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第三章 変化
最悪の事態
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「はあ、はあ。ふたりとも、冷静になりなさい。」
冷たいものが飛んできた方向に視線をやると空のバケツを持ったリベがいた。
おそらく、台所まで走ってバケツに水を汲み俺たちにぶっかけたのだろう。
奇しくも俺はそれで多少冷静さを取り戻すことができた。行き場のなくした拳を下げ元の位置に戻る。熱くなってしまった恥ずかしさから顔をあげることができない。
「すみません。」
この場は静寂に包まれた。しかし、それは一瞬だった。ドタドタと階段を誰かが降りてくる音がする。そして、何かすする音が聞こえる。そちらに視線を送ると目を腫らしたベルがこちらに向かってきていた。
「ううう。おかあさ~ん。怖いよ~」
ベルはリベに抱き着く。俺は嫌な予感がして2階へ急ぐ。リベも何か察したのか一歩遅れて俺の後を追ってくる。
「・・・わかってくれよ。お前たちに同じ思いをさせたくないんだよ。」
リベたちの部屋に行くと風が吹き込んでくる。
「くっ‼」
目蓋をあげるとそこには、辺り一面、ものが散りばめられた見るも無残な光景が広がっていた。どうやら遅かったみたいだ。
ベルの話を聞いた。だが、ベルから出てくる言葉は途切れ途切れで要領を得なかった。当たり前か、こんな現状を見て冷静でいられる人は少ないだろう。それにベルは・・・やめよう。しばらくしてベルも落ち着いてきて、なんとなく話の筋が見えてきた。
リベが部屋から出ていったあとベルは一人で遊んでいたら、窓からモルテが戻ってきたらしい。その時はいつものモルテでしばらく二人は遊んでいた。でも、下から声が聞こえてくる。それも大きくなってくるものだからモルテが様子を見に行った。
それでも、大きくなっていく声に怖くて早くモルテが来てくれることをベルは願っていた。扉が開く音がして安堵に包まれていたのも束の間戻ってきたモルテの表情は真っ赤に染まり、顔がぐしゃぐしゃでベルは恐怖に包まれる。
何もできず立ち尽くしていて、気付くと部屋は荒れていてモルテはいなくなっていた。リベに2階で待ってってねと言われたことを思い出したが、一人でいるのが怖くて一階に降りてきたみたいだ。そして今に至る。
モルテは俺とハウの言い合いを聞いていたらしい。
「大丈夫、大丈夫よ。ベル。」
リベは優しい声とは裏腹にこっちを睨みつけている。すみませんと謝るしか俺にはできなかった。リベはベルの耳を塞ぐように抱き締め俺にいってくる。
「ビス。やっぱりさっきのなしね。私もハウに賛成だわ。私は傭兵のことは何もわからない。でもね、さっきの感情に任せてハウに襲い掛かったあなた、そしてこの現状を作り出したモルテ。今旅立ってどうなるか私でもわかるわ。残念だけど諦めて。今のあなたにモルテを預けられないわ。頭を冷やしなさい。」
淡々と諭すような、それでいて力強い言葉。何も声が出なかった。というよりも出したくなかった。それだと認めるようで。その行為が一番それだとわかっていてもだ。無意識に唇を噛んでいた。
「っ。」
俺は何も言わずその場をあとにした。外に向かう途中、ハウの姿が視界に入ってきた。魂が抜けたように項垂れ座っている姿が。それを横目に俺は外に出た。
冷たいものが飛んできた方向に視線をやると空のバケツを持ったリベがいた。
おそらく、台所まで走ってバケツに水を汲み俺たちにぶっかけたのだろう。
奇しくも俺はそれで多少冷静さを取り戻すことができた。行き場のなくした拳を下げ元の位置に戻る。熱くなってしまった恥ずかしさから顔をあげることができない。
「すみません。」
この場は静寂に包まれた。しかし、それは一瞬だった。ドタドタと階段を誰かが降りてくる音がする。そして、何かすする音が聞こえる。そちらに視線を送ると目を腫らしたベルがこちらに向かってきていた。
「ううう。おかあさ~ん。怖いよ~」
ベルはリベに抱き着く。俺は嫌な予感がして2階へ急ぐ。リベも何か察したのか一歩遅れて俺の後を追ってくる。
「・・・わかってくれよ。お前たちに同じ思いをさせたくないんだよ。」
リベたちの部屋に行くと風が吹き込んでくる。
「くっ‼」
目蓋をあげるとそこには、辺り一面、ものが散りばめられた見るも無残な光景が広がっていた。どうやら遅かったみたいだ。
ベルの話を聞いた。だが、ベルから出てくる言葉は途切れ途切れで要領を得なかった。当たり前か、こんな現状を見て冷静でいられる人は少ないだろう。それにベルは・・・やめよう。しばらくしてベルも落ち着いてきて、なんとなく話の筋が見えてきた。
リベが部屋から出ていったあとベルは一人で遊んでいたら、窓からモルテが戻ってきたらしい。その時はいつものモルテでしばらく二人は遊んでいた。でも、下から声が聞こえてくる。それも大きくなってくるものだからモルテが様子を見に行った。
それでも、大きくなっていく声に怖くて早くモルテが来てくれることをベルは願っていた。扉が開く音がして安堵に包まれていたのも束の間戻ってきたモルテの表情は真っ赤に染まり、顔がぐしゃぐしゃでベルは恐怖に包まれる。
何もできず立ち尽くしていて、気付くと部屋は荒れていてモルテはいなくなっていた。リベに2階で待ってってねと言われたことを思い出したが、一人でいるのが怖くて一階に降りてきたみたいだ。そして今に至る。
モルテは俺とハウの言い合いを聞いていたらしい。
「大丈夫、大丈夫よ。ベル。」
リベは優しい声とは裏腹にこっちを睨みつけている。すみませんと謝るしか俺にはできなかった。リベはベルの耳を塞ぐように抱き締め俺にいってくる。
「ビス。やっぱりさっきのなしね。私もハウに賛成だわ。私は傭兵のことは何もわからない。でもね、さっきの感情に任せてハウに襲い掛かったあなた、そしてこの現状を作り出したモルテ。今旅立ってどうなるか私でもわかるわ。残念だけど諦めて。今のあなたにモルテを預けられないわ。頭を冷やしなさい。」
淡々と諭すような、それでいて力強い言葉。何も声が出なかった。というよりも出したくなかった。それだと認めるようで。その行為が一番それだとわかっていてもだ。無意識に唇を噛んでいた。
「っ。」
俺は何も言わずその場をあとにした。外に向かう途中、ハウの姿が視界に入ってきた。魂が抜けたように項垂れ座っている姿が。それを横目に俺は外に出た。
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