迅雷上等♡─無欠版─

須藤慎弥

文字の大きさ
96 / 223
⑩カレシが出来ました!

─雷─④

しおりを挟む



 休憩中の先輩はすぐに通話に出た。


『雷~! いいところに連絡くれたわね!』


 うぉッ? 声デケェ!

 待ってましたとばかりのテンションで、ちょっと声のボリュームがヤバかったから音量を下げる。


「え、何? ていうか今、迅と居るよ」
『あら、そうなの? ラブラブイチャイチャしてんの?』
「へへへへッ……そんなことねぇよーだッ。 へへへへッ……♡」
『幸せそうで何よりよ。 あっそうそう! 雷、今週の土曜日ってヒマしてたりしない?』
「土曜日?」
「ヒマしてねぇよ」


 聞かれた俺より先に答える俺様迅様。

 ていうか先輩、迅に話があるからって言ってたのにどうしたんだろ。


『ちょっと、迅クンに聞いてないわよ。 あたしは雷に……』


 音量を下げたせいで、迅の即答で落ち着いたらしい先輩の声が聞き取りづらくなった。

 慌てて音量を元に戻す。


「土曜日が何? どうかした?」
『ついさっき、明日出勤のバイトの子が熱出したって連絡きたのよぉ! それは全然構わないんだけど、ウチもまだ開店したばっかでバイトたくさん雇う余裕無いからぁ、シフトが組みにくくてぇ。 日曜は何とかなるから、土曜日だけでも雷が来てくれたらすごーく助かるんだけどなぁって』
「………………」
「………………」


 あぁ、そうなんだ。 そういう事なら別にいいよ、……と言いかけて、迅と目が合う。

 俺の真下にいる迅が、小さく首を振って見せた。

 ダメってこと?だよな。

 だって、土曜日ってさ……ほら、あの……あの……。


『何か予定入ってたりする?』
「いやッ、そういうわけじゃねぇ、んだけど……」
「その日は俺と予定があるんだよ」
『え? でも迅クン、土曜日はシフト入ってたじゃない。 日曜はお休みになってたけど』
「なんで俺のシフト把握してんだよ。 あんたテナント違えじゃん」
『それは裏ルートよ、裏ルート! ねぇねぇ、お願いよ~! 雷、リピーターのお客さんから物凄く評判が良くて、平日にも雷目当てに来る方が居てあしらうの大変なんだから!』
「………………」


 えーッ、そんな事言われてもーッ!

 土日バイトに入っただけなのに、雷ギャルの人気凄まじいな!?

 先輩が迅のシフトを把握済みで、予定があったとしても翌日休みならいいじゃんって先手を打たれてる。

 てか俺もそう思う。

 週末は死んでも空けとくつもりだったけど、何も迅がバイト中の昼間まで空けとく事はねぇよな?

 しかもピンクなコトすんのは、たぶん……夜だし?

 一人で迅の帰りを待ってる間、ドキドキのあまり呼吸困難起こしてぶっ倒れる可能性もゼロじゃねぇから、バイトしてた方が気晴らしになりそうだ。

 先輩の助けにもなるなら、いいことじゃん?


「バイトって土曜日だけ、だよな?」
「おい、雷にゃんっ」
『そう、土曜日だけ! ちゃんとバイト代も色付けて払うし、迅クンとの休憩時間も合わせてあげる! どう!?』
「それなら、まぁ……いいかな。 土曜日って迅もバイトなんだろ? 何時まで?」
「……その日は十七時で上がる」
『ほらね! 雷も十七時で上がらせるから、いいでしょ! ちちくり合うのはその後でも出来んじゃない!』


 ブハッ……ち、ちちくり合うって……!

 女バージョンでも男バージョンでも、先輩は先輩だからいちいち面白え。 おまけに強えし、いざって時に頼りになるし、迅の次に尊敬する。

 でもなぁ……〝俺は猫だ〟っていう意味不発言は、まだ俺も疑ってるんだけど。

 って、迅がまた不機嫌クンになってんな。

 俺が勝手にバイトOKしたから怒ってんのかな。


「……てか俺に話あったんじゃねぇの」
『あ、そうだった。 今スピーカーにしてんでしょ? 雷、迅クンに一言だけ言いたいことあるから、オフにしてくれない?』
「んー」


 え~え~なんだよなんだよ。 俺は聞いてちゃいけねぇ話だってのぉ?

 スピーカーをオフにして、迅にスマホを渡す。 受け取った迅が、俺の体を支えながら上体を起こした。


「……何? ……あぁ、……いや、別にその話はしてねぇよ。 ……っつーか、あの話も拉致監禁で俺をビビらせるための作り話だったって言うんだろ? ……え? あ、マジでか。 ……分かった」


 じゃ、って。 あーあ、通話切っちゃったよ。

 俺も先輩にバイバイ言いたかったのに。

 不機嫌クンなツラした迅から、スマホを差し出された。

 完全に俺をのけ者にした二人は、俺には分かんねぇ難しい話?をしてたみたいだ。

 うッ……表情が怖え。 向かい合わせになった俺の顔を無言でジーッと見つめてくる、そのイケメン面は心臓に負担が……ッ。


「な、何? なんか深刻な話してた?」
「いや……特には」
「えぇ、ウソだー!! 二人で何話してたんだよー! 俺の先輩と俺の迅がナイショ話してるとかあり得ねぇんだけど!! のけ者にしたら俺いじけるんだか……ンむッッ!?」


 ムチュッと唇が重なった。 ムギュッと抱きしめられてムチュッとキスされちゃ、頭ン中がボーンッてなるぞ……ッ。

 て、てか、ま、ま、まだ、キレてる途中だったんだけど。

 俺をのけ者にするなー!って。

 ナイショ話は悲しいー!ぴえんー!って。

 そんなの吹っ飛んだけどな。

 ちゅっ、ちゅっと唇同士がやわらかくぶつかる甘々なキスは、すんげぇ気持ちいい。

 俺みたいな童貞男子には、ベロ入りの濃厚なキスよりこっちの方が合ってる。

 このキス、好き。 何時間でもしてられる。


「雷にゃん、俺のそばから離れるなよ」
「ん、んッ?」
「あと、何があってもアプリは消さないでくれ」
「……ふぁっ♡ わ、分かっ、……ンッ♡」


 あ~ッ、気持ちいいキスの合間のイケボッ♡

 離れるなってヤバッ♡ 新しくまた俺のスマホにインストールしてたアプリも、もちろん消すもんか♡

 迅に見張られるの超心地いいからさ、俺♡

 何だかよく分かんねぇけど、大好きなキスをいっぱいしてくれて、さらに束縛系彼ピッピ発言してくれた迅が男前すぎてツライ!


「……可愛いからな、雷にゃんは。 可愛すぎんのも困りもんだな」
「ンン~ッ♡」


 俺のこと可愛すぎって思ってくれてんの、迅。

 ちょうど俺も今、迅のこと男前すぎるって思ってたとこだよ。

 俺たち気が合うなぁ♡

 二人で一体何の話をしたのか知らねぇけど、迅のキスが止まんねぇよッ♡

 先輩グッジョブ!





しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

創作BL短編集

さるやま
BL
短編まとめました。 美形×平凡、ヤンデレ、執着・溺愛攻め多め

もう一度言って欲しいオレと思わず言ってしまったあいつの話する?

藍音
BL
ある日、親友の壮介はおれたちの友情をぶち壊すようなことを言い出したんだ。 なんで?どうして? そんな二人の出会いから、二人の想いを綴るラブストーリーです。 片想い進行中の方、失恋経験のある方に是非読んでもらいたい、切ないお話です。 勇太と壮介の視点が交互に入れ替わりながら進みます。 お話の重複は可能な限り避けながら、ストーリーは進行していきます。 少しでもお楽しみいただけたら、嬉しいです。 (R4.11.3 全体に手を入れました) 【ちょこっとネタバレ】 番外編にて二人の想いが通じた後日譚を進行中。 BL大賞期間内に番外編も完結予定です。

生まれ変わりは嫌われ者

青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。 「ケイラ…っ!!」 王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。 「グレン……。愛してる。」 「あぁ。俺も愛してるケイラ。」 壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。 ━━━━━━━━━━━━━━━ あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。 なのにー、 運命というのは時に残酷なものだ。 俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。 一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。 ★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

処理中です...