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第三章
夜のお茶会
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「え、神様って実在するの?」
「当然だろう。」
「会ったことある?」
「ああ。」
『……マジか。』
思わず日本語が出てしまう。え?架空の生物じゃなくて未確認生物だったの?せいぜい絶滅生物とかだと思ってたのに、生きてるの?
「今更何を驚いているんだ?お前も神に会ったことがあるんだろう。」
「え!?ないよ!?」
不思議そうに言われて、消灯後だというのに思わず大きい声を出してしまって慌てて口を押さえた。ここはうちと違って壁もしっかりしているから音が漏れることはないから大丈夫だとは思うけど、染み付いた癖というのはなかなか抜けない。
「神様なんて、今まで一回も会ったことないよ?むしろ、本当はいないんじゃないかって思ってたぐらいで……」
「だが、いつもアイドルを見ながら神だ神だと言ってはしゃいでいるだろう。俺は、アイドルというのは末席に名を連ねる神だと思っていたのだが……」
「ああ、なるほどね……ごめん。神ってそういう意味じゃないんだ。」
……シーくんは、私がアイドルを見ながら「この曲本当に神だよね……」「見て、この角度とか本当に神ってる!」「尊い……神が降臨してる……」などと言っていたのを聞いて、アイドルは神だと思っていたらしい。いや、アイドルは神なんだけど、そっちの神じゃなくて……ああ、ややこしい。
「私、神ってすごいとか、尊いとか、凄く好きとか……そういう意味で使ってたの。種族としての神って意味じゃなかったんだよね……。」
「……そんな表現初めて聞いたな。ガラク村独自の方言か?誤解を招くからやめた方がいい。」
「大丈夫。多分、私しか使ってないよ。」
そうか。この世界で神といえば本物の神を指しているんだ。本当の神がいるのに推しが神とか言わないのか……。もしかしたら、日本は無宗教が多かったから神って普通に言葉も使いやすかったのかもしれない。聞かれたのがシーくんだけだったからよかったけど、他の人に聞かれてたらそれこそ不敬罪とかで捕まってたかもしれない。
「……好きなのか。」
「え?何が?」
「さっき言っていただろう。神、という表現はルナにとってとても好きだという意味だと。アイドルが好きなのか?」
「もちろん、大好きだよ!」
私にとって、アイドルとは前世の自分の全てだった。今世でどんな目にあってもめげずにいられたのは、もちろんシーくんやティアのおかげっていうのもあるけど、アイドルの存在が大きい。スマ本を通してしか見ることが出来なくなった存在だけど、変わらず私を支えてくれる。
「……1番は、」
「ん?」
シーくんにしては珍しく小さい声でうまく聞き取れなかった私は、少し近づいた。すごい、ドアップにも耐えられる顔だ。
「アイドルの中で1番は誰だ?どうすればそいつを超えられる?」
「え?1番?」
アイドルの存在を知っているのがシーくんだけだから当たり前ではあるが、今世で初めて最推しを聞かれた。前世ではよく聞かれていた質問だったのに、どうすれば超えられるなんて聞かれると思わなくて、思わず動揺してしまい即答できなかった。多分、シーくんがアイドル目指せばかなりいい勝負になると思う。
「……ずっとルナを見てきたから分かる。お前にとっての1番は、アイドルだ。その中の1番が、ルナにとって1番大切な人なのだと思ったのだが……違うか?」
「違わないけど……多分、シーくんの言っている1番大切な人とは微妙に意味が違うと思う。」
多分シーくんは、1番大切な人というのが恋愛的な好きという意味で言っているのだと思う。でも私は、マジ恋勢ではなかった。マジ恋勢のほとんどが同担拒否だったが私はむしろ同担大歓迎で、推しのファンが増えるのが何よりも嬉しかった。私生活でも幸せであることを願っているが、私生活でもアイドルであることは求めていない。熱愛スキャンダルがあったって、本人が幸せなら私も幸せだ。私はファンでいることが幸せだから、アイドルの相手が私とか解釈違いにも程がある。
「付き合いたいとか、結婚したいとかの好きじゃないの。ステージの上で輝いて、夢を叶えている姿を見ているだけでとても幸せなの。ステージの上にいるあの人の中に、私がいなくてもいい。弱さも悔しさも努力も見せることなく、全てを背負ってステージに立つあの人が……本当に大好きで、尊敬している。ずっと応援していたい。」
「……あの人って、誰だ?」
そう聞いていたシーくんは、悔しさと悲しさと喜びと……いろいろな感情がごちゃ混ぜになったような顔をしていた。初めて見るその顔に、思わず見惚れてしまう。……本当に、どんな表情をしても美しいと思う。
「この人だよ。私がアイドルを好きになったきっかけ。」
スマ本をテーブルの上に置いて、あの人がいるアイドルグループのホームページを開いて見せた。そこに写っているのは、私が1番好きな3人組の男性アイドルユニット。
「FULL MOONっていうグループの……リオ!私の1番好きなアイドルだよ!」
私がアイドルという存在を知ったきっかけは、リオだった。リオをきっかけにしてアイドルにハマり、いろいろなアイドルを好きになった。それでも、1番はずっと変わらずリオだった。
「これが……ルナの1番……」
シーくんはそう言ったきり言葉を発することなく、長い時間ただじっとリオを見ていた。
しばらくしてやっと喋ったかと思うと、ルナにリオの映像をもっと見せろとせがまれた。私も今世初の推しの布教!!とテンションが上がってしまい、言われるがままにスマ本を使い続けた。眠気なんてどっかに行って、とにかく推しの魅力を話し続けた。
……そうして、推しの布教会は夜通し続いた。ライブ映像を見ていた途中から記憶がないから、多分私は寝落ちしたのだと思う。
しかし、朝起きた時にはしっかり布団の中にいた。……シーくん、運んでくれたのかな?もう起きた時にはシーくんはいなかったから、帰ったのだと思うけど……。お礼、言えなかったな。
というか、昨日はシーくんもついにアイドルの魅力に気付いたのかと思ってテンションが上がって、とにかくリオの魅力を語りまくっていたけどよくよく思い出してみると、シーくんは全く楽しそうじゃなかった気がする。むしろ、私がリオについて話せば話すほど無表情になっていたような……
……シーくんてもしかして、恋人が異性のアイドル好きなの許せないタイプの人?(私とシーくんは恋人じゃないけど。)
……違うって散々言ったのに、それでもライバル視するのか。やっぱり重い。愛が重い。
それでも、私はアイドルを好きなことをやめるつもりはない!!というか、やめられない!!
そんなこんなで、戦争についてというとてつもなく重い話から始まった夜のお茶会は、最終的に私の最推しの布教会で終わった。そのおかげで、私は怖い夢を見ることなく眠ることができた。戦争の話のまま終わってたら間違いなく怖い夢見てたわ……。
「当然だろう。」
「会ったことある?」
「ああ。」
『……マジか。』
思わず日本語が出てしまう。え?架空の生物じゃなくて未確認生物だったの?せいぜい絶滅生物とかだと思ってたのに、生きてるの?
「今更何を驚いているんだ?お前も神に会ったことがあるんだろう。」
「え!?ないよ!?」
不思議そうに言われて、消灯後だというのに思わず大きい声を出してしまって慌てて口を押さえた。ここはうちと違って壁もしっかりしているから音が漏れることはないから大丈夫だとは思うけど、染み付いた癖というのはなかなか抜けない。
「神様なんて、今まで一回も会ったことないよ?むしろ、本当はいないんじゃないかって思ってたぐらいで……」
「だが、いつもアイドルを見ながら神だ神だと言ってはしゃいでいるだろう。俺は、アイドルというのは末席に名を連ねる神だと思っていたのだが……」
「ああ、なるほどね……ごめん。神ってそういう意味じゃないんだ。」
……シーくんは、私がアイドルを見ながら「この曲本当に神だよね……」「見て、この角度とか本当に神ってる!」「尊い……神が降臨してる……」などと言っていたのを聞いて、アイドルは神だと思っていたらしい。いや、アイドルは神なんだけど、そっちの神じゃなくて……ああ、ややこしい。
「私、神ってすごいとか、尊いとか、凄く好きとか……そういう意味で使ってたの。種族としての神って意味じゃなかったんだよね……。」
「……そんな表現初めて聞いたな。ガラク村独自の方言か?誤解を招くからやめた方がいい。」
「大丈夫。多分、私しか使ってないよ。」
そうか。この世界で神といえば本物の神を指しているんだ。本当の神がいるのに推しが神とか言わないのか……。もしかしたら、日本は無宗教が多かったから神って普通に言葉も使いやすかったのかもしれない。聞かれたのがシーくんだけだったからよかったけど、他の人に聞かれてたらそれこそ不敬罪とかで捕まってたかもしれない。
「……好きなのか。」
「え?何が?」
「さっき言っていただろう。神、という表現はルナにとってとても好きだという意味だと。アイドルが好きなのか?」
「もちろん、大好きだよ!」
私にとって、アイドルとは前世の自分の全てだった。今世でどんな目にあってもめげずにいられたのは、もちろんシーくんやティアのおかげっていうのもあるけど、アイドルの存在が大きい。スマ本を通してしか見ることが出来なくなった存在だけど、変わらず私を支えてくれる。
「……1番は、」
「ん?」
シーくんにしては珍しく小さい声でうまく聞き取れなかった私は、少し近づいた。すごい、ドアップにも耐えられる顔だ。
「アイドルの中で1番は誰だ?どうすればそいつを超えられる?」
「え?1番?」
アイドルの存在を知っているのがシーくんだけだから当たり前ではあるが、今世で初めて最推しを聞かれた。前世ではよく聞かれていた質問だったのに、どうすれば超えられるなんて聞かれると思わなくて、思わず動揺してしまい即答できなかった。多分、シーくんがアイドル目指せばかなりいい勝負になると思う。
「……ずっとルナを見てきたから分かる。お前にとっての1番は、アイドルだ。その中の1番が、ルナにとって1番大切な人なのだと思ったのだが……違うか?」
「違わないけど……多分、シーくんの言っている1番大切な人とは微妙に意味が違うと思う。」
多分シーくんは、1番大切な人というのが恋愛的な好きという意味で言っているのだと思う。でも私は、マジ恋勢ではなかった。マジ恋勢のほとんどが同担拒否だったが私はむしろ同担大歓迎で、推しのファンが増えるのが何よりも嬉しかった。私生活でも幸せであることを願っているが、私生活でもアイドルであることは求めていない。熱愛スキャンダルがあったって、本人が幸せなら私も幸せだ。私はファンでいることが幸せだから、アイドルの相手が私とか解釈違いにも程がある。
「付き合いたいとか、結婚したいとかの好きじゃないの。ステージの上で輝いて、夢を叶えている姿を見ているだけでとても幸せなの。ステージの上にいるあの人の中に、私がいなくてもいい。弱さも悔しさも努力も見せることなく、全てを背負ってステージに立つあの人が……本当に大好きで、尊敬している。ずっと応援していたい。」
「……あの人って、誰だ?」
そう聞いていたシーくんは、悔しさと悲しさと喜びと……いろいろな感情がごちゃ混ぜになったような顔をしていた。初めて見るその顔に、思わず見惚れてしまう。……本当に、どんな表情をしても美しいと思う。
「この人だよ。私がアイドルを好きになったきっかけ。」
スマ本をテーブルの上に置いて、あの人がいるアイドルグループのホームページを開いて見せた。そこに写っているのは、私が1番好きな3人組の男性アイドルユニット。
「FULL MOONっていうグループの……リオ!私の1番好きなアイドルだよ!」
私がアイドルという存在を知ったきっかけは、リオだった。リオをきっかけにしてアイドルにハマり、いろいろなアイドルを好きになった。それでも、1番はずっと変わらずリオだった。
「これが……ルナの1番……」
シーくんはそう言ったきり言葉を発することなく、長い時間ただじっとリオを見ていた。
しばらくしてやっと喋ったかと思うと、ルナにリオの映像をもっと見せろとせがまれた。私も今世初の推しの布教!!とテンションが上がってしまい、言われるがままにスマ本を使い続けた。眠気なんてどっかに行って、とにかく推しの魅力を話し続けた。
……そうして、推しの布教会は夜通し続いた。ライブ映像を見ていた途中から記憶がないから、多分私は寝落ちしたのだと思う。
しかし、朝起きた時にはしっかり布団の中にいた。……シーくん、運んでくれたのかな?もう起きた時にはシーくんはいなかったから、帰ったのだと思うけど……。お礼、言えなかったな。
というか、昨日はシーくんもついにアイドルの魅力に気付いたのかと思ってテンションが上がって、とにかくリオの魅力を語りまくっていたけどよくよく思い出してみると、シーくんは全く楽しそうじゃなかった気がする。むしろ、私がリオについて話せば話すほど無表情になっていたような……
……シーくんてもしかして、恋人が異性のアイドル好きなの許せないタイプの人?(私とシーくんは恋人じゃないけど。)
……違うって散々言ったのに、それでもライバル視するのか。やっぱり重い。愛が重い。
それでも、私はアイドルを好きなことをやめるつもりはない!!というか、やめられない!!
そんなこんなで、戦争についてというとてつもなく重い話から始まった夜のお茶会は、最終的に私の最推しの布教会で終わった。そのおかげで、私は怖い夢を見ることなく眠ることができた。戦争の話のまま終わってたら間違いなく怖い夢見てたわ……。
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