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50❤︎束の間の逢瀬
50❤︎④※
しおりを挟む風呂上がりから下着を履いていないせいで、バスローブを少しはだけさせるだけで性器が見えてしまう。
それをチラと覗かせると、葉璃はまたも両手で顔面を覆い耳まで真っ赤になった。
「あはは……っ! 葉璃ちゃんかわいすぎ。……ちょっと待ってろ。ローションとゴム取ってくる」
今時学生でもそんな初な反応はしないだろうと、聖南はバスローブの前を締めて笑いながらベッドを下りる。
記憶が確かなら、もしもに備えて忍ばせた物がコートのポケットにあるはず。
背後から「えっ!?」と驚く声が聞こえたが、聖南は素知らぬ顔で一人がけソファに放ったままのコートを手に取った。
「せ、聖南さん、そんなの持ち歩いてるんですか!?」
「車に常備してんの。……っと。あったあった」
「え、……」
持ち運びに便利な個包装されたローションと、あまり使用機会の無いコンドームを手にベッドへと戻る。
葉璃は、目の前に広げられたあからさまな物達を食い入るように見ていて、好奇心には勝てなかったのか小さく縦長いパッケージのローションの一つを摘んだ。
「おい、深読みすんなよ? これはな、いつ葉璃とカーセックスのチャンスがくるか分かんねぇから、常備してるって言ったんだ。俺、夢なんだよね。いつか葉璃と青姦とかカーセックスとかデキねぇかなぁって。まぁ俺らの職業柄九十九%無理なんだけど」
『車に常備している』などと余計な事を言ってしまったため、あらぬ誤解をされてはかなわないと明け透けに打ち明ける。
「えぇっ? せ、聖南さん……すごいこと言ってるって気付いてます……?」
「いいや? 当然の願望だと思ってるし、今もまだ一%の望みに賭けてる」
「…………っ」
聖南にそんな願望があったとは知らず、葉璃は大きな目を見開いて唖然とした。
しかもそれを当然の願望だと言い放ち、チャンスは逃せないとばかりにローションとコンドームを車に常備しているなど、誰が聞いても絶句する。
マネキン人形のように整った顔立ちの、いかにも性欲とは無縁そうな聖南が言うからこそ、葉璃はいつもそのギャップに盛大に戸惑うのだ。
「お、俺は嫌ですからね? 外で、なんて……」
「解放的で意外といいかもよ?」
「そりゃあ……聖南さんは経験あって平気だろうけど、俺は……」
「俺もそんなの経験無いって。葉璃とだからシたいんじゃん。いつでもどこでもギンギンになれるし?」
葉璃と居れば願望は尽きない。聖南の望みは、不埒な事もそうでない事も葉璃に関してのみなのである。
いくら無理だと分かっていても、愛する人とのあれこれは望まずにはいられない。
「用意周到過ぎだって、キレてもいいんだぞ?」
「そんな、キレはしませんけど……」
聖南の寝込みを襲うほどムラムラ悶々としていた葉璃は、少なからず今日を期待していたはずだ。
時刻は午前四時に差し掛かろうとしているが、まったく眠そうには見えない葉璃の今日の願望はとりあえず一つしかないだろう。
早くも開けられている薄い箱に入った二つの品は、とりあえず脇に置いた。
直接の会話を楽しみながらでも、出来ることはある。
「あっ、聖南さん……っ」
聖南は、若干引き気味の葉璃のバスローブに手を掛けた。だが葉璃も、腰紐に手を添えて視線で何やら訴えてくる。
「ん?」
「いや、あのっ、あの……っ」
「脱がせてるだけじゃん。……恥ずかしいの?」
「は、はい……かなり……。脱がさないでください……」
「そんなこと言われて従う男がいるかよ。問答無用!」
「あぁっ! もう!」
この状況で、これから何をするかも明確な今、葉璃の初な反応に酔っている場合ではない。
力の差は歴然であり、抵抗する葉璃のバスローブを取り払った聖南は、恥ずかしそうに縮こまる体を抱き締めてうっとりと撫で回した。
「もちもちスベスベ~♡」
「もう……」
「俺だけの特権だろ」
「それはそうですけど……恥ずかしいって言ったのに……」
「葉璃、それ逆効果」
「え? やっ、待ってください……っ、いきなり触るのは……っ」
口を開けば可愛い事ばかり言う葉璃に、聖南もかなり煽られている。
これほど行為までに時間をかけているのも、何もかも葉璃の気持ちを考えてこそだった。
籠城するほど羞恥でいっぱいだった葉璃の気持ちを落ち着かせなければ、おそらくキスさえまともに出来なかった。
かと言って冗談ばかり口にしていたわけではなく、葉璃を唖然とさせた願望含め何もかも聖南の本心である。
「お、葉璃ちゃんも元気だ。久しぶりだなぁ、相変わらず綺麗な色だ♡ かわいーなぁ♡」
「聖南さんっ!」
くすぐったそうに身を捩る葉璃の背中や脇腹をさらさらと撫でていくうち、徐々に不埒な掌は彼の中心部へと辿り着いた。
「ゴム付けてやっからいっぱい出していいんだからなー♡」
「ちょっ、そこに話しかけるのやめてくださいよっ」
「なんでだよ。二週間も会ってなかったんだから、挨拶しとかなきゃだろ」
「い、いや、ここに挨拶いらないですっ!」
照れつつもしっかりと反応していた小ぶりの性器を見て、聖南はひどく安堵した。
小柄で華奢な体躯に見合った彼のモノは、記憶と変わらず色味が薄くて綺麗だ。
仰々しい聖南の性器を舐めたいという葉璃の気持ちはまったく分からないが、可愛らしくピンと勃つこれは舐めたいと思う。
まじまじと見つめ、美味そうだと舌なめずりした瞬間、「聖南さん!」と声を張られて我に返った。
「分かった分かった。葉璃ちゃんにもちゃんと挨拶してやるって。ほら、舌出して」
「んっ……」
「キスの練習、しねぇとな」
「ふっ、ん……っ」
押し倒してしまいたい衝動を何とか堪え、葉璃の体を抱き寄せて唇を合わせる。
じっくりと味わうように、角度を変えて初々しく何度も重ねてみた。
そうしていると次第に唇が開いてくる。機を逃すまいとすかさず舌を入れ、先ほどより絡ませやすくなった短く甘いそれをしばし堪能した。
「ふぁ……っ、んむっ……」
キスの最中も微かに啼く葉璃の声に、勃起した性器がキュンと疼く。
声の響きやすいバスルームでのセックスを却下したのも、どれだけ我慢させようが葉璃は非常に艶めかしく、吐息交じりでしとやかに啼くからだ。
口を塞いでもまったく意味が無い事も、すでに経験済みである。
今でさえ、ただ深い口付けをしているだけで頬を上気させ、苦しげにぎゅっとまぶたを閉じ、聖南の舌を感じようと躍起になりながら甘やかな声を漏らしていた。
「思い出してきた?」
「ん、……分かんな……っ」
「とりあえず上乗ろっか」
「えっ……」
唇が名残惜しいと顔に書いてあったが、そろそろ聖南もギリギリな状態なので葉璃の戸惑いは無視だ。
それこそ片手で足りるほどしか経験の無い体位に実はワクワクしているなど、あまり悟られたくない。
飄々とした風を装い、すぐにでも昂りそうな欲を抑えるためには、自身も葉璃に歩み寄らねばならないだろう。
聖南は、葉璃のためならと勇気を出した。
「……今日だけは舐めるの許す」
「えっ!? いいんですか!? めろめろ!?」
「めろめろしていいよ」
「やったー……!」
その行為自体はどうしても好きになれないけれど、バンザイまでして喜ぶ綻んだ表情の葉璃は可愛いと思った。
聖南の要求を呑んでもらうには、葉璃の願望も聞き入れなくては持ちつ持たれつの恋人同士とは言えない。
ふとごろんと横になった聖南が、交換条件を胸にニコッと微笑む。
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