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第十二話 紡がれる未来
12-2
しおりを挟む「あーー……、君には失礼な話かもしれないが、都合が良かったからだろう」
「都合が良い?」
「極道という世界は様々なしがらみが多い。それに巨大な組織であればある程、横の繋がりが大事になる。そのパワーバランスを崩さないために父が考えた条件が三つだ」
「三つですか」
和仁さんはあくまで直接お義父様に聞いたわけでなく、推測であると前置きしてから三つの条件について説明してくれた。
「桜花組と無関係であること、桜花組に不利益とならないこと、そして桜花組に反旗を翻す力がないこと」
「なる、ほど?」
何となくわかるような、わからないような……。
「要するに桜花の脅威とならないことが大前提というわけだ。更に君の父の会社を立て直すという恩を売り、逆らえる状況をなくさせたんだな」
「な、なるほど~!!」
「……怒らないのか?」
「えっ、なんでですか?」
「いや、不快に思わないのかと」
不快なことなんて一つもない。改めて利害関係の元に成り立った関係だったんだな、と再確認する。
私の父は会社を取り戻すことができて、お義父様にとっては条件を全てクリアした縁談で。
「私は和仁さんの妻になれて、皆が幸せになれる結婚だったということですね!」
「それは、結果的には」
「素晴らしいじゃないですか! こんな奇跡、なかなかありませんよ」
そう、これはほとんど奇跡に近い。
たとえ最初は政略結婚だったとしても、こんなにも愛しいと思える人と結婚できるなんて運命的だと思う。
「私と出会ってくれてありがとうございます」
「……っ」
「和仁さん?」
和仁さんは再びぎゅううっと私のことを抱きしめ、肩に顔を埋める。
「……どうせ結婚させられるんだから相手なんかどうでもいいと思ってた。でも、ジェシカでよかった」
「和仁さん……」
「愛してる、ジェシカ」
「私も……」
全て言い終わる前に唇を塞がれる。
ついばむようにくっついては離れ、開いた口から舌を差し込まれて。そのまま舌が絡まり合う。
「ん……っ」
唇がふやけそうになるくらい貪られ、思考までとろとろにされた私は押し倒されていたことにも気づかなかった。
「ジェシカ……」
「っ、ぁ……っ」
この日が一番和仁さんを近くに感じた。
心も体も全てが一つになって、溶け合っていくような。
まるで欠けた何かを埋め合うように、何度も何度も抱き合って求め合う。
マムが過労で倒れた時、私は自分を責めた。
私のために必死で働くマムをもっと助けてあげられたんじゃないかと、無力な自分が嫌だった。
それから父に引き取られて以降はずっと邪魔者扱いされて、自分自身に価値を見出せなかったけれど。
全部あなたと出会うためだったと思ったら、今までの自分も肯定してあげられる気がする。
「和仁さん、大好き」
だから、あなたも自分を責めないで。
自分のせいだなんて思わないで。
私はあなたを全部肯定する。
あなたが許せないあなたのことまで全部愛して、これからもずっと傍にいる。
この先の未来はずっと、二人で歩んでいけますように――。
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