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第7話
迅はヤリチンだ。
女はめんどい、なんて言ってたけど、親の帰宅が遅いのをいい事に何人も女を部屋に連れ込んでるって、翼が笑いながら話してた。
『迅はリア充を地で行ってる』って。
俺が越してきてからもそれは変わらなくて、みんなで遊んでるのに迅が一人だけ先に帰ってしまうって事はザラだった。
女が来るから。
なんて、いつものトーンで俺達にスカした顔を見せていた。
初めて抜き合いしたあの日までは──。
あの日を境に、迅は俺を隣に置きたがった。
ダチが待ってるからって言って帰ろうとすると、不機嫌さ丸出しで俺を引き止める。
迅はあらゆる理由を付けて放課後はほぼ毎日俺と過ごしてるから、多分今は…彼女は居ないと思う。
正統派なケンカのやり方は男の俺でも惚れ惚れするくらいだし、何より迅は口さえ開かなければ思いやりに溢れた普通のヤンキーだ。
先輩に抱いてた尊敬に似た気持ち、無くもない。
…ヤリチンなのはどうかと思うけど。
「もっさん~雷にゃんだよ~」
もっさんの縄張りに来て声を掛けると、いつもの場所じゃない所からミーミーと子猫の鳴き声がした。
「んっ?」
急いで鳴き声のする場所まで行くと、湿った土の上でもっさんがなんと三匹も赤ちゃんを産んでた。
地面にドテッと寝そべってて撫で放題だったから、てっきり太っただけかと思ったらお腹に赤ちゃんが居たなんて気付かなかった。
「もっさん…ママになったのか」
なぁぁ、と独特な鳴き声のもっさんが俺を見てドヤ顔してる。
子ども達はみんなもっさん似でめちゃくちゃ可愛い。
まだ目も開いてないって事は、産まれたてなんだ。
「やばーい♡ 連れて帰りたいなぁ」
引っ越して来る前は一軒家だったけど、ここでは父さんの会社の社宅住みだからペットは飼えない。
でもドヤ顔したこのもっさんならいいママになれるだろうし、俺もたまに様子見に来るから心配要らないかな。
今日は撫でずに帰ろうと立ち上がったその時、突然、背中に殴打された痛みを感じた。
「ぐっ…!?」
咄嗟に、俺の目の前にいるもっさん達を庇って蹲る。
痛い。 不意打ちなんて卑怯だろ。
しかも人の拳じゃなかった…細長い何かで思いっ切り殴られた。
誰だ、と痛みに顔を歪めながらを振り返ると、三人のヤンキー達が俺を取り囲んでいた。
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