小学生に戻ってるっ!?……の裏側で ~引きこもり高校生と入れ替わった小学生がいつの間にかハーレムを築いている話~

日々熟々

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1話 小学生に戻ってるっ!?……の裏側で

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 …………ふぇ?

 あれ?僕は家で本を読んでいたはずなのに……。

 気づいたらいつの間にやら真っ白な部屋の真っ白なベッドの上で真っ白な天井を見上げて寝てた。

 夢でも見てたのかな?

 そんな考えが浮かぶけど、本を読んでいたのと今ここでこうしているののどちらが夢なのか分からない。

 頭が痛くてうまく考えがまとまらない。

 そう思って無意識に頭に手をやると、頭は包帯でぐるぐる巻になっていた。

 それに気づいた瞬間、頭に鋭い痛みが走って一瞬目の前が真っ暗になる。



「マジかよっ!?小学生に戻ってんじゃんっ!」

 というどこか僕に似た声と。

「あなたは押し付けられる側です」

 という無機質な声。



 全く記憶にない光景がフラッシュバックのように頭に浮かんだ。
 
 ……今のはなんだろう?

 なんか分からないことだらけだ……。

 とにかくここがどこか調べようと思ってベッドから降りる。

ピーーーーーーーーッ!!!

 その途端、僕の体からなにかが外れて部屋にあった機械がけたたましい音を鳴らしだした。

 えっ!?なにっ!?なんか壊しちゃったっ!?

 オロオロしている僕の『病室』にバタバタと慌てた足音が近づいてきていた。



「記憶喪失?」

 ベッドに寝直した僕の横で、お医者さんと見覚えが有るような無いような……お兄ちゃんに似ているような似ていないような気がする男の人が話している。

「はい、優太さん……弟さんは脳挫傷の影響で一部の記憶……12歳以降の記憶を失ってしまっているようです」

 お医者さんの言っている意味が分からない。

 僕は別に記憶なんて失っていないのに……。

「ゆ、優太……俺の事は分かるか……?」

 男の人はそう言うけど……。

「……ごめんなさい、だれですか?
 親戚の人ですか?」

 なんとなく見覚えのある顔な気はするんだけど……。

 僕の返事を聞いて男の人はショックを受けた顔をしているけど、本当に分からないんだから仕方ない。

「そ、それじゃあ、自分の名前と年齢は言えるか?」

「え?坂東優太です。
 昨日12歳になりました」

「……昨日誕生日だったんだな?」

「え?はい、そうですけど……」

 そう、昨日は僕の誕生日だった。

 誕生日に買ってもらった本を部屋で読んでいたはずなのに、なにがどうしちゃったんだろう?

「この通り、受け答え自体はしっかりしていますので一時的なものの可能性もありますが……」

「一時的ってことは治るんですよねっ!?」

「……申し訳ありませんが、断言は出来ません」

「そんな……」

 先生と男の人は深刻そうに話をしているけど、僕、別に記憶喪失とかじゃないのになぁ。

 ちょっと部屋からここへ移動した記憶が飛んでいるだけだ。

 …………あ、それが記憶喪失か。

 どうやら僕は記憶喪失だったらしい。
 
 難しい話をしている二人の横で、僕は自分の状況にようやく納得がいった。



 数日後、僕は目覚めた時に病室にいた『兄』を名乗る人に連れられて家に向かっていた。

 僕の知っている秀太お兄ちゃんはまだ中学生でこんな大人の人じゃなかったんだけどなぁ。

 今は僕の思ってる『今』から4年経っているらしいけど、僕には全然そんな実感がない。

 どうやら僕は4年分の記憶がまるまるすっ飛んじゃったらしい。
 
 新聞だとかテレビだとか色々証拠は見せてもらって4年経っているのは認めるしかなかったけど、「そんな事言われてもなぁ」というのが僕の正直なところだ。

 一応、こっちも色々証拠を見せてもらってお兄ちゃんが『お兄ちゃん』なことには納得したけど、なんかしっくり来ていない。

 確かに大人っぽかったけど、中学生だったお兄ちゃんが車を運転しているとか意味がわかんない。

 ……でも、運転している『お兄ちゃん』の姿を見ているうちに、だんだんこの人は本当にお兄ちゃんだっていう実感が湧いてきた。

 運転している時の真剣な顔。

 時折こっちを見て微笑んでくれる優しい顔。

 なにより、基本無口であんまり喋らないのに不思議と居心地がいい気がする空気。

 僕の知っているお兄ちゃんとは違うけど、やっぱりこの人はお兄ちゃんだ。

 ということは本当に4年経ってるのかぁ……。

 隣の大人をお兄ちゃんと認識して、ようやく今が4年後の世界だということに実感が持てた気がする。

 …………なんか大変なことになっちゃったなぁ。



 お兄ちゃんの車で帰ってきた家は、僕の記憶にある家より少し薄汚れている気がした。

 庭の木なんかも無くなったりしているし、どこか知らない家みたいだ。

「あ、優太、俺鍵忘れちまった。
 ちょっと予備のとってきてくれよ」

「はーい」

 お兄ちゃんに言われた通り、もしもの時の予備に隠してある鍵を取りに行く。

 予備の鍵は玄関先の鉢植えの下に…………あれ?ない。

 有るはずの場所に鍵がないことを不思議に思っている僕を、お兄ちゃんが真剣な表情で見てる。

「…………予備の鍵はこっちだよ」

 お兄ちゃんはそう言うと郵便受けの中の台の下から鍵を取り出した。

 あー、そっか、4年も経ってるから置き場所変わってたのか。

「鍵は優太の……いや、空き巣が入った時に置き場所も鍵自体も全部変えたんだよ。
 覚えてないか?」

「……ごめんなさい、全然……」

 そんな事言われても覚えてないどころか、そんな話初耳だ。

 でも、言われてみれば僕の覚えているドアノブと確かに違う。

「そうか……試すようなことして悪かったな」

 ……あー、なるほど、僕お兄ちゃんに本当に記憶喪失か試されてたのか。

 まあ、僕自身疑ってるレベルだからなぁ。



「ほら、とりあえず部屋でゆっくり休もうか」

 ドアを開けて待っていてくれているお兄ちゃんの言う通り、家の中に入る。

 どうせお父さんもお母さんもいないから挨拶はしない。

 玄関で靴を脱いでいて気づいた。

 そうだ、今日はお兄ちゃんがいるんだ。

「あ、お兄ちゃん、お帰りなさい」

「……あ、ああ、ただいま」

 挨拶をする僕にちょっと戸惑った様子で返事をするお兄ちゃん。

 そう言えば、中学の頃はお兄ちゃんは全寮制の学校に行っていたけど、今はどうしているんだろう?

 大学生って言ってたし、この家に戻ってきてるのかな?

 4年も経っていると分かんないことだらけで大変だ。

 さっきはなにも考えないで今まで通りにしちゃってたけど、4年経ってもお父さんたちは忙しくて家にいないみたいなのでそのまま自分の部屋に向かう。

 2階の一番奥の部屋が僕の部屋。

 外観と同じくちょっと古ぼけた感じがする気がする廊下を通って、部屋のドアを開ける。

「…………うわぁ……」

 思わずうめき声みたいな驚きの声が出た。

 僕の部屋は足の踏み場もないくらいにゴミで溢れていて、なんていうか変な臭いがする。

 なるほど、4年前の僕の部屋がそのままパワーアップしていくとこうなるのか……。

 妙に納得してしまった。

 ちょっとここでは暮らしたくないけど、掃除をする気にもなれない。

 どうやら僕は4年前に引きこもり始めて、そのまま引きこもり続けていたようだった。
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