15 / 171
第一章 出会い
騒めき
しおりを挟む朝食を食べ終わると、ディグニは出発の準備をしに二階に向かう。
僕も行こうとしたが、ディグニに「お前は下で待っててくれ。」
と言われてしまった。下で待っていると苦しそうなハウが現れた。
「おはよう。」というハウの声はガラガラして聞こえづらい。
ハウはトイレに吸い込まれて行く。そこから聞きたくない音が漏れ出てくる。
リベは台所で溜息をついている。
大人になってお酒を飲んでも、絶対にああならないようにしようと決意した。
リベの手伝いをしようかなと思って台所の方を見たがすでにいなくなっていた。 下にいてもすることがないので、外に出て黒馬のところに向かう。
「おはよう。」
黒馬に挨拶をすると、
ヒヒーンと挨拶を返してくれているみたいに鳴いていた。
黒馬の頭を撫でながら僕は告げる。
「そうだ。君の名前決まったよ。
ディグニがきたら教えるから、それまで楽しみに待っててね。」
馬がペロペロ舐めてくる。早く教えてよ。
といいた気に。教えるまで止めそうにない。
「うわっ。わかった。わかったから。」
僕は仕方なく耳元で教えてあげる。黒馬は嬉しそうに頬擦りしてくる。
「気に入ってくれたみたいで嬉しいよ。」
そうやってじゃれているとディグニ小がやってくる。
「ここにいたか。探したぞ。なんか楽しそうだな。」
「名前が決まったから、教えてあげていたんだ。」
「おっ。名前決まったのか。俺にも教えてくれよ。」
僕はさっきのお返しをした。
「どうしようかな。さっき嘘を言ったからなぁ。」
ディグニは一瞬固まっていたが、何かを堪えるように謝ってくる。
「さっきはすまなかった。だから教えてくれよ。な。」
堪えているのが気になるが僕は教えてあげた。
「この子の名前は・・・”セフォン”だよ。」
勿体つけてそう告げた。
―――――――――――――――――
行く途中、多くの人に声をかけられる。もちろんディグニが。
昨日はセフォンが飛ばして走っていたのと人通りが少ないところを
通っていたためかそこまで気にはならなかった。ディグニの人気が伺えた。
「通るところ間違ったか。こんなに人がいるなんて。
それに傭兵の数が多い。妙だな。」
ディグニがそう呟く。
昨日の倍近く時間がかかって城に着く。城門にルトさんがいた。
「おはようございます。」
「おはようございます。何かあったんですか。街が騒々しくて。」
「ええ。ちょっと厄介なことがおきまして。
また後でお話しますので今は移動をお願いします。
ディグニ様は玉座に。ビス様は城の入り口でシェーン様がお待ちです。」
セフォンに一時のお別れを告げ、城へと進む。
入り口に着くとシェーンとペルフェットさんが待っていた。
「ごきげんよう。ビス、ディグニ。やっと来たわね。」
遅いことに怒っているのかシェーンは腕組みしながら仁王立ちしている。
言葉とポーズにギャップがありすぎる。
「遅くなってごめん。」
「あら、別に怒ってないわよ。時間は決めていなかったわけだし。」
どうやら怒ってはなかったらしい。あのポーズは癖なのだろうか。
「シェーン様はビス様が来られるのが待ち遠しくて
一時間も前からここにいらっしゃるんですよ。」
一時間も前から⁉ペルフェットさんからシェーンに視線を移すと、
すでに進行方向を向いていた。
「ほら、早く図書室行くわよ。」
本当に怒ってないか不安になる。そういえば人数が減っている。
「あれ、ディグニとルトさんは?」
「とっくに玉座に向かったわよ。」
いつの間に。足を止めているとシェーンはスタスタ足を進めていた。
慌てて後を追う。なんだか全体的に昨日より速い。
何かを考えないように慌ただしくしているような感じがする。
0
あなたにおすすめの小説
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【完結済】悪役令嬢の妹様
紫
ファンタジー
星守 真珠深(ほしもり ますみ)は社畜お局様街道をひた走る日本人女性。
そんな彼女が現在嵌っているのが『マジカルナイト・ミラクルドリーム』というベタな乙女ゲームに悪役令嬢として登場するアイシア・フォン・ラステリノーア公爵令嬢。
ぶっちゃけて言うと、ヒロイン、攻略対象共にどちらかと言えば嫌悪感しかない。しかし、何とかアイシアの断罪回避ルートはないものかと、探しに探してとうとう全ルート開き終えたのだが、全ては無駄な努力に終わってしまった。
やり場のない気持ちを抱え、気分転換にコンビニに行こうとしたら、気づけば悪楽令嬢アイシアの妹として転生していた。
―――アイシアお姉様は私が守る!
最推し悪役令嬢、アイシアお姉様の断罪回避転生ライフを今ここに開始する!
※長編版をご希望下さり、本当にありがとうございます<(_ _)>
既に書き終えた物な為、激しく拙いですが特に手直し他はしていません。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※小説家になろう様にも掲載させていただいています。
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる
みおな
恋愛
聖女。
女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。
本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。
愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。
記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる