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初めての報酬①
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無事にコリブリの街まで戻ってきた俺たちは、そのまま冒険者ギルドの受付カウンターへと向かった。街に戻ってくる冒険者の人数も増えてきたようで、ギルド内は騒がしくなりつつあった。
「フランさん、フォレストウルフを狩って魔石を集めて来ました。査定をお願いします」
「お帰りなさい。三人とも無事みたいね。あら、後ろにいるのはフェルさんね。さっそく仲良くなったのかしら?」
三人から少し離れたところにいた俺に、フランさんは気がついたようである。別のあいている受付カウンターに行っても良かったのだが、どのように依頼を報告するのかを見てみたかったのだ。
「森から出たところで会いました。新米冒険者みたいだったんで、色々と教えていたんですよ」
ライナーがちょっと得意げにそう言った。
「それなら良かったわ。今のフェルさんに必要なのは冒険者としての経験だけだからね。これからも色々と教えてあげてちょうだい」
「それは良いんですけど、経験だけってどういうことですか?」
「あら、フェルさんから聞いていないのかしら? 彼、シルバーランクなのよ」
「シルバーランク!?」
驚きの声が三つ上がった。そう言えばランクの話をしていなかったな。特に聞かれたかったから完全に忘れていた。ライナー、ルシアナ、ベールスの三人が目と口を大きく開けてこちらを見ていた。
「お、俺たちだって、ようやくカッパーランクに上がったばかりだって言うのに……どうなっているんだ?」
「それだけ実力があるってことなのかしら? 確かに妖精を連れているし、おかしいと言えば、おかしいわね」
答えを求めるように、ライナーとルシアナがこちらを見ている。どうやらベールスは無口な性格をしているようである。表情はコロコロ変わるから、見ていて楽しい子だけどね。
「フェルは賢者だからね。そのくらい当然よ」
「け、賢者!?」
俺が口を開く前にリリアが勝ち誇ったような顔をして言い放った。その言葉に、目の前の三人だけでなく、周囲の人たちが声を上げた。
「ギルドマスターは経験さえ積めば、プラチナランクだって言ってたわ。だからあなたたちには、フェルさんの教育係として期待してるわ」
フランさんが固まった三人に声をかけた。その間もフランさんは魔石の確認を行っていたようである。テーブルの上にコインが並ぶ。
「これが今回の報酬よ。フォレストウルフの魔石が四つ。銀貨二枚と、小銀貨四枚ね」
「え? あ、ああ、確かに。確認しました。ありがとうございます」
石化が解かれたライナーがコインを確認し、袋にしまった。どうやら彼らのパーティーリーダーはライナーのようである。しっかりしてるみたいだし、問題はなさそうだな。
「それじゃ、次はフェルさんの査定ですね」
言われるがままに前に出て、素材とゴブリンの魔石を渡した。どちらも大した数ではない。
「えっと、ゴブリンの魔石が一個あたり小銀貨二枚。薬草が一枚あたり銅貨一枚。魔力草が一枚あたり小銀貨五枚、毒消草が一枚あたり小銀貨一枚になります」
薬草はかなり安いみたいだな。これじゃ集めてくる人は少なそうだけど、森の奥に行けばたくさん生えていたりするのかな? 魔力草と毒消草は簡単に見つかりにくかった分、値段も高くなっている。
「全部合計で銀貨二枚と小銀貨三枚になるわ」
そう言ってカウンターの上にお金を置いた。それを確認すると、懐の袋の中にしまった。一日の稼ぎとして多いのかどうかは分からないが、三人組のライナーたちが先ほどの報酬で生きていけるみたいなので、問題はなさそうだ。
「魔力草……おいしいわね。私たちも素材集めしながら魔物を狩るべきだと思うわ」
「そうは言うがな、ベールス。魔力草なんて、そうそう見つからないぞ? 魔物を探しながら集めるのはちょっと無理なんじゃないかな」
「ライナーの言う通りね。だからと言って薬草ばかり集めても、かさばるばかりでお金にならないわ。それなら一匹でも多く倒せる魔物を見つけて、魔石を回収した方が効率がいいわ」
ルシアナの言うことはもっともだと思う。俺がこれだけの素材を集められるのはアナライズの魔法を使っているからである。この魔法がなかったら、短時間でこれほどの数の素材を集めることはできなかっただろう。
「フランさん、フォレストウルフを狩って魔石を集めて来ました。査定をお願いします」
「お帰りなさい。三人とも無事みたいね。あら、後ろにいるのはフェルさんね。さっそく仲良くなったのかしら?」
三人から少し離れたところにいた俺に、フランさんは気がついたようである。別のあいている受付カウンターに行っても良かったのだが、どのように依頼を報告するのかを見てみたかったのだ。
「森から出たところで会いました。新米冒険者みたいだったんで、色々と教えていたんですよ」
ライナーがちょっと得意げにそう言った。
「それなら良かったわ。今のフェルさんに必要なのは冒険者としての経験だけだからね。これからも色々と教えてあげてちょうだい」
「それは良いんですけど、経験だけってどういうことですか?」
「あら、フェルさんから聞いていないのかしら? 彼、シルバーランクなのよ」
「シルバーランク!?」
驚きの声が三つ上がった。そう言えばランクの話をしていなかったな。特に聞かれたかったから完全に忘れていた。ライナー、ルシアナ、ベールスの三人が目と口を大きく開けてこちらを見ていた。
「お、俺たちだって、ようやくカッパーランクに上がったばかりだって言うのに……どうなっているんだ?」
「それだけ実力があるってことなのかしら? 確かに妖精を連れているし、おかしいと言えば、おかしいわね」
答えを求めるように、ライナーとルシアナがこちらを見ている。どうやらベールスは無口な性格をしているようである。表情はコロコロ変わるから、見ていて楽しい子だけどね。
「フェルは賢者だからね。そのくらい当然よ」
「け、賢者!?」
俺が口を開く前にリリアが勝ち誇ったような顔をして言い放った。その言葉に、目の前の三人だけでなく、周囲の人たちが声を上げた。
「ギルドマスターは経験さえ積めば、プラチナランクだって言ってたわ。だからあなたたちには、フェルさんの教育係として期待してるわ」
フランさんが固まった三人に声をかけた。その間もフランさんは魔石の確認を行っていたようである。テーブルの上にコインが並ぶ。
「これが今回の報酬よ。フォレストウルフの魔石が四つ。銀貨二枚と、小銀貨四枚ね」
「え? あ、ああ、確かに。確認しました。ありがとうございます」
石化が解かれたライナーがコインを確認し、袋にしまった。どうやら彼らのパーティーリーダーはライナーのようである。しっかりしてるみたいだし、問題はなさそうだな。
「それじゃ、次はフェルさんの査定ですね」
言われるがままに前に出て、素材とゴブリンの魔石を渡した。どちらも大した数ではない。
「えっと、ゴブリンの魔石が一個あたり小銀貨二枚。薬草が一枚あたり銅貨一枚。魔力草が一枚あたり小銀貨五枚、毒消草が一枚あたり小銀貨一枚になります」
薬草はかなり安いみたいだな。これじゃ集めてくる人は少なそうだけど、森の奥に行けばたくさん生えていたりするのかな? 魔力草と毒消草は簡単に見つかりにくかった分、値段も高くなっている。
「全部合計で銀貨二枚と小銀貨三枚になるわ」
そう言ってカウンターの上にお金を置いた。それを確認すると、懐の袋の中にしまった。一日の稼ぎとして多いのかどうかは分からないが、三人組のライナーたちが先ほどの報酬で生きていけるみたいなので、問題はなさそうだ。
「魔力草……おいしいわね。私たちも素材集めしながら魔物を狩るべきだと思うわ」
「そうは言うがな、ベールス。魔力草なんて、そうそう見つからないぞ? 魔物を探しながら集めるのはちょっと無理なんじゃないかな」
「ライナーの言う通りね。だからと言って薬草ばかり集めても、かさばるばかりでお金にならないわ。それなら一匹でも多く倒せる魔物を見つけて、魔石を回収した方が効率がいいわ」
ルシアナの言うことはもっともだと思う。俺がこれだけの素材を集められるのはアナライズの魔法を使っているからである。この魔法がなかったら、短時間でこれほどの数の素材を集めることはできなかっただろう。
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