絶対防御で対峙します!~スパダリ童貞の魔王と宰相からのアプローチは防御できないのですが!~

むふ

文字の大きさ
5 / 5

4.実験が始まりました。

しおりを挟む

 
 アロペットさんの説明に、私はこれ以上ないほど青ざめていた。
 無敵の防御力、なんて響きはいいけれど、要するに「手術も注射もできない体」ということだ。
 虫垂炎にでもなれば、切開もできずにそのままあの世行き。
 ……何が絶対防御だ。自分で自分の首を絞めているだけではないか。
 思ったより良いスキルではないことに、落胆と不安の感情が膨れ上がる。
 
 静かになった私を気にしてくれたのか、元気にアロペットさんが手を叩いて鼓舞してくれた。
 

 
 「よし、じゃあ始めるよ!まずは意識がない状態で針が飛んでしまったから、意識ある状態で採決するね」


 腕を出して、針を近づけられる。
 この程度であれば、元の世界でも採決をされたことがあるので特に動じないが、針が折れたことにはやはりびっくりした。


 「意識は関係ないか……。ちなみに、今腕を触っている感触はある?」
 「あります」
 「マッサージくらいは特に問題なしと……。ちょっと強めに押すよ?」
 ゆっくりと手の平を押す指の力が増す。
 もう少しで痛気持ちから外れるかなと思ったところで、押していた指が弾かれた。


 「へえ。今東さんどんな感覚だった?」
 「えっと、痛気持ちいくらいから、気持ちいが消えるくらいで、本格的に痛いと思うかなのところでした」


 アシュベト君がさらさらとメモをしている。
 この後も同じ動作を手や、足、頭で行った。

 「じゃ、口と目、お尻と膣をやります!」
 「へ……粘膜ってことですか」
 「そうです!最初は口からかな、舌を出してね!」


 え、ちょっとと抵抗する前に、頭を固定されて舌を引っ張られる。
 口はまだいけるが、目とお尻と膣が問題であった。
 そんなことを考えているうちに目ん玉に指をあてられてすぐ弾かれた。

 「目はやっぱり敏感だね。すぐ弾かれた」
 「っつ!目、目はちょっとびっくりするので……何か事前に言っていただけると」


 椅子に座って頭をアシュベトさんが固定し、前にアロペットさんが立って実験をしてくれている。
 流れるような動きで口の中が終わったと思ったら、すっと目に指が近づいてきて瞬きが遅くなってしまった。
 体がびくつく。
 ごめんごめんと軽く流すあたり本当に当人らは気にしていないのか。
 ある程度見当がついているのか、事務作業であった。
 
 「この感じだと、お尻と膣も本人の痛いと思ったところで弾かれるな」
 「じゃ……や、やらなくても……」
 「ん~、まぁ、でもなぁ、筒状の膣とかお尻の穴の中から弾かれるときの衝撃も見ておきたいんだよなぁ。今のところ、弾かれた際には痛みはないけどね。それが筒となったら、全方向から衝撃が来るわけでしょ?もし性行為するときにちんちんいれて、痛いと思った瞬間に弾かれてしまったら、相手のちんちん飛んでっちゃうよ?東さんと性交渉しても大丈夫ってわからなくても良い?」


 もしつぶされるように吐き出されたら、痛みがあるのか。
 考えただけで、相手の男性は悶絶ものだろう。
 恋愛を考えると避けて通れない状況であるが、さすがにそこは羞恥心が勝った。
 それに、予定もない。

 
 「お尻と膣は勘弁していただけたらと……。その時が来たら潔く実験を受けますので、何卒」
 土下座する勢いで頼んだ。

 「まあ、君に手出そうとするなんて人いたら、閣下もセプティム様も黙ってないからね。一応拾い物だから所有権を持っているって思っている相手に手出されるのは、魔族として屈辱だから。相手死ぬしね」
 「そ、そうなんですか」

 魔族は独占欲と支配欲、所有欲が強いのだそう。
 個が強いということは手物に置いている物も守れることが当たり前であるという考えらしい。

 「手を出した相手が不憫になるから、弾かれるくらいのほうがましなのかも知れない」
 「そ、うですか。まぁ、予定もないのでしばらくは大丈夫です……」
 
 アシュベトさんはちょっとほっとしており、アロペットさんはなんだかつまらなそうだ。

 ――この人絶対サイコパスだ。 


 


 


 そして粗末な布1枚の奴隷着から、シャツとズボンを支給いただいて外に出てきた。
 実験室のすぐ近くの廊下から出た庭というには狭い。
 完全に建物の裏手。


 「今度はどれだけ強い衝撃に耐えられるかということで、一旦僕たちがすぐ用意できる武器を集めてみました!」

 実験室からすぐ外に出た庭の一角に、包丁や鈍器や、木の幹や岩など、本当にすぐ用意できるであろう物が並べられていた。
 急拵えにも程がある。


 「さっき、ペンで思いっきり手を突き刺そうとしましたが、弾かれました!どこまでいけるかやってみよう!」
 「あの!本当に不意にやるのやめてください!アシュベトさんと話していたら横で跳ね飛ばされて何かと思いましたよ!」
 「いやーまたうるさくされるのも嫌だなって思って」
 「うるさくしないので!言ってください!心臓が、ストレスで禿げそう。あと、この実験ってどこまで上いきます?」
 「心臓に毛が生えているのか?」
 「えー、最終的には魔国1番の怪力を誇る、魔王軍の騎士団長か魔王閣下の斬撃か拳?」

 アシュベトさんは真剣に突っ込んでくるし、アロペットさんはさらっと怖いことを言うしで、かなり疲れる。
 壊れるまでこの人達やるのか……。


 「あ!安心してね!即死しても蘇生薬あるし!あ、高いから一生働いて返してもらうようになるけど!見事耐えたら本当に騎士団入りしてもいいし、もしかしたら重役のボディガードも夢じゃないかも!身体能力魔族の5歳並みだけど!」


 夢があるねぇなんて無責任なことを言っているが、この人は本当にどうでもよくて面白いから実験している。
 鑑定の結果、私のスキルはなし、身体能力も魔族にとっては子ども並みの能力値であったらしい。
 知能指数は中の上だそう。
 本当に自分の価値を示すにはこのギフトにかけるしかない。
 
 
 「まずは物理攻撃の絶対耐性に対する限界値測定。あ、アシュベト君、念のため蘇生薬の準備しておいて。あ、東さんには効かないかもしれないけど、気休めにはなるから」
 「……気休めにもならない情報をありがとうございます。ちなみに、薬が効くか先に試した方が……」
 「わかりやすいのからやろっかななんて思ったんだけど、そうだよね!万一死んじゃって蘇生薬つかえませんでしたってなったら怒られるよね」
 

 ケガも何もしていないのに、分からないからなぁなんて半分ごちていたがこの判断が吉と出た。
 
 外での物理実験は明日へ持ち越し、弱い下剤と変身薬の実験に切り替えられた。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる

マチバリ
恋愛
 貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。  数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。 書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。

【短編】淫紋を付けられたただのモブです~なぜか魔王に溺愛されて~

双真満月
恋愛
不憫なメイドと、彼女を溺愛する魔王の話(短編)。 なんちゃってファンタジー、タイトルに反してシリアスです。 ※小説家になろうでも掲載中。 ※一万文字ちょっとの短編、メイド視点と魔王視点両方あり。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

十歳の花嫁

アキナヌカ
恋愛
アルフは王太子だった、二十五歳の彼は花嫁を探していた。最初は私の姉が花嫁になると思っていたのに、彼が選んだのは十歳の私だった。彼の私に対する執着はおかしかった。

処理中です...