美醜の価値観が混沌とした異世界で三人の男たちに愛されて崇め奉られる。

flour7g

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異世界の朝、モーニングルーティン

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差し込む朝日にまぶたを震わせ、僕は目を覚ました。

「……ん、……え?」

 視界がクリアになった瞬間、心臓が跳ね上がった。
ソファを囲むように、
三人の大男が直立不動で僕を見下ろしていたからだ。



「おはよう、よく眠れたかい?」
 グラウスが、岩のような体躯に見合わぬ柔和な、けれどどこか熱を帯びた声で言った。


「あ、おはよう……えっと、みんな、いつからそこに?」


「……さっきだ」
 ゼンジが短く答えるが、その金の瞳は血走っており、一晩中僕を見守っていたのではないかと疑いたくなる。


「……はぁ……、朝の……光の中の君は……昨日よりもさらに……」
 ディアロスが至近距離で僕の頬を覗き込み、恍惚とした吐息を漏らしている。


 いきなりの重圧に冷や汗をかきながら起き上がると、三人の「お世話」という名の猛攻が始まった。


――グラウスの「豪快な献身」

「まずは腹ごしらえだ。君のような繊細な御方には、昨日のような荒い飯は出せないと思ってな」

 グラウスが運んできたのは、木製のトレイに乗った朝食だった。
驚いたのはその中身だ。
硬いはずの干し肉は米粒ほどに細かく刻まれ、野菜は形がなくなるまで煮込まれている。

「甘くて柔らかい果実はどうだろうか、ああ、今剥いてやろう」

 彼は大きな手のひらにメロンのような大きな果実を乗せると、包丁も使わず、素手で「パキッ」と真っ二つに割り、さらには指先で綺麗に皮を剥いて、すりおろした状態で差し出してきた。


「俺の大きな体は、今日から君を守るためだけにある。……さあ、遠慮しないでくれ」

 その仕草はあまりに自然で、怪力男とは思えぬ「家事のできる父性」に溢れていたけれど……
僕は断る勇気を持てずに恐る恐る口に運ぶ、
この世界の食べ物は美味しかった。


――ゼンジの「手先の器用さと独占欲」


「食後の着替えだ。昨夜の制服とやらはまだ砂まみれで洗えていない。君の柔肌に傷がつかないように用意した」

 ゼンジが差し出したのは、
彼が着ていた古着を縫い直したという、膝丈の浴衣のような服だった。

「僕に合わせて……縫い直してくれたの?」


「ああ。夜通し……いや、少し時間が余ったのでな」

 仕事が速いどころの騒ぎではない。
端切れ一つ無駄にせず、僕の細い体に完璧にフィットするよう計算されたその縫い目は、もはや芸術品だ。

 袖を通すと、ゼンジの香りが微かに鼻をくすぐる。
その瞬間、ゼンジは「自分の服を愛しい者に着せた」という優越感と悦楽に満ちた、恐ろしく艶やかな表情を浮かべた。


「似合っている……。俺の色、俺の香りが……」
 ゼンジは静かに悶えていた。



――ディアロスの「執着の魔法」


「……不備がないか、私が診る」

 ディアロスが僕の手を取り、至近距離でじっと見つめてくる。


「少し、肌が荒れているな。……魔法で癒しておこう」

 柔らかな光が僕を包む。けれど、光が消えた後も彼は僕を放さなかった。

「……ついでに、保護魔法をかけておく。外部からの衝撃を和らげるためだ。それと……」

 彼は僕の首筋に指を滑らせ、見えない紋章を刻み込んだ。

「これは……?」


「……私が、あなたをいつでも見つけられるようにするための、お守りだよ」

 それは紛れもなく「位置情報追跡魔法」だった。
彼はそれを重ね掛けし、ようやく「これで、誰にも奪われない」と言わんばかりの安堵した表情を見せた。


「あの……みんな、ありがとう。でも、少し……いや、かなり、近すぎないかな?」


 三人たちから注がれる、三者三様の重すぎる愛情。

 僕の異世界生活は、逃げ場のない朝のお世話をされるのが定番になりそう。

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