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本編
1.悠介君の片想い
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青い空、白い雲、教室の中はいつも通り、に少しの騒がしさと、静けさが入り混じっていた。
窓から2列目の一番後ろの席に僕は座っている。
良くわからない数字の羅列が、黒板に白字でびっしりと書き連なり、僕の理解をもうすでに超えていた数学の授業はあと10分を残すところだった。
既に理解が出来ない範囲の授業を、まじめに聞けるはずもなく、ふと青空と木顔を出す窓へ自然と意識が向いた。
でも僕が見たいのは外の景色でもなく、青々と生い茂る木でもなく、つまらなそうに授業を聞いている、斜め2つ前の席の、橘 翔太君だ。
――高校2年、僕、菅田 悠介は彼に恋をしている。
この気持ちは絶対に秘密である。
誰にも話していないし、誰にも気が付かれない。
知られちゃいけないんだ。
彼はモテるから普通に女性が好きで、何回か一緒にいる女性を見たことがあるから普通の恋愛を彼はしている。
モテるのを鼻にかけている訳でも無く、とっかえひっかえ遊ぶのでもなく、クールで芯があって、陽キャラのグループにいるけど、別に陰キャラのクラスメイトを馬鹿にしたりしない。
ただ少し気だるげに見えるから、スポーツをしているときはチームメイトに檄を飛ばされているのをよく見た。
方や僕は、片思いを拗らせて、童貞。
モサいほどモサくはないけど、身長が170cmで高くもないし、スポーツも得意ってほどでもないし、頭も良いってわけでもないし、イケメンでもない。
眼鏡をかけた陽キャラ、陰キャラの中間みたいな人。
僕は、女の子は可愛いと思う時もあるけど、やはり目が行ってしまうのは彼な訳で。
あまり僕は目立たないほうだから、男の人が好きだと気が付かれていない。
というか、男の人が好きなのではなく、好きな人が男の人だっただけだ。
多分みんなより違うところはここだと思う。
そんな彼への思いは日に日に大きくなってしまい、この気持ちを抑えられない時がある。
だから僕は日記を書き始めたのだが、それでも足りなくなって高校に入った時にスマホ買った瞬間、多感な時期と重なった僕はあんなことやこんなことの妄想を繰り広げた小説を書くようになった。
モデルはもちろん彼と、僕。
もちろんチョメチョメもしっかりしている。
小説だからね。
年齢も設定も変えられるし、ファンタジーにすれば合法ショタもできる訳だ。
でも、こんな事書いているなんて誰にも言えないし、知られたら人生の終わりだ。
良い意味でも悪い意味でも僕の世界は広がったんだ。
ゲイ、ホモと言われていたなんとなく忌み嫌われる、普通じゃない嫌悪感や拒否感をもって放たれる言葉に、BLをという新たな言葉が僕の辞書に入ってきた。
――あぁ、ジャンルなんだ、と。
この時から僕は一つ踏ん切りがついた。
嫌な意味を少し感じていた幼かった僕が、そういう考え方もあるねと多様性を一つ手に入れたんだ。
だから僕は、迷惑をかけないように、ひっそりとこの気持ちを文にすることにしたんだ。
別の僕として。
心に閉まっていて、今にも飛び出して行ってしまいそうなこの気持ちに形を持たせてあげられた。
本人には伝わらないけど、こんな僕も僕自身で少し許してあげられた気がした。
きっとあのまま、押し込めていたらこの気持ちは大きな大きな、ただの自己満足の禍々しい波となって僕をおかしくしただろう。
そして、橘君にも……。
僕の片思いは、お墓までもっていくんだ。
だって、男が男を好きなのって気持ち悪いでしょう?
僕もそう思う。
彼を見つめる視線は、熱い物かも知れない。
でも悟られてはいけない。
彼は女性を好きなのだから。
小説も結局は自己満足だ。
知られたらきっと不快にさせてしまうのは、わかっているから。
でも、最悪の事だけは絶対にしない。理想、妄想、現実、僕は全部ちゃんとわかっているから。
君に恋する一人として。
チャイムが授業終わりの知らせを告げてくれる。
一斉に教室内は騒がしくなり、先生も終わりの挨拶をそこそこに教室を出ていった。
彼を見ていた視線は、彼が動いたことで何もない外の風景を映した。
立ち上がった彼がこっちに来る。
同じクラスなのだから、近くにいるのは当たり前だけど、こう好きな人が近くに来るとドキドキしてしまう。
「おー。お昼行くぞー」
橘君が声をかけた。
僕の隣の人に。
そう。
僕と彼は特に仲良しではないんだ。
僕が彼を好きなだけ。
窓から2列目の一番後ろの席に僕は座っている。
良くわからない数字の羅列が、黒板に白字でびっしりと書き連なり、僕の理解をもうすでに超えていた数学の授業はあと10分を残すところだった。
既に理解が出来ない範囲の授業を、まじめに聞けるはずもなく、ふと青空と木顔を出す窓へ自然と意識が向いた。
でも僕が見たいのは外の景色でもなく、青々と生い茂る木でもなく、つまらなそうに授業を聞いている、斜め2つ前の席の、橘 翔太君だ。
――高校2年、僕、菅田 悠介は彼に恋をしている。
この気持ちは絶対に秘密である。
誰にも話していないし、誰にも気が付かれない。
知られちゃいけないんだ。
彼はモテるから普通に女性が好きで、何回か一緒にいる女性を見たことがあるから普通の恋愛を彼はしている。
モテるのを鼻にかけている訳でも無く、とっかえひっかえ遊ぶのでもなく、クールで芯があって、陽キャラのグループにいるけど、別に陰キャラのクラスメイトを馬鹿にしたりしない。
ただ少し気だるげに見えるから、スポーツをしているときはチームメイトに檄を飛ばされているのをよく見た。
方や僕は、片思いを拗らせて、童貞。
モサいほどモサくはないけど、身長が170cmで高くもないし、スポーツも得意ってほどでもないし、頭も良いってわけでもないし、イケメンでもない。
眼鏡をかけた陽キャラ、陰キャラの中間みたいな人。
僕は、女の子は可愛いと思う時もあるけど、やはり目が行ってしまうのは彼な訳で。
あまり僕は目立たないほうだから、男の人が好きだと気が付かれていない。
というか、男の人が好きなのではなく、好きな人が男の人だっただけだ。
多分みんなより違うところはここだと思う。
そんな彼への思いは日に日に大きくなってしまい、この気持ちを抑えられない時がある。
だから僕は日記を書き始めたのだが、それでも足りなくなって高校に入った時にスマホ買った瞬間、多感な時期と重なった僕はあんなことやこんなことの妄想を繰り広げた小説を書くようになった。
モデルはもちろん彼と、僕。
もちろんチョメチョメもしっかりしている。
小説だからね。
年齢も設定も変えられるし、ファンタジーにすれば合法ショタもできる訳だ。
でも、こんな事書いているなんて誰にも言えないし、知られたら人生の終わりだ。
良い意味でも悪い意味でも僕の世界は広がったんだ。
ゲイ、ホモと言われていたなんとなく忌み嫌われる、普通じゃない嫌悪感や拒否感をもって放たれる言葉に、BLをという新たな言葉が僕の辞書に入ってきた。
――あぁ、ジャンルなんだ、と。
この時から僕は一つ踏ん切りがついた。
嫌な意味を少し感じていた幼かった僕が、そういう考え方もあるねと多様性を一つ手に入れたんだ。
だから僕は、迷惑をかけないように、ひっそりとこの気持ちを文にすることにしたんだ。
別の僕として。
心に閉まっていて、今にも飛び出して行ってしまいそうなこの気持ちに形を持たせてあげられた。
本人には伝わらないけど、こんな僕も僕自身で少し許してあげられた気がした。
きっとあのまま、押し込めていたらこの気持ちは大きな大きな、ただの自己満足の禍々しい波となって僕をおかしくしただろう。
そして、橘君にも……。
僕の片思いは、お墓までもっていくんだ。
だって、男が男を好きなのって気持ち悪いでしょう?
僕もそう思う。
彼を見つめる視線は、熱い物かも知れない。
でも悟られてはいけない。
彼は女性を好きなのだから。
小説も結局は自己満足だ。
知られたらきっと不快にさせてしまうのは、わかっているから。
でも、最悪の事だけは絶対にしない。理想、妄想、現実、僕は全部ちゃんとわかっているから。
君に恋する一人として。
チャイムが授業終わりの知らせを告げてくれる。
一斉に教室内は騒がしくなり、先生も終わりの挨拶をそこそこに教室を出ていった。
彼を見ていた視線は、彼が動いたことで何もない外の風景を映した。
立ち上がった彼がこっちに来る。
同じクラスなのだから、近くにいるのは当たり前だけど、こう好きな人が近くに来るとドキドキしてしまう。
「おー。お昼行くぞー」
橘君が声をかけた。
僕の隣の人に。
そう。
僕と彼は特に仲良しではないんだ。
僕が彼を好きなだけ。
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