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第三章 変化
愚痴
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リベはポツポツゆっくりと話し始めた。
「モルテがさっき”ハウさんがしたように敵を目の前にして大声で逃げ回れば”って言ってたあれ理由があるのよ。私は実際に見たわけじゃないからわからないけど、その姿を見て逃げているように見えた人もいたのかもしれない。でも、あれはね、仲間のことを思ってのことだったのよ。」
それは俺もモルテはわかっていた。ただ、ここは黙って聞くべきだと思い何も言わない。それはモルテも一緒のようだ。
「最初この話を聞いた時私は何かあるとは思っていたけど。直接聞くことができなかった。ほら二人も知っての通りこの人”わからないなら、それでいい。わかる人にだけわかればいい”精神の人だから、何も話してくれないのよ。」
リベはこの期に日頃の鬱憤を吐き出している。ハウはそっぽを向いて何も反応しない。
「見かねたフロワが教えてくれたの。」
「あいつ余計なことを。」
何だか二人の口ぶりから昔からの知り合いのように感じる。ただ、今はそんなことよりもフロワがなぜそんなことをしたのか気になった。
「フロワはわかっている側の人間だった。最初フロワは”気にするな。私からとやかく言うつもりはないが、ハウは活躍していたぞ。”って言ってくれた。でも、それだけじゃ足りなかった。フロワは何か知っているような口ぶりだったから、しつこく問い詰めたら教えてくれたわ。多少言うのはためらっていたみたいだけど。」
あのフロワが口で負けるなんて。リベはどれだけしつこく問い詰めたのだろう。想像しただけで鳥肌がたった。
「衝撃的な内容だった。フロワはこう言ってたわ。」
”あいつはずっと町中駆けまわっていたんだよ。そして危ない仲間がいたら大声で叫んで敵の注意を引いていた。まあ、その敵たちを私やルトさんのところに連れてきてはまた駆けて行っていたがな。それが褒められたことかどうかは私には何とも言えないが、少なくともそれで助かった者は大勢いたはずだ。”
「私は驚いた。この人昔は我先に敵に向かうようなひとだったから。まあ、なんとなく変わったとは思っていたけど、ここまで変わっているとは思わなかったわ。こんなに裏方に徹するなんて。それも周りを気遣って。」
色々なところに驚きに感じた。俺もなんとなく予想をしていたが予想を遥かに超えている。俺は敵を引き付けてこっそり一人で倒しているのかと思った。そうではなく注意を引く役に徹していたというのだ。それも余裕のある仲間に敵を任せて。簡単そうに見えてなかなかできないと思う。それに俺がいったやり方では救える数が限られてしまう。ハウの行動はその時できた最善の策だっただろう。
「そういうことなら、言ってくれればいいのに、ねえモルテ。」
「本当ですよ。」
「ふん。そんなの自分で言うようなことじゃないだろう。それに俺は出来ることをやっただけだ。」
本当にハウがめった刺しになっている。何だか気の毒に思ったがたまにはいいだろうと思いそのままにした。
しばらくリベとモルテのハウへの愚痴合戦が続いていた。俺はみを縮こませこの場にいないように振る舞う。こっちに飛び火してくるのも怖いし、この場にいることが場違いなんじゃないかと思ったからだ。モルテも結構愚痴を言っていたが、やはりというかリベがすごかった。途中から愚痴というより暴露になっていてこれは俺が聞いていてもいいのかと思うほどのものだった。
「ああ、もうわかった。俺が悪かった。」
ハウはもう耐えられなくなったのか、白旗をあげていた。なるほどこんな風にフロワを追い詰めたのか。まあ、知ったところで真似できないが。
「ふふふっ。私の勝ち。」
そんな話しだっけと思いつつもやっと長く長く感じられた時間が終わりを告げた。
「モルテがさっき”ハウさんがしたように敵を目の前にして大声で逃げ回れば”って言ってたあれ理由があるのよ。私は実際に見たわけじゃないからわからないけど、その姿を見て逃げているように見えた人もいたのかもしれない。でも、あれはね、仲間のことを思ってのことだったのよ。」
それは俺もモルテはわかっていた。ただ、ここは黙って聞くべきだと思い何も言わない。それはモルテも一緒のようだ。
「最初この話を聞いた時私は何かあるとは思っていたけど。直接聞くことができなかった。ほら二人も知っての通りこの人”わからないなら、それでいい。わかる人にだけわかればいい”精神の人だから、何も話してくれないのよ。」
リベはこの期に日頃の鬱憤を吐き出している。ハウはそっぽを向いて何も反応しない。
「見かねたフロワが教えてくれたの。」
「あいつ余計なことを。」
何だか二人の口ぶりから昔からの知り合いのように感じる。ただ、今はそんなことよりもフロワがなぜそんなことをしたのか気になった。
「フロワはわかっている側の人間だった。最初フロワは”気にするな。私からとやかく言うつもりはないが、ハウは活躍していたぞ。”って言ってくれた。でも、それだけじゃ足りなかった。フロワは何か知っているような口ぶりだったから、しつこく問い詰めたら教えてくれたわ。多少言うのはためらっていたみたいだけど。」
あのフロワが口で負けるなんて。リベはどれだけしつこく問い詰めたのだろう。想像しただけで鳥肌がたった。
「衝撃的な内容だった。フロワはこう言ってたわ。」
”あいつはずっと町中駆けまわっていたんだよ。そして危ない仲間がいたら大声で叫んで敵の注意を引いていた。まあ、その敵たちを私やルトさんのところに連れてきてはまた駆けて行っていたがな。それが褒められたことかどうかは私には何とも言えないが、少なくともそれで助かった者は大勢いたはずだ。”
「私は驚いた。この人昔は我先に敵に向かうようなひとだったから。まあ、なんとなく変わったとは思っていたけど、ここまで変わっているとは思わなかったわ。こんなに裏方に徹するなんて。それも周りを気遣って。」
色々なところに驚きに感じた。俺もなんとなく予想をしていたが予想を遥かに超えている。俺は敵を引き付けてこっそり一人で倒しているのかと思った。そうではなく注意を引く役に徹していたというのだ。それも余裕のある仲間に敵を任せて。簡単そうに見えてなかなかできないと思う。それに俺がいったやり方では救える数が限られてしまう。ハウの行動はその時できた最善の策だっただろう。
「そういうことなら、言ってくれればいいのに、ねえモルテ。」
「本当ですよ。」
「ふん。そんなの自分で言うようなことじゃないだろう。それに俺は出来ることをやっただけだ。」
本当にハウがめった刺しになっている。何だか気の毒に思ったがたまにはいいだろうと思いそのままにした。
しばらくリベとモルテのハウへの愚痴合戦が続いていた。俺はみを縮こませこの場にいないように振る舞う。こっちに飛び火してくるのも怖いし、この場にいることが場違いなんじゃないかと思ったからだ。モルテも結構愚痴を言っていたが、やはりというかリベがすごかった。途中から愚痴というより暴露になっていてこれは俺が聞いていてもいいのかと思うほどのものだった。
「ああ、もうわかった。俺が悪かった。」
ハウはもう耐えられなくなったのか、白旗をあげていた。なるほどこんな風にフロワを追い詰めたのか。まあ、知ったところで真似できないが。
「ふふふっ。私の勝ち。」
そんな話しだっけと思いつつもやっと長く長く感じられた時間が終わりを告げた。
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