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第三話 揺れる想い
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デパートに到着した。平日なので人はそこまで多くないが、賑わっている方だと思う。
「で、何が欲しいんだ?」
「生花用の花瓶や水盤が見たいんです」
「へえ」
「物置に使ってない花瓶があったんですけど、欠けてるものもあって。だから自分で選んで買ってみようかなって。あっ、これなんてかわいい!」
私が見つけたのは、三角形の花瓶だった。
色は黄色味のあるベージュで優しく温かな印象を与える。これならどこに置いても合うだろう。
三角形の花瓶の値札を見て、私はギョッとする。ゼロの数がかなり多い。
これは予算オーバーだ。
「別のにしようかなっ」
手に取った花瓶を元に戻すと、それを和仁さんが手に取る。
「別にいいんじゃないか?」
「もう少し安い方がいいかなって……」
和仁さんは値札を見た。流石に高いと思われるだろうと思ったけれど。
「たまには奮発したらどうだ。あのカード、全然使っていないんだろう」
「私のお金じゃありませんし、無駄遣いはダメですよ」
「華道は無駄なことなのか?」
「え? そんなことは……花そのものの生きた素材を活かす芸術は、日本独自の素晴らしい文化だと思います」
「ならそのために使う花瓶は無駄遣いなんかじゃないだろう」
「……!」
和仁さんの言葉は目から鱗だった。
まさかそんな風に思ってもらえるなんて。
「本当だ、全然無駄なんかじゃありませんね」
「……っ」
和仁さんのこういうところが素敵だなと思う。
自分の物差しで物事の価値を決めず、受け入れてくれるところがすごく素敵。
だからこそ色んな人を受け入れて、みんなから慕われているのだと思う。
「ありがとうございます! これ買ってきます」
私は花瓶を抱え、レジに向かった。
和仁さんが背中を押してくれたこの花瓶は、とても大切なものになった。
この花瓶にどんなお花を飾ろうかと考えるだけでときめきが止まらない。
お会計を済ませ、花瓶を買った袋を抱きしめて戻ると、その紙袋を和仁さんがヒョイと持ち上げる。
「持とう」
「大丈夫です! そんなに重くないし」
「いいから」
「ありがとうございます……」
ああ、どうしよう……嬉しくてドキドキが止まらない。和仁さんはどうしてそんなに優しくしてくれるのかしら?
最初は私の顔を見ようともしなかったのに、最近は目を合わせてくれる。それだけでも嬉しい。
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