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第五章 旅立ち
右往左往
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リュミエの足止めによって俺たちは逃げおおせることができた。それでも、心のなかはモヤモヤと何かが渦巻きスッキリしない。そして、あのアシオンの言葉を思い出す
「これでよかったんですよね?」
「・・・ああ。それより、二人のところに向かうぞ。リュミエさんの言ったことが本当なら二人が危ない。ここからだとメイユのところが近いはずだ」
そんなことを言っていると、後ろから爆発音が聞こえてくる。あの間近で聞いた音よりも大きな音が
「ビスさん、戻ってくださいですぅ」
「ああ、そうだな」
「そっちじゃないですぅ。リュミエさんのもとに戻ってくださいぃ」
「何言ってるんだ?俺たちは・・・」
「つべこべ言ってないで戻って下さい。ソエルと二人でメイユさんたちの手助けをしてきますから」
パヴィの語尾の伸びていない言葉を初めて聞いた。それだけ真剣ということか
「・・・」
「今メイユさんたちのところに戻ったら、蜂の巣になりますよ。それに後悔しますぅ」
「そうですね、パヴィの言う通りです。ビスさんには後悔して欲しくありません。僕はいつも後悔しっぱなしですから」
ソエルはそう言いながら、パヴィのことを一瞥した。ただ、その視線をパヴィが見ることはなかった。ソエルの後悔にパヴィが関わっていることは今までのことでなんとなくわかってはいたが
「ソエルまで・・・わかった。ただ、お前たちも無理するなよ」
「はい」「はいぃ」
俺は二人の言葉に背中を押され、リュミエの元に駆けだした。もう遅いかもしれないとは思わないことにする。ソエルとパヴィの話が気になって仕方ない。これでは絶対に生き残って聞いてやらないといけないな
徐々に爆発音が多くなってくる。戦いが過激になっているのか、それとも、すでに時間稼ぎが終わり、リュミエも逃げおおせてラオダムがラルヘスセルスを取り出しにかかっているのかもしれない。どちらにせよ、急がねば
リュミエが逃げ仰せていたとしても俺はラオダムと戦うことを決意する。この里の象徴、大切なものを守るために。それにラルヘスセルスがどう作用するのかはわからないが、あいつにだけは渡してはいけないと体のなかで警告音が鳴っている。人が大切にしているものを奪うだけでなく悪用しようとするなど許してはダメだ
必ずあいつを倒し目論見を阻止しなくては。あともう少しまでの距離に辿り着き、爆発音と爆発自体も目で見ることができるようになった。ラオダムは絶対にそこにいる確信はある。いなくなっていたとしたら、爆発音もしないだろうし、ルミラクムも燃えてしまっているはずだ
爆発で傷ついているモノがいるのはわかっているが、皮肉にも爆発音があるということで無事だということがわかる。どんな状態になっていようとも。疲れのせいだけではない何かで重たくなってくる足を奮い立たせ俺は、目的地へと向かう。必死に藻掻き、藻掻いた先にある光のために、俺は戦うしかないのだ。誰かに言われたからじゃない、ましてや誰かのためじゃない。自分自身のために
「これでよかったんですよね?」
「・・・ああ。それより、二人のところに向かうぞ。リュミエさんの言ったことが本当なら二人が危ない。ここからだとメイユのところが近いはずだ」
そんなことを言っていると、後ろから爆発音が聞こえてくる。あの間近で聞いた音よりも大きな音が
「ビスさん、戻ってくださいですぅ」
「ああ、そうだな」
「そっちじゃないですぅ。リュミエさんのもとに戻ってくださいぃ」
「何言ってるんだ?俺たちは・・・」
「つべこべ言ってないで戻って下さい。ソエルと二人でメイユさんたちの手助けをしてきますから」
パヴィの語尾の伸びていない言葉を初めて聞いた。それだけ真剣ということか
「・・・」
「今メイユさんたちのところに戻ったら、蜂の巣になりますよ。それに後悔しますぅ」
「そうですね、パヴィの言う通りです。ビスさんには後悔して欲しくありません。僕はいつも後悔しっぱなしですから」
ソエルはそう言いながら、パヴィのことを一瞥した。ただ、その視線をパヴィが見ることはなかった。ソエルの後悔にパヴィが関わっていることは今までのことでなんとなくわかってはいたが
「ソエルまで・・・わかった。ただ、お前たちも無理するなよ」
「はい」「はいぃ」
俺は二人の言葉に背中を押され、リュミエの元に駆けだした。もう遅いかもしれないとは思わないことにする。ソエルとパヴィの話が気になって仕方ない。これでは絶対に生き残って聞いてやらないといけないな
徐々に爆発音が多くなってくる。戦いが過激になっているのか、それとも、すでに時間稼ぎが終わり、リュミエも逃げおおせてラオダムがラルヘスセルスを取り出しにかかっているのかもしれない。どちらにせよ、急がねば
リュミエが逃げ仰せていたとしても俺はラオダムと戦うことを決意する。この里の象徴、大切なものを守るために。それにラルヘスセルスがどう作用するのかはわからないが、あいつにだけは渡してはいけないと体のなかで警告音が鳴っている。人が大切にしているものを奪うだけでなく悪用しようとするなど許してはダメだ
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