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わきばらぴりぴりする!!
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最初に動いたのはアルスリヤだった
腰を落とし、背中にある大きな翼を地面へと叩き付け床を蹴り上げて低く、まるで打ち出された高速の矢の様に翔んでいた
正確に言えば翔んだと言うより跳躍したという方が正しいのだが、兎も角。
高速で跳躍したアルスリヤは風を切り裂き音すらも置き去りにしてイズルメと距離を詰める
狙う先はイズルメの胴体、しかも右脇腹の胸に近い当たれば確実に痛くて暫くは立ち上がれない場所をホウキで穂先を横薙ぎに振るい正確に打ち込んだ。
狙いは正確でバスンと鈍い手応え、アイツの蒼白な顔を見るまでも無い私の勝ちだ。目の前の棒立ちしているバカがそろそろ倒れて私が勝者になるのだ
と、そう思っているだろう。
現にアルスリヤは私の横腹に強烈な一撃を与えた。
しかしそれは違うのだ。
アルスリヤが捉えている脇腹からは一抱えもする砂袋がホウキの先にサラサラとこぼれていた。
そう、ただ棒立ちで待ち構えていた訳では当然、無いのである。
重心を落とし翼と脚力で一瞬で間合いを詰めたアルスリヤの視界は高速で動いたばかりに周りの光景が一瞬で動くあまり私が翼で上から落とした砂袋を叩いたとは思ってもいないだろう。
アルスリヤは教えられた剣術において誰よりも才能がある
だが、それは教えられた剣術であり逆に返せば対処しなければならないイレギュラーな出来事に関しては苦手なのである。
現にこうして私が突き上げたホウキで隠していた砂袋を上から落とした砂袋を綺麗に叩き落として勝利を確信してあっけらかんと晒しているアルスリヤの後頭部と背中をまじまじと見ることが出来るのた。
「ばぁか。」
私はあらん限りの力で振り上げていたホウキを勝利の余韻に浸かっているアルスリヤに振り下ろした。
う~ん、そうだ。カッコよく言えば疾風の如し神速のアルスリヤは我が巨木たる我が身体へ無謀にも襲い掛かり返り討ちにされたのである。
さて、振り下ろされたホウキは後頭部を打ち据えただけではなく、バキャリと異音を立てながら折れ曲がり、翼の翼の間にある肩甲骨付近へと叩き付けられた。
「なん……で……」
後頭部を強打され背中にも衝撃が走ったアルスリヤはホウキを手から取り落とすと共に膝から倒れ伏した。
「去年あたりから剣術学び始めて天才とか言われてチヤホヤされてるけど、アンタって馬鹿正直に本の内容通り、先生の教え通りにやり過ぎ。どうせ地面だけ見てたとかそういうのでしょ?だから砂袋に目が行ってないわけだよねって、脇がピリピリする~!!」
集中力が解けるとようやく脇腹がピリピリと痛み始める
大袈裟に脇を抑えてピョンピョンと飛び跳ねてうつ伏せに倒れているアルスリヤに埃を被せてやると苦しそうに咳き込んだ。
どうやら元気では居るらしい「……な……さい…」と言葉にならない声を咳き込みながら言っていた。
一撃で仕留めた私の勝ちである。
いやぁ、スッキリした!!
それにしても、かなり暴れちゃったよなぁ……
木箱とか沢山ぶち壊したし、よく分からない掛け軸とか破れてる…うっわ、壁に穴とか空けちゃってるよヤバっ
しかもホウキとかへし折っちゃったじゃん。
これじゃ掃除が出来ないし…出来ても綺麗に何て絶望的じゃない?しかも二人でとか確実に──
──その時である。
これからどうするべきかと思案中に突然「お手伝いしましょうか?」と聞きなれた声が後ろから聞こえて来て思わず「お願いします母様!」と言って声の方へと振り返ってしまった。
そこには青筋をビッシリと浮かべた私達の母様達がボロボロになった扉の前で立っていたのである。
「あの、これは…アルスリヤがね?悪くって……その……ね?」
「「問答無用です!!」」
腰を落とし、背中にある大きな翼を地面へと叩き付け床を蹴り上げて低く、まるで打ち出された高速の矢の様に翔んでいた
正確に言えば翔んだと言うより跳躍したという方が正しいのだが、兎も角。
高速で跳躍したアルスリヤは風を切り裂き音すらも置き去りにしてイズルメと距離を詰める
狙う先はイズルメの胴体、しかも右脇腹の胸に近い当たれば確実に痛くて暫くは立ち上がれない場所をホウキで穂先を横薙ぎに振るい正確に打ち込んだ。
狙いは正確でバスンと鈍い手応え、アイツの蒼白な顔を見るまでも無い私の勝ちだ。目の前の棒立ちしているバカがそろそろ倒れて私が勝者になるのだ
と、そう思っているだろう。
現にアルスリヤは私の横腹に強烈な一撃を与えた。
しかしそれは違うのだ。
アルスリヤが捉えている脇腹からは一抱えもする砂袋がホウキの先にサラサラとこぼれていた。
そう、ただ棒立ちで待ち構えていた訳では当然、無いのである。
重心を落とし翼と脚力で一瞬で間合いを詰めたアルスリヤの視界は高速で動いたばかりに周りの光景が一瞬で動くあまり私が翼で上から落とした砂袋を叩いたとは思ってもいないだろう。
アルスリヤは教えられた剣術において誰よりも才能がある
だが、それは教えられた剣術であり逆に返せば対処しなければならないイレギュラーな出来事に関しては苦手なのである。
現にこうして私が突き上げたホウキで隠していた砂袋を上から落とした砂袋を綺麗に叩き落として勝利を確信してあっけらかんと晒しているアルスリヤの後頭部と背中をまじまじと見ることが出来るのた。
「ばぁか。」
私はあらん限りの力で振り上げていたホウキを勝利の余韻に浸かっているアルスリヤに振り下ろした。
う~ん、そうだ。カッコよく言えば疾風の如し神速のアルスリヤは我が巨木たる我が身体へ無謀にも襲い掛かり返り討ちにされたのである。
さて、振り下ろされたホウキは後頭部を打ち据えただけではなく、バキャリと異音を立てながら折れ曲がり、翼の翼の間にある肩甲骨付近へと叩き付けられた。
「なん……で……」
後頭部を強打され背中にも衝撃が走ったアルスリヤはホウキを手から取り落とすと共に膝から倒れ伏した。
「去年あたりから剣術学び始めて天才とか言われてチヤホヤされてるけど、アンタって馬鹿正直に本の内容通り、先生の教え通りにやり過ぎ。どうせ地面だけ見てたとかそういうのでしょ?だから砂袋に目が行ってないわけだよねって、脇がピリピリする~!!」
集中力が解けるとようやく脇腹がピリピリと痛み始める
大袈裟に脇を抑えてピョンピョンと飛び跳ねてうつ伏せに倒れているアルスリヤに埃を被せてやると苦しそうに咳き込んだ。
どうやら元気では居るらしい「……な……さい…」と言葉にならない声を咳き込みながら言っていた。
一撃で仕留めた私の勝ちである。
いやぁ、スッキリした!!
それにしても、かなり暴れちゃったよなぁ……
木箱とか沢山ぶち壊したし、よく分からない掛け軸とか破れてる…うっわ、壁に穴とか空けちゃってるよヤバっ
しかもホウキとかへし折っちゃったじゃん。
これじゃ掃除が出来ないし…出来ても綺麗に何て絶望的じゃない?しかも二人でとか確実に──
──その時である。
これからどうするべきかと思案中に突然「お手伝いしましょうか?」と聞きなれた声が後ろから聞こえて来て思わず「お願いします母様!」と言って声の方へと振り返ってしまった。
そこには青筋をビッシリと浮かべた私達の母様達がボロボロになった扉の前で立っていたのである。
「あの、これは…アルスリヤがね?悪くって……その……ね?」
「「問答無用です!!」」
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