必然ラヴァーズ

須藤慎弥

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 恐らく佐々木さんは、根暗っぽさを演じてるんだと思う。

 memory結成前からの付き合いだから、真面目で、冗談を言うようなタイプではないって事はよく知ってるつもりだ。

 春香が言ってたのは本当だったんだと衝撃を受けてる真っ最中の俺に、佐々木さんは続けた。


「直球で言うけど、葉璃とセナさんはまだエッチしてないよね。葉璃を見てれば分かる。いい仲なんだろうけど、それはいつまで続くかな。葉璃も今言ってたけど、セナさんは眩しい世界の人間だからね」
「……なっ……なんでそれ、……」
「きっと、このまま続けてもいつか葉璃がツラくて逃げたくなる日が来るよ。俺は表立って生きていける人間じゃないし、俺の周りもそうだから、女性も愛せる男を好きになってボロボロになっていく人を多く知ってる。葉璃が傷付くのを見たくない」


 ……佐々木さんは真面目だ。どこまでも。

 どこでその情報を仕入れたのか分からないけど、俺と聖南の事を知っててなお、佐々木さんは俺に好きだって言ったんだ。

 聖南相手で絶対にうまくいくはずがないって諭してるようで、それに反論したいのに出来ない俺がいた。

 綺麗な女性を相手にしている聖南の方がしっくりくるからだ。

 聖南は男が好きなわけじゃない。

 俺もそうだ。

 しかも俺は、恋愛のれの字も知らないお子様。

 いつどうなるかなんて、俺みたいな一般人ですら分からないのに、聖南の世界では誘惑があり過ぎる。

 考えただけでも胸がギュッと締め付けられるように痛くて、もう前を向いてられなかった。


「言っただろう。俺はじっくり時間をかける。今どうこう考えなくていい」
「でも……だからって俺、佐々木さんとなんて無理です」
「結論出すの早過ぎない? ……まぁいいけどね。何かあったらいつでも相談して。据膳食わぬは男の恥って言って、その時は堂々といただくから」


 そう言って微笑んだ佐々木さんは、それ以上は何も言ってこなかった。

 返事を促さなかったから、俺の葛藤をすべて見透かされてるようで、俺も何も言えなかった。

 帰り着いたのは夕方五時過ぎで、かなり遅いランチとなってしまってたらしい。

 予想通り今日は長い一日だった。

 ご馳走してもらって、わざわざ家まで送り届けてくれた佐々木さんに色々な思いを込めて「ありがとうございました」と言ってから、助手席を開けた。

 何だか色んな事が起こり過ぎて疲れちゃったから、一目散に二階に上がって、ベッドにダイブしよう。

 そんな事を考えていた、次の瞬間だった。



「はーる」





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