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Side.B・テツとエージのにゃんこ★すたぁ【R-18】
#2
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行く当てもなく、テツは寒さに震えながら深夜の繁華街を歩いていた。
視界の中に、一軒の小さなバーが飛び込んでくる。
この手の店ならたくさんあるのに……何故かその時は、店先に灯る看板の光が温かそうに感じて、テツは誘い込まれるように扉を開けた。
店内は僅かな照明のみで薄暗かった。
「あぁ……すいません。もう閉めようかと――」
カウンターの向こうから、よく響く男の声が聞こえてきた。
この店のマスターだろうか?
姿を見せたのは、30後半ぐらいの日焼けしたガタイのいい男だった。
キリッとした顔立ちで鋭い目つきをしていたが、口元に優し気な微笑を浮かべている。
閉店と言われて、テツは申し訳なさそうに頭を下げると、「ごめんなさい……」と呟いて出て行こうとした。
「あ、ちょっと待って!」
男は呼び止めると、テツの肩を押して店内に招き入れた。
「いいよ。入って」
「でも」
「その代わり、出せるものは限られてるけど」
そう言って笑う男に、テツは俯いて言った。
「でもあの……僕、お金持ってなくて――」
「――」
男は何も言わず、テツの頭から爪先までをじっと眺めた。
そして小さく笑うと、「ここ座って……」とカウンターの椅子を勧めた。
テツは戸惑いながら、ちょこんと椅子に腰かけた。
キレイに拭いたグラスを2つ、カウンターに置いて手際よく酒を作る。何も言わずに黙ったまま、俯くテツを見て男は聞いた。
「今、何月か知ってる?」
「え?」
テツは顔を上げて首を傾げると、「2月?」と答えた。
「よかった。分かってて」
男は楽しそうに笑うと、ウィスキーの水割りを一つ、テツの前に置いた。
「金はいいよ。これは俺のおごり」
「……」
驚くテツの顔を見て、自分も作った水割りを飲む。
そして、不思議そうな顔でテツを見ると言った。
「どうしたの?そのカッコ。病院でも抜け出してきた?」
部屋着にスリッパ。しかもこの寒空の中、コートも着ないで無一文。
「―――」
自分の姿にテツは情けなくなって、両手で顔を覆うと突然大声で泣き出した。
「わぁぁぁぁ―――ん!」
「あらら?ちょっと――」
男が焦って、慌ててテツの側に寄ってくる。
「ゴメンゴメン、泣くとは思わなかったな」
そう言って、優しくテツの肩を抱きよせる。その胸にしがみ付いて、テツは泣きじゃくった。
初めて入った店なのに。
初めて会った男なのに。
テツは思った。
この人の胸――あったかい……
視界の中に、一軒の小さなバーが飛び込んでくる。
この手の店ならたくさんあるのに……何故かその時は、店先に灯る看板の光が温かそうに感じて、テツは誘い込まれるように扉を開けた。
店内は僅かな照明のみで薄暗かった。
「あぁ……すいません。もう閉めようかと――」
カウンターの向こうから、よく響く男の声が聞こえてきた。
この店のマスターだろうか?
姿を見せたのは、30後半ぐらいの日焼けしたガタイのいい男だった。
キリッとした顔立ちで鋭い目つきをしていたが、口元に優し気な微笑を浮かべている。
閉店と言われて、テツは申し訳なさそうに頭を下げると、「ごめんなさい……」と呟いて出て行こうとした。
「あ、ちょっと待って!」
男は呼び止めると、テツの肩を押して店内に招き入れた。
「いいよ。入って」
「でも」
「その代わり、出せるものは限られてるけど」
そう言って笑う男に、テツは俯いて言った。
「でもあの……僕、お金持ってなくて――」
「――」
男は何も言わず、テツの頭から爪先までをじっと眺めた。
そして小さく笑うと、「ここ座って……」とカウンターの椅子を勧めた。
テツは戸惑いながら、ちょこんと椅子に腰かけた。
キレイに拭いたグラスを2つ、カウンターに置いて手際よく酒を作る。何も言わずに黙ったまま、俯くテツを見て男は聞いた。
「今、何月か知ってる?」
「え?」
テツは顔を上げて首を傾げると、「2月?」と答えた。
「よかった。分かってて」
男は楽しそうに笑うと、ウィスキーの水割りを一つ、テツの前に置いた。
「金はいいよ。これは俺のおごり」
「……」
驚くテツの顔を見て、自分も作った水割りを飲む。
そして、不思議そうな顔でテツを見ると言った。
「どうしたの?そのカッコ。病院でも抜け出してきた?」
部屋着にスリッパ。しかもこの寒空の中、コートも着ないで無一文。
「―――」
自分の姿にテツは情けなくなって、両手で顔を覆うと突然大声で泣き出した。
「わぁぁぁぁ―――ん!」
「あらら?ちょっと――」
男が焦って、慌ててテツの側に寄ってくる。
「ゴメンゴメン、泣くとは思わなかったな」
そう言って、優しくテツの肩を抱きよせる。その胸にしがみ付いて、テツは泣きじゃくった。
初めて入った店なのに。
初めて会った男なのに。
テツは思った。
この人の胸――あったかい……
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