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─葉璃─
聖南のバッシングは日に日に沈静化されつつあった。
怪我をしてから目覚めるまでは心配の声が多かったはずなのに、聖南が退院する頃からは過去のスキャンダルをも取り沙汰されてひどい言われようだったらしい。
俺は意地でも、聖南に関する報道は見なかった。
通学の時の電車内とか学校での女子達の会話は嫌でも聞こえてきてたけど、聖南の言葉だけを信じたかったから、嫌な情報は右から左に聞き流しておいた。
さすがに聖南不在でのメディア出演は出来ないみたいで、収録もの以外ではめっきりCROWNを見なくなった。
でも、ドラマで活躍するアキラさんとケイタさんが普段通りにラジオで喋ってるのを聞くと、バッシングなんて屁とも思ってない様子だった。
それどころか、「セナ早く戻ってこーい!」と呼び掛けたりしていて、CROWNの仲の良さが窺える内容に世間の目も和らぎ始めてる。
春香が言ってたように、聖南が関わった事のある業界の人はみんな揃って擁護派で、悪評に相槌を打っているのは何も知らないコメンテーターと世間だけ。
過去に関係があった女性達も軒並みプラスコメントしかしないせいで、報道する側もそれ以上話を大きくしようがなかったみたいだ。
聖南バッシングが長引きそうな気配にヒヤヒヤしてたけど、近々早めに終わりを見そうだ。
毎日少しだけど連絡のやり取りをしてるからか、俺は例えようのない不安を感じなくて済んでるし、それは俺への聖南の計らいかもしれないと分かっていてもその気持ちが今はすごく嬉しい。
「今日は筋トレの日かぁ」
聖南から、ランニングマシーンに乗っている姿の写メが送られてきて、元気そうな姿にホッとする。
『葉璃も自撮り送って』
……とメッセージ付きで来たけど、俺が自撮りなんか出来ないの分かってて言ってくるから困ったもんだ。
筋トレの邪魔しちゃいけないって俺の中で理由を付けて、自撮りの件はスルーしておいた。
笑って既読無視をしていると、すかさずまたメッセージが入る。
『はる、好き』
絵文字や顔文字をほとんど使わない聖南のメッセージは、直接脳内に彼の声で再生される。
はる、好き。
俺の名前の漢字がややこしいから、いつもひらがなで「はる」と打つ聖南が愛おしい。
背が高くて一見怖そうなチャラ男だと認識してた第一印象が、今やその影もない。
『聖南さん、すきです』
緊張しながら返事を打ったら、肝心なところで変換をミスってひらがなになってしまった。
でも聖南は、こんな俺を好きだって言ってくれる。
ジムで筋トレしてたはずなのに、すぐに「聖南♡」からの着信があった事で俺の心は満たされていく。
泊まりたいってゴネた日から、もう二週間が経とうとしていた。
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