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第三章 変化
心臓に悪い時間
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そして今に至るのだ。シェーンのファッションショーが始まると思っていたのだが、シェーンのものはすでに決まっているようですでにいくつかかごに入っている。今は男性服を見ていた。
「シェリー。誰の服選んでるの?もしかしておう・・・お父さんの服選んでるとか。」
娘が服を選んでくれたと知ったらどんなに王様は喜ぶだろうか。そうであればあの王様からの威圧が少しは柔らかくなるはずだ。しかし、俺の考えは儚く散っていった。
「何言ってるのよ。ビスの服に決まってるじゃない。」
俺の服を選んでいるらしい。そんなこと知られれば間違いなく王様の威圧は強くなるだろう。それだけは避けたい。
「そうなんだ。あ、ありがとう。でも、お父さんの服も選んだ方がいいんじゃないかな。」
「嫌よ。ほらこれなんかいいんじゃない。」
その一言だけ吐き捨てた。どうやら逃げ道は絶対に知られないようにしなければならないその道だけらしい。
「うん。いいね。」
こんなにも感情が籠っていない声が出るものなのだな。初めて知ったよ。そんな事をしていると店のおば・・・お姉さんに話しかけられる。
「おや、ビス君。久しぶりだね。それにしてもこんな可愛い子連れてビス君も隅に置けないね。彼女さんかい?」
「あ、いえち・・・そうです。可愛いでしょ。自慢の彼女です。」
否定しようとしたら、シェーンに腕をつねられてしまった。横目に見えるシェーンは赤くなっているような気がするが気のせいだろうか。
「シェリーって言います。」
そう言って俺の腕に絡みついてきた。
「おやおや、ラブラブだね。・・・というかシェリーちゃんシェーン様に似てるって言われない?」
ヤバいバレたか。お姉さんはじっとシェーンの顔を見ている。
「そうですか?初めて言われました。でも、シェーン様に似てるだなんてお世辞でも嬉しいです。」
俺は今まで聞いたことないシェーンの声を聞いた。こんなに変わるものなのだろうか。しかしそれで乗り切れたようだ。
「嘘じゃないよ、本当に。本物かと思っちゃったわよ。まあ、本物がこんなところにいるはずないか。ハハハハ。邪魔者はとっとと退散するよ。何か用事があったら 呼んでね。奥にいるから。じゃあね。」
そう言ってお姉さんは去っていった。なんとか切り抜けられたらしい。シェーンの言った通り切り抜ける通り切り抜けることができた。
「はあ、心臓に悪い。こんなことが続くのか。」
「本当よ。心臓に悪いわ。」
シェーンも同じ気持ちだったらしい。シェーンの顔は横目で見えた時よりも赤くなっているように感じた。シェーンはこっちをじっと見つめてくる。
「はあ、ビスもうちょっと、柔らかい感じでいいわよ。・・・あんなのずるいわよ。」
何だかわからないが、ここは返事をしておいた方がいいだろう。
「わ、わかった。気をつける。」
「絶対わかってないわね。まあ、いいわ。私も耐えて見せるわ。」
シェーンは何か意気込んでいるが何のことだがさっぱりわからなかった。
買うものを決め終え支払いに向かおうとする。だが、シェーンに止められてしまう。
「ちょっと待って。私が払うわ。」
「いや、俺が払うよ。」
「じゃあ、ビスは私の分を払って。ビスの分は私が払うから。それでいいでしょ。」
それでいいのだろうか。考えているとすでにシェーンは店の奥に行ってしまった。
ここでの買い物を終え、店を出る時俺だけお姉さんに止められた。
「ビス君あんな可愛い彼女悲しませちゃ駄目よ。あとシェーン様にもよろしく言っといてね。ここの服気にいったようなら教えてね。そしたらいくつかプレゼントするから。」
何か怖いことを言っていないかこの人は。
「はははっ。何言ってるんですか。おば・・・お姉さん。ここで買い物したのはシェリーですよ。」
「あら、そうだったわね。私ったら、ボケたのかしら、嫌だわ~。シェリーちゃんによろしくね。・・・大丈夫よ。誰にも言わないから。」
そう言って奥へと去っていく。
「ははっはははっ。」
俺は笑いしか出てこなかった。俺はお姉さんの言葉を信じるしかない。それに縋るしかないのだ。そんな思いを抱え外に出た。
「遅かったわね。何かあったの?」
「いや、別に特には。しいて言うなら、俺の運命はお姉さんのみぞ知るってことぐらいかな。」
シェーンはジト目でこっちを見てくる。頭おかしくなったんじゃないのと言わんばかりに。
「何よ、それ。」
「何でもない。忘れてくれ。それよりも次行こう。」
「今度はどこ行くの?」
「そろそろお昼になりそうだし、ご飯にしようかなと思ってるんだけどいい?」
「そうね。お腹も空いてきたところだし。」
「じゃあ、決まり。ほら行くよ。」
俺はシェーンの手を取り歩き出す。なぜか急にシェーンの手が汗ばんできたような気がする。それに何か呟いている。
「だからそれを止めてって言ってるのに。心臓に悪いわ。」
「ん?何か言った?」
「何も言ってないわよ。もう。」
何もしていないのに怒られてしまった。お腹が空いて気が立っているのだろうか。まあ、次のところに着いたら機嫌を直してくれるだろう。
「シェリー。誰の服選んでるの?もしかしておう・・・お父さんの服選んでるとか。」
娘が服を選んでくれたと知ったらどんなに王様は喜ぶだろうか。そうであればあの王様からの威圧が少しは柔らかくなるはずだ。しかし、俺の考えは儚く散っていった。
「何言ってるのよ。ビスの服に決まってるじゃない。」
俺の服を選んでいるらしい。そんなこと知られれば間違いなく王様の威圧は強くなるだろう。それだけは避けたい。
「そうなんだ。あ、ありがとう。でも、お父さんの服も選んだ方がいいんじゃないかな。」
「嫌よ。ほらこれなんかいいんじゃない。」
その一言だけ吐き捨てた。どうやら逃げ道は絶対に知られないようにしなければならないその道だけらしい。
「うん。いいね。」
こんなにも感情が籠っていない声が出るものなのだな。初めて知ったよ。そんな事をしていると店のおば・・・お姉さんに話しかけられる。
「おや、ビス君。久しぶりだね。それにしてもこんな可愛い子連れてビス君も隅に置けないね。彼女さんかい?」
「あ、いえち・・・そうです。可愛いでしょ。自慢の彼女です。」
否定しようとしたら、シェーンに腕をつねられてしまった。横目に見えるシェーンは赤くなっているような気がするが気のせいだろうか。
「シェリーって言います。」
そう言って俺の腕に絡みついてきた。
「おやおや、ラブラブだね。・・・というかシェリーちゃんシェーン様に似てるって言われない?」
ヤバいバレたか。お姉さんはじっとシェーンの顔を見ている。
「そうですか?初めて言われました。でも、シェーン様に似てるだなんてお世辞でも嬉しいです。」
俺は今まで聞いたことないシェーンの声を聞いた。こんなに変わるものなのだろうか。しかしそれで乗り切れたようだ。
「嘘じゃないよ、本当に。本物かと思っちゃったわよ。まあ、本物がこんなところにいるはずないか。ハハハハ。邪魔者はとっとと退散するよ。何か用事があったら 呼んでね。奥にいるから。じゃあね。」
そう言ってお姉さんは去っていった。なんとか切り抜けられたらしい。シェーンの言った通り切り抜ける通り切り抜けることができた。
「はあ、心臓に悪い。こんなことが続くのか。」
「本当よ。心臓に悪いわ。」
シェーンも同じ気持ちだったらしい。シェーンの顔は横目で見えた時よりも赤くなっているように感じた。シェーンはこっちをじっと見つめてくる。
「はあ、ビスもうちょっと、柔らかい感じでいいわよ。・・・あんなのずるいわよ。」
何だかわからないが、ここは返事をしておいた方がいいだろう。
「わ、わかった。気をつける。」
「絶対わかってないわね。まあ、いいわ。私も耐えて見せるわ。」
シェーンは何か意気込んでいるが何のことだがさっぱりわからなかった。
買うものを決め終え支払いに向かおうとする。だが、シェーンに止められてしまう。
「ちょっと待って。私が払うわ。」
「いや、俺が払うよ。」
「じゃあ、ビスは私の分を払って。ビスの分は私が払うから。それでいいでしょ。」
それでいいのだろうか。考えているとすでにシェーンは店の奥に行ってしまった。
ここでの買い物を終え、店を出る時俺だけお姉さんに止められた。
「ビス君あんな可愛い彼女悲しませちゃ駄目よ。あとシェーン様にもよろしく言っといてね。ここの服気にいったようなら教えてね。そしたらいくつかプレゼントするから。」
何か怖いことを言っていないかこの人は。
「はははっ。何言ってるんですか。おば・・・お姉さん。ここで買い物したのはシェリーですよ。」
「あら、そうだったわね。私ったら、ボケたのかしら、嫌だわ~。シェリーちゃんによろしくね。・・・大丈夫よ。誰にも言わないから。」
そう言って奥へと去っていく。
「ははっはははっ。」
俺は笑いしか出てこなかった。俺はお姉さんの言葉を信じるしかない。それに縋るしかないのだ。そんな思いを抱え外に出た。
「遅かったわね。何かあったの?」
「いや、別に特には。しいて言うなら、俺の運命はお姉さんのみぞ知るってことぐらいかな。」
シェーンはジト目でこっちを見てくる。頭おかしくなったんじゃないのと言わんばかりに。
「何よ、それ。」
「何でもない。忘れてくれ。それよりも次行こう。」
「今度はどこ行くの?」
「そろそろお昼になりそうだし、ご飯にしようかなと思ってるんだけどいい?」
「そうね。お腹も空いてきたところだし。」
「じゃあ、決まり。ほら行くよ。」
俺はシェーンの手を取り歩き出す。なぜか急にシェーンの手が汗ばんできたような気がする。それに何か呟いている。
「だからそれを止めてって言ってるのに。心臓に悪いわ。」
「ん?何か言った?」
「何も言ってないわよ。もう。」
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