冤罪で殺された悪役令嬢は精霊となって自分の姪を守護します 〜今更謝罪されても手遅れですわ〜

犬社護

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最終章 事件の真相

47話 ルーテシアの答え

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異世界の記憶を持つ転生者。

ベルナとグレースからこれまでの三人の行動を全て聞きましたが、何故互いに協力できなかったのかが悔みますわね。

アイリス

ゲーム上における物語のヒロイン
当初、転生者は自分だけしかいないと思い込み、単独で動く。
学園在籍時、《攻略対象者の抱える悩み》を全て解決させた。
《フォンテンス家の崩壊》を起こさないよう奔走するものの、ファンブックの存在を知らないため、全てが空回りとなる。
ベルナが転生者と気付いたのは十八歳の時。
そこからはベルナに自分の動きを明かし、それが正しいかを聞いている。

グレース

ヒロインのサポート役
アイリスが転生者であることに、子供の頃から気づいている。
ベルナが転生者であることに、ついさっきまで知らなかった。
ハッピーエンドを目指し、子供の頃から悪役令嬢たちの性格を矯正していった。
私とチェルシーは、グレースの介入によって、性格も大きく変化し救われている。

《ヒロインざまぁ》《悪役令嬢ざまぁ》《妹系ざまぁ》などの様々なネット小説を読んでいた影響で、自分以外の転生者が全員悪人かもと疑心暗鬼となり、ベルナとアイリスに自分の秘密を明かさずに、ずっと単独で動いてきた。

ベルナのことを、《空気の読めないお馬鹿令嬢》と思い込み、彼女の忠告を全く受け入れず、それどころか彼女の父親に告げ口したせいで、ベルナの選択肢を狭めてしまった。

ベルナ

ゲーム上の物語において、悪役令嬢の一人。
学園在籍前から、アイリスとグーレスが自分と同じ転生者であることに気づいている。
学園在籍時、ゲーム上の性格と全く同じであったため、転生者であることに二人から気づかれていない。
ゲームの知識を全て持っているため、アイリスとグレースに協力を仰ごうとしたが、転生者であることを明かす前に、性格の欠点が災いし敬遠される。忠告しても全く受け入れようとしなかったため、二人に愛想を尽かし、それ以来ずっと単独で動いている。

各自が皆に全てを明かし協力すれば、おそらく皆の望むハッピーエンドに辿り着けたでしょう。この三人の選択ミスにより、私、お父様、お母様は死んでしまい、フォンテンス家の地位も奈落の底に突き落とされた。今の私の力があれば、三人に天罰を与えることも可能でしょうが、正直そんな気分も失せましたわ。

これから先のことを考慮すれば、天罰なんかよりもすべき事がありますわね。
私の導き出した答えは……


○○○


「そんな真相、辿り着けるわけないだろうが‼︎」

轟音が周囲に鳴り響く。

全ての真相を知り、ベルナたちに自分の導き出した答えを宣言すると、二人は私の答えを聞いたことで、様々な感情の入り混じった思いを抱きながら、深い感謝と謝罪の言葉と共に大粒の涙を流し、《この事をアイリスとアルにも伝え、今後は皆で協力して続編で起こる王国の危機を乗り越えて見せます》と強く宣言し、ベルナはアイリスのもとへ向かい、私がグレースを王城へと送り届けました。

『アルもあなたに会いたいはずよ。私と一緒に来ない?』

グレースの申し出もありがたいのですが、今はまだ会えません。

『アルよりも、大切な方がいます。私のお兄様に真実を打ち明けないといけませんわ』

『そうね。ロイド様は、私やベルナを許してくれるかしら? 反乱を起こしそうで怖いわね』

『大丈夫よ、私がお兄様を説得するから。でも、三人は後で謝罪しないといけないわよ』

『勿論よ、私たちの判断ミスで殺したようなものだもの』

お父様とお母様は、もう戻ってこない。
お兄様も全てを明かせば、きっとわかってくれるはずです。


……グレースと別れたその日の夜、私は一人空に佇み、心を落ち着かせてから、オースコット男爵家の別邸へ移動し、自分自身の存在とこれまでの経緯をお兄様とアルテイシア様に全て話しました。


まず、私がルーテシア・フォンテンスであることを明かしても、お二人はあまり驚きませんでした。どうやら、お兄様は既に私の正体を見破っていたようで、ずっと私から明かしてくれるのを待っていたようですね。お二人共、姿の変わった私を見ても、忌避を感じさせることなく、普段通りに迎えてくれたことで、私の心はとても温かくなりましたわ。

そして、これまで言えなかった理由を述べても、怒ることなく許してもらえました。光の精霊王様が絡んでいる以上、迂闊な事を話せないと二人も理解してくれたようです。自分の存在と明かせぬ理由を語ったところで、二人は私を抱きしめ、静かに《おかえり》と言ってくれたこともあり、私の心があの牢屋から抜け出し、フォンテンス家へやっと帰って来れたと実感できたのか、今まで貯めていた涙が一気に溢れ出てきました。私は静かに《ただいま》と言い、嬉しさのあまり大声をあげ泣いてしまいました。 

牢屋へ収監されて以降、ルーテシアとしての私はこの再会をずっとずっと待ち望んでいた。お父様とお母様は亡くなってしまったけれど、今も天国で喜んでくれているはずです。感激のあまり数分間泣いてしまいましたが、私の目的はここから先にありますので、意を決して二人に全ての真相を話したのですが、お兄様はやはり納得できないのか、両手を強く握り締め、机に強く打ち付けました。

その轟音は、屋敷全体に届くのではないかと思えるほどのものでした。

「俺は上位精霊が絡んでいると思い、ここまで身体を鍛え強くなってきた。それが……異世界? 転生者? ここがゲームの世界と酷似している? ふざけるなよ‼︎ いくらなんでも荒唐無稽すぎるだろうが‼︎」

これが、普通の反応ですわ。
私自身、こんな稀有な経験をしなければ信じなかったかもしれません。

「アルテイシア、君はベルナやアイリス、グレースの言った内容を信じるか?」
「いいえ、普通なら信じられないわ。でもねロイド、現実を見て。信じられないと思えるほどの非現実的な事象が、今私たちの目の前で起きているわ。……信じるしかないでしょう?」

アルテイシア様は苦笑いを浮かべながら私を見ます。
ロイドお兄様も、何を言われたのかハッとなり、私を見つめます。

理由は不明ですが、ベルナに殺された後、私は姿を変え精霊へと転生することで、この地へ復活し、再びお兄様たちと再会できた。この事象自体が、信じられない出来事なのです。

「く…そうだな。今、ルーテシアが俺たちの目の前にいる。この現実からは、目を背けられない。だが、そうなるとだ‼︎ 俺は、この怒りを誰にぶつければいいんだ? アイリスは、俺や両親とも殆ど関わりを持っていない。ベルナはルーテシアを殺した張本人といえ、国の未来のために自分を犠牲にしてまで行動を起こしている。グレースにしても、間接的にルーテシアを殺したかもしれないが、彼女のおかげでルーテシアの性格も良くなり、チェルシーだって救われている。俺は、誰を恨めばいいんだよ!!」

お兄様の戸惑う声には、喜怒哀楽、様々な感情が入り混じっていますわ。
私は、そんなお兄様のその心を救いたい。
フォンテンス家の中でも生き残ったお兄様だけが、この十八年苦しんできたのだから。

前へ進むには、《誰を恨めばいいのか?》ではなく、《誰も恨んではいけない》が正解だと思いますわ。殺された本人が言っているのですから、これで納得してほしいところです。

「ロイド、あなたの気持ちもわかるけど、ルーテシアの顔を見なさい。ベルナに殺されているのに、彼女は誰も恨んでいないわよ? 転生者の三人はハッピーエンドを目指すため、各自で動いてしまった結果、フォンテンス家の救出だけ失敗したのよ。ここで三人を恨み殺してしまえば、今度はあなたが恨まれるわよ? 私たちも誰も恨まず、前へ進みましょうよ?」

アルテイシア様は凄いですわ。
私の顔色だけで、私の心を読んでいますもの。
間違いは、誰にでもあります。
一度間違えたら、もう後戻りはできない。

今更三人を責めても、お父様とお母様は戻ってきませんし、そんなことをすれば天国で怒ると思います。

「お兄様、私は三人を責めませんわ」
「なに!? ルーテシアは殺されたんだぞ?」

お兄様が激高する気持ちもわかりますが、今の私たちにはなすべき事があります。その目的を達成させるためには、三人の協力が必要不可欠なのです。

「お兄様、私もわかっています。三人は転生者としてバラバラで行動を起こしましたが、目的は同じで、フォンテンス家や悪役令嬢の身に降りかかる悲劇を回避しようと彼女たちなりに頑張っていました。これは紛れもない事実です。誰かが邪な思いを抱き、悪意を持って私を殺したのなら、私もこの力を使って、様々な地獄を見せていたでしょう」

帝異精霊の力、それがどれほど恐ろしいものなのか、二人なら理解しているはずです。だから、今私を見つめ一瞬恐怖を感じたのでしょう。

その力を復讐などに使用してはいけません。

「ルーテシア、君はどんな答えに行き着いたんだ?」

お兄様もアルテイシア様も、私の答えを聞きたいようですね。

「簡単ですわ。私は、この国を…今の子供たちを守りたいのです‼︎ 続編の開始は今から三年後、内容は私も詳しく知りませんが、チェルシーやアレンの死ぬルートが存在するのは確かです。二人の性格がゲームの設定と全く違ったとしても、《死》を回避できるとは限りません。今この時点で仲違いなどしている余裕はないのです!!」  

グレースの話によると、続編の魔王は私のようですが、今後私に成り代わる存在が現れる可能性もゼロでない以上、今から対策を立てないといけません。

【あの悲劇をもう二度と起こしてはいけない】

誰も恨まず、皆で一致団結し、この危機を乗り越える!!
これが、今の私の目標ですわ!!
                                                    
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