美醜の価値観が混沌とした異世界で三人の男たちに愛されて崇め奉られる。

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異世界バザールの喧騒で、もう一人

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朝の騒がしい「身支度」を終え、僕は三人に守られるようにして街へ出ることになった。
 
三人の家は小さく質素な男所帯で、備蓄も乏しい。

何より、僕が身につけていた制服は洗って干しているので、着られるものがゼンジが夜なべして縫い直してくれた古着一枚だけ。

――替えの下着もない、風が強く吹くと下半身が心もとない。

 バザールは色とりどりのテントが並び、熱気に満ちていた。だが、僕たちが足を踏み入れた瞬間、喧騒が止み、人々の視線が突き刺さる。


「……見ろよ。三人が連れているのは……まさか、高級娼年か?」
「なんてことだ。あの白く細い肢体……。あんなに野暮ったい連中に囲われているなんて、どこかの屋敷からさらわれたのか」


 周囲の住人たちの目は、羨望と、どこか後ろ暗い情欲に満ちていた。

この世界で僕のような見目は、
彼らの目には「高嶺の花」であると同時に、男たちの寵愛を一身に受ける特別な存在に見えているらしい。


「……離れるなよ。野良犬どもの視線が鬱陶しい」
 グラウスが大盾を背負い、僕を隠すように歩く。


「これほどの御方を、俺たちのような貧相な男が連れ歩くのは不釣合いだという自覚はある。だが……」
 ゼンジが僕の袖を掴む手に力を込めた。


三人の心の中は、単なる保護や独占欲ではなく、
「対等な伴侶として認められたい」という、切実で狂おしい敬愛に染まっていた。


――その時、人混みが大きく割れた。


「……やはりここにいたか。俺のつがいよ」

 地鳴りのような低音と共に現れたのは、昨日ケンタウロスから僕を買い上げ、
片手で抱えて歩くと、荷台に放り込んだ、
あの薄紫色の肌を持つ巨躯の魔族だった。


 グラウスが即座に大盾と大槍を構え、ゼンジが抜刀の構えを取る。
 ディアロスの長い髪が魔力で淡く輝き風に靡く。

「貴様……!連れ戻すつもりか!」

 だが、薄紫肌の魔族男は戦う素ぶりも見せず、僕の前にゆっくりと膝をついた。


「勘違いするな。手荒に扱ったのは、俺の愛が未熟だったゆえだ。
俺はお前を心底慈しもうとした。……だが、認めざるを得ないな。お前にとってはそこの野暮ったい三人男も安らぎになるらしい」
 魔族は僕の足元に、重厚な革袋を置いた。

「俺は諦めたわけではない。だが、今はお前に警戒されていることくらい分かっている……この金を使え。
その肌を傷つけぬシルクを買い、その胃に優しい果実を揃えろ」
 

「……俺たちが、この方のそばにいるのを許すって言うのか?」
 ディアロスが冷たく問いかける。

「そうだ。だが見誤るなよ。もしお前たちが傷付けたり、悲しませるようなことがあれば、俺がいつでもこの手に抱き上げて連れ去る」
 僕の唇を撫でながら語る薄紫肌の魔族の言葉には、

番の執着というよりも、
もはや四人目の守護者として、
僕を守り抜こうとする奇妙な連帯感が漂っていた。


「……ここはありがたく貸しにしておこう。必要なものは沢山ある、君も迷惑料をもらったと思うといい…」
 グラウスが、魔族を睨みつけながらもその思いを受け取るように革袋を拾い上げた。


 彼らは僕を囲い、守り、いつか心を通わせる「伴侶」となることを夢見ている。

 そして一人の魔族は、今はまだ影からすべてを支える守護者として。


異世界のバザールの中心で、
僕は四人の男たちの、
あまりに重く、
けれど純粋な「愛の誓い」の真っただ中に立ち尽くしていた。
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