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第八話
☆
しおりを挟むいつまでも答えを出さない俺の隣で、真琴は常にうるさく〝大好き〟と言い、笑っていた。
〝大好き〟と言われる度に〝俺は嫌い〟と言い返し、真琴の言葉を常々遮ってきた俺は無論、彼だけを責めることは出来ない。
いやその前に、真琴を責めるつもりなど毛頭ないけれど。
「──怜!!」
「……っ、由宇っ?」
翌朝いつもの時間に家を出ると、エントランスを抜けたところで鬼の形相で俺を待ち構えていたのは由宇だった。
一瞬、ほんの一瞬だけ、ヒヤッとした。
ずんずんとこちらへ歩いてくるポメラニアン顔が、見事に怒りにまみれている。
「おはよう!」
爽やかな朝の挨拶にも関わらず、明らかな怒声だ。
友人の友人である彼に、俺の不始末が知られてしまったらしい。 でなければ、こんなに恐ろしい形相と声で俺の名を呼んだりしない。
「……おはよう。 今日も暑いね」
「暑いね、じゃないよ! 怜に話がある!」
「朝の八時半だよ。 近所迷惑だから声落とそうか」
「怜!!」
「分かった。 話なら聞くから」
「家行こ! 今日必修無いんでしょ!?」
ついさっき鍵をかけて出て来た家に、舞い戻れって?
一晩悩みに悩んだスマホの電源は切られたまま、未だ引き出しの中にしまわれているからこそ由宇はここに居る。 それは分かる。
込み入った話を予感させる、彼の覇気が凄まじい。
「話がある」──逃れられない事を知った俺の返答はこうだ。
「……三限は出たい」
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