美醜の価値観が混沌とした異世界で三人の男たちに愛されて崇め奉られる。

flour7g

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すぐ分かる異世界。信じ難い価値観。

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さっきまで、僕はいつもの学園にいたはずだった。

退屈な講義、
窓の外を流れる雲、
昼休みのチャイム。

そんな日常は、瞬き一つの間に消え去った。

 何度目を擦っても、視界に広がるのは見渡す限りの砂漠。
 そして、巨大な城壁の上。

 空を仰げば、重力に逆らうように優雅に浮かぶ飛空艇の姿。

「……は? なんで??」

 混乱する僕の横を、信じられない光景が通り過ぎていく。

筋肉隆々のたくましい大男たち。

120センチメートルほどはありそうな二足歩行の猫獣人。

荷馬車を引いて威勢よく商売をしているケンタウロス。

ふと空を見上げれば、ハーピーやグリフォンが宅配便さながらに小さな荷物を運んでいた。

 何より異様だったのは、街を行き交う大男たちの風貌だ。

 天を突くようなねじれた角、口からはみ出す鋭い牙。
 鋼のような筋肉を鎧ったその姿は、ファンタジー映画の「魔族」そのもの。
 そんな恐ろしい外見の者たちが、当たり前の顔をして生活している。

 呆然と立ち尽くしていた僕は、意を決して近くにいたケンタウロスの商人に声をかけた。

「あの、すみません。ここは一体……」

 言いかけた言葉は、ケンタウロス男の視線に遮られた。

 半人半馬の彼は、まるで掘り出し物の宝石でも見るかのような、ねっとりとした眼差しで僕を舐めまわす。

「――お。こいつはいい。上玉じゃねぇか!」

「わっ、ちょっと!?」

 返事の代わりに、僕は強引に馬体の背中へと放り投げられた。

 抗う間もなく猛然と爆走が始まる。
振り落とされないよう必死にしがみつき、あまりの揺れと恐怖に意識が朦朧としてくる。

 ……次に目を覚ました時、僕は「商品」として売られていた。

 獣人と人外が当たり前に交わるこの狂った世界で、僕を買い取ったのは――ひときわ巨大で恐ろしく、身なりがいい魔族の大男だった。

 丸太のような片腕で、僕は子供のように軽々と抱えられている。
 その時、周囲の視線が刺さることに気づいた。

 街中の、ありとあらゆる種族の男たちが、僕を抱えるこの巨漢の魔族を熱烈な眼差しで見つめているのだ。

頬を染め、溜息を漏らす者までいる。


(……マジかよ。嘘だろ?)


 信じがたいが、どうやらこれがこの世界の真実らしい。

 凶悪な牙、禍々しい角、薄っすらと紫色の肌、威圧感しかない巨体。

 僕の知る「恐怖」の象徴のような男こそが、この世界における、
――最高の「イケメン」なのだ。
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