知れば、黒幕の名前を教えてくれるかもしれません。生まれて一週間程しか経過していませんが、自分に内蔵されている力の本流を完全制御できてはいませんが、《人と精霊の理》のおかげで、魔術や魔法に関しての制御であれば、上手く扱えるようになりましたから暴走の恐れもないでしょう。

私のこの行動が未来にどう影響してくるのか不明ですが、なんとしてでもグレースとアイリスを説き伏せて、二つの事件の犯人を見つけ出し表舞台に引き摺り出してみせますわ!!


○○○


ここは王城四階にあるグレースの寝室。

流石に一国の王妃だけあって、寝室の調度品だけで、その価値は平民の家を大きく上回っていますわ。時間が遅いこともあって、侍女は退室し、寝室にはグレース一人となっており、今は日記を書いているのか、机で作業中のようです。寝間着に着替えていますから、それが終わり次第就寝するのでしょう。

「今日起きた出来事は、これぐらいね。どうして、事件がこの時期に立て続けに頻発するのかしら? 誰が、裏で動いているのよ」

ペンの進みが止まりました。
どうやら整理がついたようですわね。

「グレース、それは学園での《立志の儀》を指しているのかしら?」
「誰!? 女の子? どうやって、この寝室に!?」

どうやって?
空を飛んで、壁をすり抜けて無断で侵入したのですわ。
後方から私の声が聞こえたためか、彼女は急ぎ立ち上がり振り返ります。
そこにいたのが十三歳くらいの女の子だから、不思議に思って当然ですわね。

「この姿では初めましてになるわね。私は光の帝異精霊ルーテというの」
「て、帝異精霊様!?」

この国の歴史において、精霊王や帝異精霊がこの地に現れたという事象はございません。信頼の置けるフューイ様がおられるのですから、彼に全てを任せているのでしょう。

「ふふ、そんなに畏まらないでいいのよ? あの時、アルとは婚約破棄という形であったけど、お別れの挨拶はできたの。でも、あなたには何もお礼を言えないまま犯人に毒殺されてしまったから、私的に心残りだったのよね。十八年ぶりに目覚めたら、私は精霊になっているし、あなたもアルと結婚していて色々と驚いたわ。死ぬ寸前、誰がアルと結婚するのか気になっていたのだけど、あなたが王妃であれば、この国の将来は安泰ね」

私の言葉に対して、グレースは大きく目を見開き、こちらを凝視したまま身体を震わせます。グレースとの付き合いは十年近くになりますので、勘づいたかもしれませんね。

「ま…まさか、ルーテシアなの?」
「正解よ。生前の名前はルーテシア・フォンテンス、今は転生して光の帝異精霊ルーテよ。よろしくね」

腰が抜けたのか、グレースはそのままズルズルと床に崩れ落ち気絶してしまいました。
う~ん、刺激が強すぎたかしら?
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