必然ラヴァーズ

須藤慎弥

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 一つ不満があるとしたら……って考えた末に小さく呟いただけなのに、興味津々なケイタさんが聖南に詰め寄っている。

 アキラさんは何となく察してるみたいで、聞かないフリで食事を継続中だ。


「何ってセックスの時間だよ」
「ぶっっ……!」


 聖南は、ビックリするくらいサラッと答えた。 飲んでいたお吸い物をわずかに吹き出した俺の背中を擦ってくれるのはいいんだけど、そんな事では誤魔化されない。

 だって……だって……! そんな赤裸々にぶっちゃけると思わないもん!


「ちょっ、聖南さん!」
「時間が長いって……せいぜい二、三時間だろ? 違うの、ハル君?」
「いやいや、ケイタさんも、そんなグイグイ聞かないでください!」
「ニ、三時間は短えだろ。 んなの大急ぎでヤる時だけだ。 確か最長七時間っつーのがあったよな?」
「七時間!?」
「七時間!?」
「──────っっ!」


 あまりにもサラサラと本当の事をぶっちゃけている聖南に、「それ以上は言わないで」の思いを込めて視線で合図を送っても、全然気にしてくれない。

 そりゃ、……あったよ、七時間くらい経ってた事。 でもこんな赤裸々に話さなくていいと思うんだよ。

 下世話な話に入ってこなかったアキラさんもさすがに驚いたらしくて、摘んでいた箸からポロッとお肉を落としてしまってる。

 そして俺と歳の近いケイタさんは信じられないという風に聖南を見て、「スゲー」と素直に感心していた。


「どうやったらそんなにできんの? もちろんその間に休憩的なの挟むんだろ?」
「そりゃ挟むよ」
「嘘だ! いつも休憩させてくれないじゃないですか!」
「はっ!? 休憩ナシで七時間!?」


 さらに驚きを増したケイタさんの声に、俺こそ言わなくていい事を言っちゃったと項垂れた。

 せっかく和やかで優しい雰囲気だった席が、俺のぼやきで妙な方向へと話は進んでしまい台無しだ。


「だから、それは俺が動かねぇ時が休憩だって言ってんじゃん」
「それ休憩とは言わねぇよセナ………」


 落としたお肉を空いた器に置きながら、アキラさんが苦笑した。

 何でも話せる間柄なのは十分分かったから、もうやめてくれないかな、この話……。

 いや、……俺発信だから俺がいけないのか……。


「そういえば年末のパーティーでも同じような事言ってなかった? あの時より時間長くなってない?」
「七時間っつーのは今までの最長だからな。 普段は三、四時間くらいじゃね? ずっとスローセックスってわけじゃないんだけどな。 いつの間にか……って事多いんだよ」
「……ハル、殴っとこうか?」
「い、いえ、そんな! 大丈夫です、ま、まだ何とか……」


 この場での唯一の味方らしいアキラさんが同情混じりで俺に拳を見せてきたけど、本気の瞳に慄いて慌てて首を振る。

 興味津々のケイタさんと、それにまともに応じる聖南の隣で、俺は顔から火を吹きそうだった。

 思えばクラスメイトが、こうやって初体験の話とか色々な下ネタを男同士で話してるのを小耳に挟んだ事はある。

 でも、でも、聖南達はもういい大人だ。 思春期で性に敏感な年頃のクラスメイト達とは訳が違う。


「待って、セナ、その間ってずっと勃ちっぱなし?」
「ケイタ、もうやめろって。 ハルがりんごになってる」
「いいじゃん、あと少しだけ! セナのこういう話って今まで聞いた事ないんだもん! しかもスゲーから余計聞きたくなる!」
「勃ちっぱではねぇよ、連続で出来んのは五回が限度。 その後は萎えても数分ありゃ戻るかなー」
「マジで!? 俺もそんな保つようになりたいよ!」
「ケイタ何回いけんの? 連続」
「連続だと俺は三回。 ガッツリ動くと消耗激しくて二時間くらいでギブだ」
「もっと鍛えろよ、二時間なんてすぐじゃん」
「そうなんだよ! もっとしたくてもあっという間に終わって寝てたら朝じゃん!? なんか損した気分になるんだよねー」
「だろーな。 相手堕ちるまでこっちが頑張んねぇと」
「カッコイイ~! 言ってみたい、そんな台詞!」


 も、もうやめて……そんな明け透けにエッチな話をするのは……っ。

 俺は耳を塞いでギュッと目を閉じてたけど、どうしても聞こえてきてしまって、いたたまれなかった。

 さっきのさっきまでほんとにあったかい席だったのに! 誰なの、こんな変な方向に走らせた奴は!

 …………って、だから俺だってば……。



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