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宝の森
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今回の目的はいまだに入手していない錬金術素材の入手である。そのためには当然のことながら、未開の森の奥深くにも入らなければならないだろう。
「さて、どっちに向かうかな」
「その前に、索敵範囲はある程度、絞って下さいよ。昨日みたいに冒険者を見つける度にストーキングしていたら、時間がいくらあっても足りませんからね」
「言い方! ストーキングではない。心配だから相手にバレないようにこっそりと様子を見ていただけだ」
「人それをストーキング行為と言う」
今に始まったことではないが、カビルンバが冷たい。それだけ私のことを心配しているのだろうが、そんなに信用ないか。私にだって良識はある。昨日のように女の子がピンチに陥っているときじゃないと、そうそう助けには行かないのだ。
前にオッサンを助けたことがあるけど、あれは開拓村での便宜を図ってもらうためである。
まずは昨日と同じ方面に向かうことにした。カビルンバによると、「ゴブリンの集落」の調査は終わったようなので、そちらの方面に出向いても問題ないとのことだった。だが私は慎重な男。念には念を入れて、昨日と同じ方面から攻めることにする。
「まずは昨日の群生地帯へ行くとしよう。あれだけまとまって生えていたんだ。きっと何か理由があるはずだ。そんな特殊な環境なら、珍しい素材もあるかも知れない」
「なかなか良い着眼点ですね」
「そうだろう、そうだろう」
場所はすでにチェック済みなので迷うことなくその場所にたどり着いた。昨日、粗方刈り取ったので閑散としているが、今回は別の目的なので問題ない。
「ふむ、どうやら土壌に含まれる栄養分が豊富にあるみたいだな。何か巨大な生き物がこの辺りで死んだのかな? ドラゴンとか」
「ありえるかも知れませんね。少なくとも、何かがこの近くに生息していたのは間違いなさそうです」
そう言ってカビルンバが土をツンツンと突いている。カビは「掃除屋」と呼ばれるくらい何でも食べるからな。この辺りの土壌に含まれる成分を食べれば、何かが生息していたことくらいはすぐに分かるのだろう。
「それではさっそく素材探しを始めるとしよう。こればかりは自分の目で見つけるしかないからな」
カビルンバと手分けして辺り一帯の調査を始めた。マッドマッシュルーム、ドクドクキノコ、それにマンドラゴラを見つけた。他にも養命草、スリープミント、冬虫夏草、シャインリーフもあった。
「マンドラゴラが手に入るとはな。なかなか良い森じゃないか」
「他にも錬金術アイテムを作るのに必要な素材がいくつかありましたね。試しに作製するのにはちょうど良さそうですね」
「そうだな。試しにいくつか作って売ってみるとしよう。新しい金策になるかも知れない」
この一帯は要チェックだな。なかなかおいしい採取場所である。未開の森にはまだまだこのような場所があるのかも知れない。
「それにしても、モンスターがいないな」
「みんなレオ様に恐れをなして寄りつかないですからね」
「うーん、それならちょっと力を抑えてみるかな。モンスターから得られる素材も、立派な錬金術の素材になるからな」
そうして力を抑えながら進むと、何匹かのモンスターが姿を見せてくれるようになった。どれも一撃で倒せるモンスターばかりなのだが、前回の反省を生かして、風属性の魔法で戦った。
「風属性の魔法を使うのは良いのですが、もう少し抑えられませんか? このままだと、森の木がなくなりますよ」
「そうは言ってもな、これでも抑えているんだよ」
目の前の少し開けた土地を見てそう言った。そこには何本もの木が横たわっている。鋭い刃になった風は、モンスターだけでなく木々もなぎ倒していた。
「別の魔法にするべきか……やっぱり土属性の魔法が一番被害が出ないか」
「痕跡を残さないようにすればそうですね。あ、氷魔法なら数時間で溶けてなくなるのではないでしょうか?」
「それだ! 今度からアイスドリルランスを使うとしよう」
「……ドリルランス系はやめた方が良いと思いますよ」
目を半眼にしてカビルンバがこちらを見ている。やっぱりそうだよね? 奇遇だな。私も今そう思ったところなのだよ。
「それじゃ、アイスアローにしよう。これなら大丈夫だろう?」
「うーん、今度は木が穴だらけになる未来しか見えない。思い切って魔法はやめて、素手の攻撃にしませんか。武器を使うと、簡単に武器の方が壊れそうですし」
「ちょっと、人をがさつな人物みたいに言うのはやめてもらえませんかね? 仕方がない。手刀にするか」
その後はスポンスポンと、恐ろしく速い手刀でモンスターの首を狩っていった。確かにこの方が被害が出ない。だがその光景は何だかとっても地味だった。
「やっぱり魔法を使いたいな。ドカーンと派手なやつをぶっ放したい」
「やめて下さいね。まだ問題になりますからね」
笑顔で圧をかけてくるカビルンバ。人間社会になじむということは、派手な生活から地味な生活へと変えていかなければならないと言うことか。だが生きるためにはしょうがないね。
「分かったよ。しばらくはこれで我慢する。我慢できなくなったら、森のどこか奥深くでこっそりと魔法を使うことにするよ」
「それはそれでだれかに見つかったら問題になりそうですけどね。でもこの辺りでそれをやられるよりかははるかにマシでしょう」
渋々といった感じでカビルンバが了承してくれた。これで言質は取ったぞ。ストレスがたまったら、早めに解消するようにしよう。
カビルンバはストレスがたまったりしないのかな? カビなので、そんな感情はないのかな。でも喜怒哀楽はありそうなんだよね。本当に不思議な生き物である。
「さて、どっちに向かうかな」
「その前に、索敵範囲はある程度、絞って下さいよ。昨日みたいに冒険者を見つける度にストーキングしていたら、時間がいくらあっても足りませんからね」
「言い方! ストーキングではない。心配だから相手にバレないようにこっそりと様子を見ていただけだ」
「人それをストーキング行為と言う」
今に始まったことではないが、カビルンバが冷たい。それだけ私のことを心配しているのだろうが、そんなに信用ないか。私にだって良識はある。昨日のように女の子がピンチに陥っているときじゃないと、そうそう助けには行かないのだ。
前にオッサンを助けたことがあるけど、あれは開拓村での便宜を図ってもらうためである。
まずは昨日と同じ方面に向かうことにした。カビルンバによると、「ゴブリンの集落」の調査は終わったようなので、そちらの方面に出向いても問題ないとのことだった。だが私は慎重な男。念には念を入れて、昨日と同じ方面から攻めることにする。
「まずは昨日の群生地帯へ行くとしよう。あれだけまとまって生えていたんだ。きっと何か理由があるはずだ。そんな特殊な環境なら、珍しい素材もあるかも知れない」
「なかなか良い着眼点ですね」
「そうだろう、そうだろう」
場所はすでにチェック済みなので迷うことなくその場所にたどり着いた。昨日、粗方刈り取ったので閑散としているが、今回は別の目的なので問題ない。
「ふむ、どうやら土壌に含まれる栄養分が豊富にあるみたいだな。何か巨大な生き物がこの辺りで死んだのかな? ドラゴンとか」
「ありえるかも知れませんね。少なくとも、何かがこの近くに生息していたのは間違いなさそうです」
そう言ってカビルンバが土をツンツンと突いている。カビは「掃除屋」と呼ばれるくらい何でも食べるからな。この辺りの土壌に含まれる成分を食べれば、何かが生息していたことくらいはすぐに分かるのだろう。
「それではさっそく素材探しを始めるとしよう。こればかりは自分の目で見つけるしかないからな」
カビルンバと手分けして辺り一帯の調査を始めた。マッドマッシュルーム、ドクドクキノコ、それにマンドラゴラを見つけた。他にも養命草、スリープミント、冬虫夏草、シャインリーフもあった。
「マンドラゴラが手に入るとはな。なかなか良い森じゃないか」
「他にも錬金術アイテムを作るのに必要な素材がいくつかありましたね。試しに作製するのにはちょうど良さそうですね」
「そうだな。試しにいくつか作って売ってみるとしよう。新しい金策になるかも知れない」
この一帯は要チェックだな。なかなかおいしい採取場所である。未開の森にはまだまだこのような場所があるのかも知れない。
「それにしても、モンスターがいないな」
「みんなレオ様に恐れをなして寄りつかないですからね」
「うーん、それならちょっと力を抑えてみるかな。モンスターから得られる素材も、立派な錬金術の素材になるからな」
そうして力を抑えながら進むと、何匹かのモンスターが姿を見せてくれるようになった。どれも一撃で倒せるモンスターばかりなのだが、前回の反省を生かして、風属性の魔法で戦った。
「風属性の魔法を使うのは良いのですが、もう少し抑えられませんか? このままだと、森の木がなくなりますよ」
「そうは言ってもな、これでも抑えているんだよ」
目の前の少し開けた土地を見てそう言った。そこには何本もの木が横たわっている。鋭い刃になった風は、モンスターだけでなく木々もなぎ倒していた。
「別の魔法にするべきか……やっぱり土属性の魔法が一番被害が出ないか」
「痕跡を残さないようにすればそうですね。あ、氷魔法なら数時間で溶けてなくなるのではないでしょうか?」
「それだ! 今度からアイスドリルランスを使うとしよう」
「……ドリルランス系はやめた方が良いと思いますよ」
目を半眼にしてカビルンバがこちらを見ている。やっぱりそうだよね? 奇遇だな。私も今そう思ったところなのだよ。
「それじゃ、アイスアローにしよう。これなら大丈夫だろう?」
「うーん、今度は木が穴だらけになる未来しか見えない。思い切って魔法はやめて、素手の攻撃にしませんか。武器を使うと、簡単に武器の方が壊れそうですし」
「ちょっと、人をがさつな人物みたいに言うのはやめてもらえませんかね? 仕方がない。手刀にするか」
その後はスポンスポンと、恐ろしく速い手刀でモンスターの首を狩っていった。確かにこの方が被害が出ない。だがその光景は何だかとっても地味だった。
「やっぱり魔法を使いたいな。ドカーンと派手なやつをぶっ放したい」
「やめて下さいね。まだ問題になりますからね」
笑顔で圧をかけてくるカビルンバ。人間社会になじむということは、派手な生活から地味な生活へと変えていかなければならないと言うことか。だが生きるためにはしょうがないね。
「分かったよ。しばらくはこれで我慢する。我慢できなくなったら、森のどこか奥深くでこっそりと魔法を使うことにするよ」
「それはそれでだれかに見つかったら問題になりそうですけどね。でもこの辺りでそれをやられるよりかははるかにマシでしょう」
渋々といった感じでカビルンバが了承してくれた。これで言質は取ったぞ。ストレスがたまったら、早めに解消するようにしよう。
カビルンバはストレスがたまったりしないのかな? カビなので、そんな感情はないのかな。でも喜怒哀楽はありそうなんだよね。本当に不思議な生き物である。
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