73 / 601
6❥胸騒ぎ
6❥8※
しおりを挟む大人の余裕というものが皆無となった聖南は、無言でその細い腰を抱いて突き上げた。
洗浄はもちろんシャワーも許さず、帰宅してすぐ葉璃をベッドに押さえ付けた聖南はまさに正気を失っていた。
「……っ……、……っ……」
───葉璃が泣いている。
かれこれ二時間は休み無く葉璃を貫いているが、その間、聖南が一言たりともものを言わないので「こわい」としきりに泣いている。
こんな事はしたくない、……したくないのに、大事な場面で大人になりきれない聖南の幼心が爆発した。
葉璃にはありったけの愛情を注いで、抱き締めて、頬擦りして、微笑み合っていたいのに。
常日頃から、もしも葉璃が居なくなったらの妄想をして死にたくなる、聖南の葉璃への依存具合は、もはや病的と言っていい。
葉璃がたとえ独りで悩んでぐるぐるしていても、最終的には自分という砦があると聖南はたかを括っていた。
……居なくなったらの妄想と共に、相反する思いもある。 葉璃のすべてを知り尽くしている、葉璃にはもう聖南しか見えていない、そういう自惚れだ。
たかだかルイと視線を交わし合っただけでヤキモチかと、アキラとケイタは鼻で笑うだろう。
断じて、そうではない。
聖南の知らないところで、よく知りもしない誰かと接触し、あの葉璃が他人に向かって感情を顕にするというのはそれだけ、聖南が我を忘れてしまうほどの一大事なのである。
「…………葉璃、もうちょい足踏ん張って」
「んん……っ、っ……っ……」
二時間ぶりに発した言葉がこれだ。
休憩無しのぶっ通しセックスは久々で、脱力しヘバっている葉璃に四つん這いを強いた聖南は、ぺたんこの腹を持ち上げてグッと性器を孔の中にねじ込んだ。
隙間なく密着した下腹部が、ぐちゅぐちゅっと卑猥な音を立てる。
最奥を突いて数秒は亀頭を迎え入れた襞がぐにぐにと蠢き、その存在を認識するとぎゅっと締め付けてくる内は絶倫を誇る聖南でさえ我慢がきかなくなる。
その性器への刺激で一気に射精へと導かれるが、自身の限界も葉璃の内側もすでに熟知している聖南にとって、時間が許すのならいつまででも葉璃を愛していてやれる。
枕にしがみつき、聖南からの容赦ない挿抜に身を震わせる葉璃は聖南のものだ。
快感にさえ疎かった葉璃の性は、聖南が開発し、拓いた。
聖南の顔が見えないからバックが嫌いだと可愛い事を言う葉璃も、今や長時間に渡るしつこいセックスに我を失う事も少なくない。
最近では初々しく乱れてくれる事も多くなった。
だから、嫌なのだ。
葉璃のすべての最初と最後は、自分でなければいけない。
何もかも、聖南は葉璃についてを知っていなくてはならない。
誰が、聖南がまだ気を許していない相手と関係を深めていいと言った?
なぜそれを隠していた?
葉璃が見詰めていていいのは聖南だけなのに、二人の間に何かがあると匂わせておいて語ってくれないのはフェアじゃない。
「せな、……さんっ……なに……っ? こわ……い、んぁあっ……」
「もうイく。 終わったら話するから今は我慢して」
「あっ……っ……っ、……っっ!」
じわりと振り返ってきた葉璃をギラついた瞳で射抜き、努めて冷静にそう言った。
ラストスパートのために強く腰を掴んだ聖南は、イエロー交じりの茶髪を振り乱して素早く中を抉る。
あまりに激しい挿抜にベッドが波打つように揺れ、動きに合わせてギシギシと軋んだ。
すでに放った精液と、微量とは言えない先走りを溢れさせた先端で最奥を突き、そのまま腰を回してもっと奥へ奥へと挿入っていこうとする。
「あ、っっ……あぁぁっ───!」
「…………ッ……」
あともう少しだけ抜き差しを繰り返そうとしていた聖南の小さな計画は、葉璃の射精によって聖南の性器を絞り上げた事で潰された。
蠢きながら締め上げてくる内襞が、射精すらままならないほど熱く脈打つ。
その瞬間、腰だけでなく聖南の背中から震えた。
正気を失っていた聖南だったが、怒りと嫉妬に任せて思いのままに葉璃を抱くといくらか気が休まってくる。
「はぁっ……はぁ、っ……」
上体をベッドに沈めた葉璃は、女豹のポーズのような格好でなおも聖南を誘惑してくるが、そろそろ本気で嫌われてしまうとようやく頭の中が冷静さを取り戻してきた。
繋がったそこで葉璃の存在を確かめながら、背後から覆い被さって支配欲を満たすが如くうなじを舐める。
「んっ……」
ピクッと体を揺らした葉璃が敏感に反応し、恐る恐るといったように聖南に腕を伸ばしてきた。
「……せなさん、ぐるぐる……してるの……?」
その腕を掴むと、葉璃は力無く聖南を見て可愛く首を傾げ、掠れた声でそう問うた。
聖南がこうなるのは、恥ずかしながら初めてではない。
理由も無く葉璃を押さえつけたりなどしないと、彼はもう分かっているのだ。
「…………あぁ、ぐるぐるしてる」
「体、起こして」
「……ん」
繋がったまま、聖南はタメ口葉璃の腕を取って上体を起こしてやると対面座位の格好で抱き締め合った。
腕の中からじわじわとこちらを向いた葉璃に、怒りの目を向けられてもしょうがないとは思いつつ嫉妬に狂った激情は止められない。
葉璃の最終兵器は、聖南にだけ向いていればいい視線。 この顔も、体も、聖南だけが愛する事を許されている。
「聖南さん、ぐるぐる」
「……揶揄ってんの?」
「聖南さんのぐるぐる、久しぶり」
「……葉璃が悪いんだからな」
「うん、……俺が悪い。 ぐるぐる聖南さん」
我が物顔で私欲と嫉妬心を満たそうとしていたのは、大人げない聖南の方だったはずだ。
本当は聖南だって分かっている。 葉璃は悪くない。
些細な事で我を忘れるほど愛してしまっている聖南が悪いが、葉璃が可愛過ぎるのも存分に悪い。
21
あなたにおすすめの小説
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
乙女ゲームで強悪役な俺が人外攻略達とハーレムになりました
鮎田
BL
操り人形屋敷の悪役令息に生まれ変わった転生少年。
悪役令嬢の姉二人に挟まれながら、一人で生きていくためにレベルを上げ続けていた。
乙女ゲーム開始の一ヶ月前、事件は起きた。
魔術学園で力を隠して目立たないようにひっそりと暮らしていた。
攻略キャラクターはまだ動かないとのんびりしていたら、魔術学園の先生として赴任してきた。
騎士団長、副団長、執事、謎の商人、双子暗殺者全てが人外先生となる。
悪役令嬢のヒロインと結ばれるはずが、俺に構いすぎていてなにか可笑しい。
強レベルの悪役令息は最強レベルの攻略キャラクター達に愛されて逃げ出した。
自分が弱いんじゃなくて、お前らが強すぎるだけだろ!
人外六人の攻略キャラクター×強キャラ悪役令息
学園の姿と外の姿、二つの顔を持つ彼らは魅了レベル強キャラ少年を逃さない。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
あの夏の日を忘れない ~風紀委員長×過去あり総長~
猫村やなぎ
BL
椎名由は、似てるという言葉が嫌いだった。
髪を金にして、ピアスを付けて。精一杯の虚勢を張る。
そんな彼は双子の兄の通う桜楠学園に編入する。
「なぁ由、お前の怖いものはなんなんだ?」
全寮制の学園で頑張り屋の主人公が救われるまでの話。
【完結】悪役令息の従者に転職しました
* ゆるゆ
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
透夜×ロロァのお話です。
本編完結、『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました!
時々おまけを更新するかもです。
『悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?』のカイの師匠も
『悪役令息の伴侶(予定)に転生しました』のトマの師匠も、このお話の主人公、透夜です!(笑)
大陸中に、かっこいー激つよ従僕たちを輸出して、悪役令息たちをたすける透夜(笑)
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる