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第四章
火急の知らせ
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その後も魔力が切れるまで、師匠はミスリルを打ち続けた。そして魔力が切れたころにはもうお昼時になっていた。
師匠の奥さんのイザベラさんとリリアの二人は昼食を用意していた。それを食べながら今後のことを話した。
「このミスリルを使ってアベルの剣を打とうと思っています」
「うむ。それがいいな。アベルはもう普通の剣ではだめそうだからな。しかし、良くもまあ、ここまで成長したものだ」
実に愉快そうに師匠が笑う。アベルが冒険者を始めたころからの付き合いだからな。アベルは師匠が育てたと言っても過言ではないだろう。
「それで、師匠。これが残りのミスリルになります。さすがに剣を二本作ることはできませんが、それなりの量はあります」
「ふむ、なるほどな。それじゃ、この残りのミスリルで小型のナイフでも作るのがいいだろう。今後、堅い魔物を解体することもあるだろうからな」
師匠の中では、すでに俺たちは大物の魔物と戦うことになっているようだ。確かに今後はもっと強い魔物と戦うことも多くなるかも知れない。そうなれば、その魔物から採れる素材は大変貴重だ。
その素材を無駄なく回収するためにも、良く切れるナイフは必要だろう。
「師匠、もし良ければ、師匠がそのナイフを作ってくれませんか?」
「いいのかね!?」
うれしそうに声を上げ、目を輝かせた。
「はい。俺は剣を作るので手一杯でしょう。そのあとにナイフまで作っていたら、冒険者家業がいつ再開できるか分かりません。俺の都合で、みんなを縛るわけには行きませんからね」
「それもそうか。鍛冶屋ではなく、冒険者だったな」
ハッハッハと笑う師匠。
「分かった。引き受けよう」
「ありがとうございます!」
こうして俺と師匠の、仲良く並んでミスリルを打つ日々が始まった。リリアは俺と一緒に『鍛冶屋ゴードン』にくると、イザベラさんと一緒に店番をしたり、世間話をしたりしていた。
ミスリルの剣を打ち始めてから数日がたった。
気がつくと、『鍛冶屋ゴードン』の看板娘のようなポジションにおさまっており、どうもリリア目当てで店を訪れる人もそれなりにいるようだった。
何だかとても複雑な感じを覚えた俺は、なるべくはやく剣を作り上げないと行けないような衝動に駆られた。
しかし、リリアはそれを見越していたようである。
「ダナイ、集中しなさい。焦って適当な物を作ってはだめよ。そんなことをしたら、許さないんだからね」
リリアの厳しい一言によって正気を取り戻した俺は、全身全霊をかけて剣を打った。今持てる力の全てを出し切った、渾身の一振りである。
前回の魔鉱の剣のように、すぐに乗り換えられたらちょっとへこむくらいの力の入れようだった。
「成し遂げたぜ」
「お疲れ様。今度はどんな付与を付けたのかしら?」
完成を聞きつけたリリアが早速やってきた。さすがのリリアも俺の剣のできが気になる様子である。
「前回魔鉱の剣にした付与と、『退魔の付与』を加えておいた。ミスリルは三つまで付与することができるからな。これでアベルもお化けを斬ることができるようになるはずだ。きっと喜ぶぞ」
「そ、そうなのね」
お化けが苦手なリリアは、俺のお化け発言に若干引いた様子であった。まあ、仕方がないか。あとはアベルがお化け退治の依頼を受けないか? と言い出さないことを祈るだけだな。
「ダナイ、私の方も完成したぞ」
そう言うと師匠は見事な輝きを放つミスリルのナイフを差し出した。見ただけで極上の一品と分かる輝きである。付与こそないが、これは素晴らしいものだ。
「さすがは師匠。これは、本当に素晴らしいナイフですよ!」
思わず興奮してしまう。俺が打った剣も素晴らしいと思うが、師匠のナイフも素晴らしい。惚れ惚れするな。
俺がウットリとそのナイフを見とれていると、師匠が疲れた様子で言った。
「ナイフ一本作るのが、これだけ大変なものだとは思わなかったよ。やはり魔力を持っていなくては、ナイフサイズが限界だな」
残念そうな口ぶりではあったが、師匠は念願のミスリル製の武器を作れたことに満足しているようだった。その顔はどこか晴れ晴れとしていた。
「このナイフはダナイたちが使ってくれ。素材はダナイから提供されたものだから当然だ」
「いいんですか?」
確かに素材は俺たちが持って来た物ではあるが、丹精込めて作ったのは師匠である。そして初めての、記念すべきミスリル製の製品のはずだ。手元に置いておきたいのではないだろうか。
「いいとも。私が持っていても宝の持ち腐れだからな。あとで切れ味がどうだったかの感想を頼むよ」
「分かりました」
そう言って師匠からミスリルのナイフを受け取った。ひとまずこれはマリアに渡しておくことにしよう。アベルだけ特別扱いしていたら、あとで何を言い出すか分からないからな。
ようやくミスリルの剣も完成し、あとはアベルに感触を確かめてもらうだけだな、と思っていると、完成を見越したかのように、アベルとマリアが鍛冶屋ゴードンに駆け込んできた。
まさか、剣が完成したことに気がついたのか!?
「大変だよ、ダナイ。アランが頼みたいことがあるからすぐに来てくれってさ!」
「何だか急ぎだったみたいだよ。すぐにダナイとリリアも連れて来てくれってさ」
かなり急いでここまで来たようであり、二人とも肩で息をしていた。
俺とリリアは顔を見合わせると、急いで準備を済ませた。
「すみません、師匠。何かあったみたいです。ちょっと行って来ます」
「気をつけて行ってくるといい。何があったかは分からないが、無理だけはしないでおいてくれよ」
「もちろんですよ」
俺たちはゴードン夫妻に断りを入れると、冒険者ギルドへと急いだ。
冒険者ギルドにつくと、ギルドの職員がすぐに俺たちを奥の部屋へと連れて行った。そこにはすでにギルドマスターのアランと副ギルドマスターのミランダが、深刻な表情で待ち構えていた。
「遅くなりました。何があったんですか?」
席に座りながら尋ねた。俺たちに関係することと言えば、先のエルフの国に関係することだろう。そうなると――。
「エルフ族の族長、ベンジャミンから手紙がきてな。どうやらエンシェント・エルフが見つかったらしい」
やはりか。存在していることは間違いなかったので、見つかるのは時間の問題だとは思ってはいたが。だが、それが何か問題なのだろうか? 見つかっただけならば、そこまで深刻な表情をする必要はないと思うのだが。
「そうだったんですね。どこかに生き残りがいるのではないかとは思っていました。それで、それが何かまずいことになったのですか?」
俺の問いかけに、部屋の中は静まり返った。うん、実に嫌な空気だ。
「手紙によると、どうもそのエンシェント・エルフが怪しいらしい」
「私たちの祖先が怪しい?」
リリアが震えながら声を上げた。可能性はあった。もちろん覚悟はしていただろう。だが実際に現実になると、信じられないようである。
「エンシェント・エルフはこちら側との対話を拒否しているらしい」
「拒否? 同じエルフ族をですか?」
アランは首を縦に振った。どうやらそうらしい。
同じエルフ族でも受け入れない。それなら、他の種族でもきっと対話は無理だろう。
「それで、君たちの力を借りたいらしい。エルフたちも黙ってはおらずに調査をしようとしたらしいのだが、どうやら対策済みのようでな」
「対策済み?」
俺の疑問にミランダが答えた。その顔もリリアと同じく、憂いを帯びたものになっている。
「どうやら、魔法の使用を妨害されるみたいなのですよ。一体どうやってそれをやっているのかは分からないみたいですがね。それで、その調査にあなたたちの力を借りたいみたいなのですよ」
なるほど。随分と信頼されたみたいだな。
だが、それもそうか。エルフ族の事情を知って行動しているのは俺たちくらいなのだろう。他の冒険者に頼んで「やっぱりエルフの国が犯人じゃないか」と言われる可能性は全力で避けたいはずだ。
そしてそれは、アランもミランダも同じ気持ちらしい。真っ先に俺たちに頼んだのはそう言うことだろう。
「分かりました。すぐに青の森へ行って、直接ベンジャミンと話をしてきますよ。任せておいて下さい」
俺の言葉にアランはようやく表情を少しだけ緩めた。
「そうか。受けてくれるか。ありがとう。冒険者ギルドが全力でサポートすることを、ここに約束する」
「それでは、準備が整い次第すぐに出発します」
俺たちは互いに顔を見合わせると、急いで家へと戻った。
家に戻った俺たちはすぐに出発の準備を始めた。馬車は庭先にあるが、食料がない。
「アベル、これが新しい剣だ。使い心地を今のうちに試しておいてくれ。それからこっちは師匠からマリアへのプレゼントだ」
「これって……ミスリルのナイフ! もらっていいの?」
「もちろんだ。あとで感想を師匠に伝えてやってくれ」
「分かったわ」
マリアはうれしそうに受け取った。剣を受け取ったアベルは感激に打ち震えているみたいだったが、辛うじて包みを開けずに聞いてきた。
「ダナイたちはどうするの?」
「俺とリリアで食料を調達してくる。本当はそいつに慣れるまでしばらく試し斬りしたかったが、そんなわけにもいかなくなったからな」
リリアはすでに馬車をこちらへと回し始めていた。松風を出しっぱなしにしておいて良かった。しまおうとしたら「何で松風をしまうの!?」ってリリアに怒られたからな。
どうやら相当松風が気に入っているようである。主にあのサラサラの鬣が。
「分かったよ。申しわけないけど、そっちは頼んだよ。戻って来るまでに、しっかりと剣の感触を確かめておくからさ」
「任せとけ。こんなときこそのパーティーさ!」
「ほら、ダナイ、行くわよ。急いでちょうだい」
リリアに言われるがままに俺は馬車へと飛び乗った。そしてそのまま夕刻が迫っているイーゴリの街へとくりだして行った。
師匠の奥さんのイザベラさんとリリアの二人は昼食を用意していた。それを食べながら今後のことを話した。
「このミスリルを使ってアベルの剣を打とうと思っています」
「うむ。それがいいな。アベルはもう普通の剣ではだめそうだからな。しかし、良くもまあ、ここまで成長したものだ」
実に愉快そうに師匠が笑う。アベルが冒険者を始めたころからの付き合いだからな。アベルは師匠が育てたと言っても過言ではないだろう。
「それで、師匠。これが残りのミスリルになります。さすがに剣を二本作ることはできませんが、それなりの量はあります」
「ふむ、なるほどな。それじゃ、この残りのミスリルで小型のナイフでも作るのがいいだろう。今後、堅い魔物を解体することもあるだろうからな」
師匠の中では、すでに俺たちは大物の魔物と戦うことになっているようだ。確かに今後はもっと強い魔物と戦うことも多くなるかも知れない。そうなれば、その魔物から採れる素材は大変貴重だ。
その素材を無駄なく回収するためにも、良く切れるナイフは必要だろう。
「師匠、もし良ければ、師匠がそのナイフを作ってくれませんか?」
「いいのかね!?」
うれしそうに声を上げ、目を輝かせた。
「はい。俺は剣を作るので手一杯でしょう。そのあとにナイフまで作っていたら、冒険者家業がいつ再開できるか分かりません。俺の都合で、みんなを縛るわけには行きませんからね」
「それもそうか。鍛冶屋ではなく、冒険者だったな」
ハッハッハと笑う師匠。
「分かった。引き受けよう」
「ありがとうございます!」
こうして俺と師匠の、仲良く並んでミスリルを打つ日々が始まった。リリアは俺と一緒に『鍛冶屋ゴードン』にくると、イザベラさんと一緒に店番をしたり、世間話をしたりしていた。
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気がつくと、『鍛冶屋ゴードン』の看板娘のようなポジションにおさまっており、どうもリリア目当てで店を訪れる人もそれなりにいるようだった。
何だかとても複雑な感じを覚えた俺は、なるべくはやく剣を作り上げないと行けないような衝動に駆られた。
しかし、リリアはそれを見越していたようである。
「ダナイ、集中しなさい。焦って適当な物を作ってはだめよ。そんなことをしたら、許さないんだからね」
リリアの厳しい一言によって正気を取り戻した俺は、全身全霊をかけて剣を打った。今持てる力の全てを出し切った、渾身の一振りである。
前回の魔鉱の剣のように、すぐに乗り換えられたらちょっとへこむくらいの力の入れようだった。
「成し遂げたぜ」
「お疲れ様。今度はどんな付与を付けたのかしら?」
完成を聞きつけたリリアが早速やってきた。さすがのリリアも俺の剣のできが気になる様子である。
「前回魔鉱の剣にした付与と、『退魔の付与』を加えておいた。ミスリルは三つまで付与することができるからな。これでアベルもお化けを斬ることができるようになるはずだ。きっと喜ぶぞ」
「そ、そうなのね」
お化けが苦手なリリアは、俺のお化け発言に若干引いた様子であった。まあ、仕方がないか。あとはアベルがお化け退治の依頼を受けないか? と言い出さないことを祈るだけだな。
「ダナイ、私の方も完成したぞ」
そう言うと師匠は見事な輝きを放つミスリルのナイフを差し出した。見ただけで極上の一品と分かる輝きである。付与こそないが、これは素晴らしいものだ。
「さすがは師匠。これは、本当に素晴らしいナイフですよ!」
思わず興奮してしまう。俺が打った剣も素晴らしいと思うが、師匠のナイフも素晴らしい。惚れ惚れするな。
俺がウットリとそのナイフを見とれていると、師匠が疲れた様子で言った。
「ナイフ一本作るのが、これだけ大変なものだとは思わなかったよ。やはり魔力を持っていなくては、ナイフサイズが限界だな」
残念そうな口ぶりではあったが、師匠は念願のミスリル製の武器を作れたことに満足しているようだった。その顔はどこか晴れ晴れとしていた。
「このナイフはダナイたちが使ってくれ。素材はダナイから提供されたものだから当然だ」
「いいんですか?」
確かに素材は俺たちが持って来た物ではあるが、丹精込めて作ったのは師匠である。そして初めての、記念すべきミスリル製の製品のはずだ。手元に置いておきたいのではないだろうか。
「いいとも。私が持っていても宝の持ち腐れだからな。あとで切れ味がどうだったかの感想を頼むよ」
「分かりました」
そう言って師匠からミスリルのナイフを受け取った。ひとまずこれはマリアに渡しておくことにしよう。アベルだけ特別扱いしていたら、あとで何を言い出すか分からないからな。
ようやくミスリルの剣も完成し、あとはアベルに感触を確かめてもらうだけだな、と思っていると、完成を見越したかのように、アベルとマリアが鍛冶屋ゴードンに駆け込んできた。
まさか、剣が完成したことに気がついたのか!?
「大変だよ、ダナイ。アランが頼みたいことがあるからすぐに来てくれってさ!」
「何だか急ぎだったみたいだよ。すぐにダナイとリリアも連れて来てくれってさ」
かなり急いでここまで来たようであり、二人とも肩で息をしていた。
俺とリリアは顔を見合わせると、急いで準備を済ませた。
「すみません、師匠。何かあったみたいです。ちょっと行って来ます」
「気をつけて行ってくるといい。何があったかは分からないが、無理だけはしないでおいてくれよ」
「もちろんですよ」
俺たちはゴードン夫妻に断りを入れると、冒険者ギルドへと急いだ。
冒険者ギルドにつくと、ギルドの職員がすぐに俺たちを奥の部屋へと連れて行った。そこにはすでにギルドマスターのアランと副ギルドマスターのミランダが、深刻な表情で待ち構えていた。
「遅くなりました。何があったんですか?」
席に座りながら尋ねた。俺たちに関係することと言えば、先のエルフの国に関係することだろう。そうなると――。
「エルフ族の族長、ベンジャミンから手紙がきてな。どうやらエンシェント・エルフが見つかったらしい」
やはりか。存在していることは間違いなかったので、見つかるのは時間の問題だとは思ってはいたが。だが、それが何か問題なのだろうか? 見つかっただけならば、そこまで深刻な表情をする必要はないと思うのだが。
「そうだったんですね。どこかに生き残りがいるのではないかとは思っていました。それで、それが何かまずいことになったのですか?」
俺の問いかけに、部屋の中は静まり返った。うん、実に嫌な空気だ。
「手紙によると、どうもそのエンシェント・エルフが怪しいらしい」
「私たちの祖先が怪しい?」
リリアが震えながら声を上げた。可能性はあった。もちろん覚悟はしていただろう。だが実際に現実になると、信じられないようである。
「エンシェント・エルフはこちら側との対話を拒否しているらしい」
「拒否? 同じエルフ族をですか?」
アランは首を縦に振った。どうやらそうらしい。
同じエルフ族でも受け入れない。それなら、他の種族でもきっと対話は無理だろう。
「それで、君たちの力を借りたいらしい。エルフたちも黙ってはおらずに調査をしようとしたらしいのだが、どうやら対策済みのようでな」
「対策済み?」
俺の疑問にミランダが答えた。その顔もリリアと同じく、憂いを帯びたものになっている。
「どうやら、魔法の使用を妨害されるみたいなのですよ。一体どうやってそれをやっているのかは分からないみたいですがね。それで、その調査にあなたたちの力を借りたいみたいなのですよ」
なるほど。随分と信頼されたみたいだな。
だが、それもそうか。エルフ族の事情を知って行動しているのは俺たちくらいなのだろう。他の冒険者に頼んで「やっぱりエルフの国が犯人じゃないか」と言われる可能性は全力で避けたいはずだ。
そしてそれは、アランもミランダも同じ気持ちらしい。真っ先に俺たちに頼んだのはそう言うことだろう。
「分かりました。すぐに青の森へ行って、直接ベンジャミンと話をしてきますよ。任せておいて下さい」
俺の言葉にアランはようやく表情を少しだけ緩めた。
「そうか。受けてくれるか。ありがとう。冒険者ギルドが全力でサポートすることを、ここに約束する」
「それでは、準備が整い次第すぐに出発します」
俺たちは互いに顔を見合わせると、急いで家へと戻った。
家に戻った俺たちはすぐに出発の準備を始めた。馬車は庭先にあるが、食料がない。
「アベル、これが新しい剣だ。使い心地を今のうちに試しておいてくれ。それからこっちは師匠からマリアへのプレゼントだ」
「これって……ミスリルのナイフ! もらっていいの?」
「もちろんだ。あとで感想を師匠に伝えてやってくれ」
「分かったわ」
マリアはうれしそうに受け取った。剣を受け取ったアベルは感激に打ち震えているみたいだったが、辛うじて包みを開けずに聞いてきた。
「ダナイたちはどうするの?」
「俺とリリアで食料を調達してくる。本当はそいつに慣れるまでしばらく試し斬りしたかったが、そんなわけにもいかなくなったからな」
リリアはすでに馬車をこちらへと回し始めていた。松風を出しっぱなしにしておいて良かった。しまおうとしたら「何で松風をしまうの!?」ってリリアに怒られたからな。
どうやら相当松風が気に入っているようである。主にあのサラサラの鬣が。
「分かったよ。申しわけないけど、そっちは頼んだよ。戻って来るまでに、しっかりと剣の感触を確かめておくからさ」
「任せとけ。こんなときこそのパーティーさ!」
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