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第五章 旅立ち
勘の正体
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プロウバの森をようやく抜け、今俺たちは近くにある町に立ち寄ることになった。野宿は嫌という声もあったのでこうなったわけだが
「ビスさん本当に大丈夫でしょうか?」
「ん?ああ、大丈夫だと思うぞ」
「・・・アシオンさんたちをそんなに信用していいんですか?僕はまだあの二人を信用できません。こんなこと思いたくないですけど、もしかしたら罠かもしれませんよ」
「かもな」
「“かもな”って⁉」
ソエルがいきなり大声をあげたことでみんなの意識がこちらに集中するような感じがした。ソエルの声はより一層小さいものになっていく
「すみません。でも、軽く考えすぎじゃないですよ」
「はははっ、すまん。別に軽く考えているわけじゃない。可能性は捨てきれないというだけだ、俺はその可能性は低いと思うがな」
「なぜです?」
「うーん、勘かな」
「ビスさんの勘なら信じますけど・・・それにしても、その」
「・・・それって逃げじゃないですかぁ?」
ソエルが何か言いかけたと思ったらパヴィが会話に入ってきた。いつの間にかパヴィも俺たちのそばに来ていたらしい、気が付かなかった。そう言われて考えてみると、すぐにはなにも浮かばなかった
「そう言われると、返す言葉がないな・・・そう、だな。あの二人は強い、それに二人ともそんな回りくどいことは嫌いとまではいかないにしても好きじゃないはずだ。二人ともそれは今までのなかでなんとなくわかるんじゃないか」
「まあ、アシオンさんの方はなんとなくはわかるような気がしますが、メイユさんの方は何とも」
「私もアシオンさんはわかりますがぁ、メイユさんはそこら辺まだよくわかりません~」
「はははっ、そのうちわかるさ」
「そうだといいんですけど」
「三人で何を話しているの?もしかしてワタクシの悪口じゃないでしょうね」
メイユが三人不自然に集まっているのが気になったのかこちらにやってきた。アシオンはそんなこと気にせず前だけ向いているが
「違いますぅ。それより今から向かうところメイユさんは御存じなんですか?」
「詳しくは聞いてませんが、どこに向かおうとしているところはわかりますよ。一番近いところはあそこですし。でも、それがどうかしたんですか?」
「ただ、どこに向かうか気になっていただけだよ」
「・・・そういうことですか」
「別にビスさんはあなたたちのことそんなに疑ってませんよぉ。疑っているのは私ですぅ」
「ちょ、パヴィ何言っているんです!?」
パヴィがぶっちゃけた。なぜ本当のことを言ったのかはわからない。ただ、ここで有耶無耶にしようが本当のことを言おうがメイユに引っかかりができるのは変わることはないだろう。
まあ、そんなことを抜きにしてもパヴィの“疑っている”は正常なことだ。その大きさは変わってくるだろうが、大なり小なり疑いは生じるはずだ。仮に他人のことをすべて信じることができる人がいるのならば、俺はその人が怖くて仕方ない。俺が信じられる立場であろうと第三者から見ていたとしても
「そうですか、別に構いませんよ。ワタクシもあなたのこと信用していませんから」
パヴィとメイユは見つめ合っていた。そこには何か火花が散っているような気がするのは気のせいだろうか・・・ふと頭に過ぎったことが当たりだとすれば、優しい子なのかもしれない。ただ、その優しさがどう影響するかなんてツァールはわかっているだろうに、人が悪すぎるよ本当
「二人ともそろそろやめろ」
「何をですか?」
「わからないですぅ」
これは逆に仲がいいのではないだろうかと思ってしまう。これなら大丈夫だろう。すでに先ほどのことを気にしている様子は見られない。それにしても、さっき感じたあの火花の散る音はなんだったのか。それにしても、なぜか二人が俺に近づいてきていると思うのは気のせいだろうか
「ビスさん本当に大丈夫でしょうか?」
「ん?ああ、大丈夫だと思うぞ」
「・・・アシオンさんたちをそんなに信用していいんですか?僕はまだあの二人を信用できません。こんなこと思いたくないですけど、もしかしたら罠かもしれませんよ」
「かもな」
「“かもな”って⁉」
ソエルがいきなり大声をあげたことでみんなの意識がこちらに集中するような感じがした。ソエルの声はより一層小さいものになっていく
「すみません。でも、軽く考えすぎじゃないですよ」
「はははっ、すまん。別に軽く考えているわけじゃない。可能性は捨てきれないというだけだ、俺はその可能性は低いと思うがな」
「なぜです?」
「うーん、勘かな」
「ビスさんの勘なら信じますけど・・・それにしても、その」
「・・・それって逃げじゃないですかぁ?」
ソエルが何か言いかけたと思ったらパヴィが会話に入ってきた。いつの間にかパヴィも俺たちのそばに来ていたらしい、気が付かなかった。そう言われて考えてみると、すぐにはなにも浮かばなかった
「そう言われると、返す言葉がないな・・・そう、だな。あの二人は強い、それに二人ともそんな回りくどいことは嫌いとまではいかないにしても好きじゃないはずだ。二人ともそれは今までのなかでなんとなくわかるんじゃないか」
「まあ、アシオンさんの方はなんとなくはわかるような気がしますが、メイユさんの方は何とも」
「私もアシオンさんはわかりますがぁ、メイユさんはそこら辺まだよくわかりません~」
「はははっ、そのうちわかるさ」
「そうだといいんですけど」
「三人で何を話しているの?もしかしてワタクシの悪口じゃないでしょうね」
メイユが三人不自然に集まっているのが気になったのかこちらにやってきた。アシオンはそんなこと気にせず前だけ向いているが
「違いますぅ。それより今から向かうところメイユさんは御存じなんですか?」
「詳しくは聞いてませんが、どこに向かおうとしているところはわかりますよ。一番近いところはあそこですし。でも、それがどうかしたんですか?」
「ただ、どこに向かうか気になっていただけだよ」
「・・・そういうことですか」
「別にビスさんはあなたたちのことそんなに疑ってませんよぉ。疑っているのは私ですぅ」
「ちょ、パヴィ何言っているんです!?」
パヴィがぶっちゃけた。なぜ本当のことを言ったのかはわからない。ただ、ここで有耶無耶にしようが本当のことを言おうがメイユに引っかかりができるのは変わることはないだろう。
まあ、そんなことを抜きにしてもパヴィの“疑っている”は正常なことだ。その大きさは変わってくるだろうが、大なり小なり疑いは生じるはずだ。仮に他人のことをすべて信じることができる人がいるのならば、俺はその人が怖くて仕方ない。俺が信じられる立場であろうと第三者から見ていたとしても
「そうですか、別に構いませんよ。ワタクシもあなたのこと信用していませんから」
パヴィとメイユは見つめ合っていた。そこには何か火花が散っているような気がするのは気のせいだろうか・・・ふと頭に過ぎったことが当たりだとすれば、優しい子なのかもしれない。ただ、その優しさがどう影響するかなんてツァールはわかっているだろうに、人が悪すぎるよ本当
「二人ともそろそろやめろ」
「何をですか?」
「わからないですぅ」
これは逆に仲がいいのではないだろうかと思ってしまう。これなら大丈夫だろう。すでに先ほどのことを気にしている様子は見られない。それにしても、さっき感じたあの火花の散る音はなんだったのか。それにしても、なぜか二人が俺に近づいてきていると思うのは気のせいだろうか
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