ヒレイスト物語

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第五章 旅立ち

止まる思考

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二人の様子を見終わり、自分の部屋へ向かう。そして、部屋の目の前まで来て違和感がする。足音がしないのに誰かの気配がするのだ。それをわざと出しているようにしか思えない


「メイユ、いつまでついてくる気だ?」


「バレましたか・・・いえ、ソエルさんのことを聞いたようにパヴィさんのことは聞かないのかなと思いまして、ここまでついてきたんです」


聞くも何もなんとなく思っていることは感じ取れるので、聞く必要はないのだが


「そうだったのか。部屋入るか?」


「ビスがそういうなら構いませんよ」


「別に深い意味はないからな」


「そうなんですか、残念です。ワタクシに魅力感じませんか?」


なんだか話が面倒くさい方に向かってしまう。まあ、その原因をつくったのは俺なんだが。なぜかそう言わなければいけない気がしたのだ。どう返そうか迷っているとあの大きな声が聞こえてくる


「おーい、ビス。ってメイユもいたのか、ちょうどいい、これ見てくれよ、めちゃくちゃ旨そうなの町で売っててよ、三人で食べないか・・・メイユ何でそんなゴミ虫を見る目でオレを見てくるんだよ。そんな目で見てくるんならとやらねえぞ」


確かにそんな目でアシオンを見ている。俺にとっては救世主がやってきた感じだ。それを精一杯目で表現してやろう


「ほら、ビス二人で食おうぜ。・・・てお前も何て目でオレを見てくるんだよ。目をキラキラ輝かせて、そんなに腹減ってたのか。そうかそうか、そりゃよかった、結構買ってきちまったからな。さっさと部屋のなかで食おうぜ」


アシオンは誤解している。まあ、それでもいいのだが。それにしても、あの時の不機嫌だったアシオンはどこにいったのやら。ただ、これは使えるな。食料を余分に持っていくか


「待ちなさい。ワタクシも一緒に食べますわ」


こんなにドタバタするのも今日までだと思うと感慨深いものがある。まあ、別の意味でドタバタしそうだが。今はそんなことは気にせず、楽しむことにしよう


「これ、もーらい」


「あっ‼それオレが食べようとしてたやつ。やりやがったな、ビス」


「いいだろ、まだあるんだから」


「アシオン、行儀が悪いわよ。ご飯を食べる時は立ち上がるんじゃないの」


「だってよ~、ビスのやつオレが狙ってたの食たんだぜ」


「悪かったって。ほら、これも美味しそうだぞ。とってやるよ」


「おっ、本当だ・・・そう言って食うんだろ?」


「・・・バレたか。まあ、食うんだけど」


「あーーー‼」


「アシオン、大声出さないでよ。うるさい、それに食べ物に唾がかかるわ、やめなさい」


「メイユ、何でオレばっかり注意するんだよ。ビスにも何か言ってくれよ・・・ってお前、一番多く食ってんじゃないか」



「あら、そんなことないわよ。それより、こっちに気を取られてたらビスに全部食べられるわよ」


「へっ⁉ノーーーー‼ああ、もういい。おれも食う」


「アシオンそんなにがっつくなよ」


「ふぉんなこぉとひぃって、オレの気を逸らす気だろう。ふぉのてにふぁかからふぁいぞ」


「しゃべるか食べるかどちらかにしなさい、アシオン」


「あっ、おいそれ俺の‼」


「くくくっ、仕返しだ」


「・・・アシオン私のも取ったわね」


「メイユ冷静に、な。食事中に立ち上がるのは行儀が悪いんだろ」


「ふぁんだ、ふぁんのか」


「あっぶねぇ、やめろ二人とも・・・まあ、いいか。食べ物非難させてあっちでゆっくり食べてこよう」


「そうはいきませんわよ、ビス」


「メイユ!?アシオンはどうした」


「そこに伸びてますわ」


「ははっ。これでゆっくり食べられるな・・・おい、なんで俺に拳を向けてる?」


「そのスイーツはワタクシのです」


「あ、これ・・・わ、わかった今置くからな。だからその拳を下げ、ぐあああああ」



「ふふふっ。ワタクシの勝ちです・・・何を争ってたんでしたっけ?」



「そりゃない、よ・・・」
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