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第五章 旅立ち
真と嘘
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声の主ははっきりとは見えないが、誰が来たのかわかってしまう。あのシルエット、あのオーラ、タドだ。わかりたくもないのにわかってしまった。ただ、タド以外にもう一人何もない空間から現れた。タドよりも遥かに強者のオーラを放ちあのタドですら見劣りしている。そいつは、ラオダムの魔法を一瞬で消し去った。そして、重厚感のある声が聞こえてくる
「ラオダム、ここで何をやっておる」
「これはこれは、・・・様。何と言われましても吾輩はただ献上品を手に入れようとしていただけでございます」
「そうであったか。だが私はあのようなものはいらん。帰るぞ」
声の主はラオダムに背を向け、この空間から抜け出そうとしている。それを待っていたと言わんばかりにラオダムは襲い掛かる
「隙を見せるなど老いたか。この老いぼれがあああ‼”プティオランス”」
「“ルシクル”隙を見せたのはあなたの方です。私のことをお忘れですか?」
「くっ」
ラオダムの攻撃は寸でのところで止まっている。タドの魔法で動きが止まったのだ
「あなたは少々やり過ぎたようです。王はお怒りです、それがわからないのですか?」
「わかって、おるから攻撃したのだ。帰ったら、どうなる、か。それより、吾輩の、動きを、止めるとは・・・揃って忌々しい」
「タド。遊んでないでそいつを担いで帰るぞ」
「申し訳ありません。私は挨拶をしないといけない相手がいますので先に帰っていてください」
「お前は・・・すぐに帰ってこい。それと一つ伝言を頼む」
こちらを一瞥したように感じられたが、すぐに視線をタドに戻していた。ここからはしっかりと見えないはずの目からあの方と同じ強い光が見えた
「”王”の命とあらば」
王と呼ばれた奴は、ラオダムを担ぎ穴の開いた空間に消えていった。そしてタドはというとこっちに向ってくる
「久しぶりだな、ビス」
「こっちは会いたくなかったよ」
「そんなことを言うな・・・今回の件はこちらの不手際だった、申し訳ない」
あのタドが俺に向い頭を下げ謝ってきた。正直気が狂う。それに謝られたところで、ここで亡くなった人は帰って来ない、この自然にあふれたエルフの里が帰ってくることはない
「・・・ふざけるな‼そんなことをして許されることか。そんなことより俺を殺さなくていいのか、」
タドにあたったところで虚しいだけなのはわかっていた。それでも、当たらずにはいられなかったのだ
「・・・今殺したところでつまらないではないですか」
今までのタドに戻った。こっちの方がしっくりくる。あんなしおらしいタドなど見ていないと記憶の中から消し去った
「ああ、そうそう。リュミエさん、あなたに王から言伝です・・・」
俺に聞こえないように、タドはリュミエの耳元で話している。そして、伝え終わったのかリュミエから離れた
「・・・承知しました」
「しっかりと伝えましたよ。それでは私はこれで・・・ああ、それとビスのお仲間と敵対っしていた奴らも回収済みですのでご安心を」
そう言うとタドは穴の開いた空間へと向かっていく。タドは隙を見せている。おそらくわざとだろう。ただ、俺はラオダムの様に襲い掛かることはしなかった。おいかけることも。今の俺では隙を見せているものにすら勝てないと頭のなかでわかっていたから。そして、タドは消えていった。こうして後味の悪い形で幕が下りた。助けられてしまった、それも一番助けられたくない奴に
「ラオダム、ここで何をやっておる」
「これはこれは、・・・様。何と言われましても吾輩はただ献上品を手に入れようとしていただけでございます」
「そうであったか。だが私はあのようなものはいらん。帰るぞ」
声の主はラオダムに背を向け、この空間から抜け出そうとしている。それを待っていたと言わんばかりにラオダムは襲い掛かる
「隙を見せるなど老いたか。この老いぼれがあああ‼”プティオランス”」
「“ルシクル”隙を見せたのはあなたの方です。私のことをお忘れですか?」
「くっ」
ラオダムの攻撃は寸でのところで止まっている。タドの魔法で動きが止まったのだ
「あなたは少々やり過ぎたようです。王はお怒りです、それがわからないのですか?」
「わかって、おるから攻撃したのだ。帰ったら、どうなる、か。それより、吾輩の、動きを、止めるとは・・・揃って忌々しい」
「タド。遊んでないでそいつを担いで帰るぞ」
「申し訳ありません。私は挨拶をしないといけない相手がいますので先に帰っていてください」
「お前は・・・すぐに帰ってこい。それと一つ伝言を頼む」
こちらを一瞥したように感じられたが、すぐに視線をタドに戻していた。ここからはしっかりと見えないはずの目からあの方と同じ強い光が見えた
「”王”の命とあらば」
王と呼ばれた奴は、ラオダムを担ぎ穴の開いた空間に消えていった。そしてタドはというとこっちに向ってくる
「久しぶりだな、ビス」
「こっちは会いたくなかったよ」
「そんなことを言うな・・・今回の件はこちらの不手際だった、申し訳ない」
あのタドが俺に向い頭を下げ謝ってきた。正直気が狂う。それに謝られたところで、ここで亡くなった人は帰って来ない、この自然にあふれたエルフの里が帰ってくることはない
「・・・ふざけるな‼そんなことをして許されることか。そんなことより俺を殺さなくていいのか、」
タドにあたったところで虚しいだけなのはわかっていた。それでも、当たらずにはいられなかったのだ
「・・・今殺したところでつまらないではないですか」
今までのタドに戻った。こっちの方がしっくりくる。あんなしおらしいタドなど見ていないと記憶の中から消し去った
「ああ、そうそう。リュミエさん、あなたに王から言伝です・・・」
俺に聞こえないように、タドはリュミエの耳元で話している。そして、伝え終わったのかリュミエから離れた
「・・・承知しました」
「しっかりと伝えましたよ。それでは私はこれで・・・ああ、それとビスのお仲間と敵対っしていた奴らも回収済みですのでご安心を」
そう言うとタドは穴の開いた空間へと向かっていく。タドは隙を見せている。おそらくわざとだろう。ただ、俺はラオダムの様に襲い掛かることはしなかった。おいかけることも。今の俺では隙を見せているものにすら勝てないと頭のなかでわかっていたから。そして、タドは消えていった。こうして後味の悪い形で幕が下りた。助けられてしまった、それも一番助けられたくない奴に
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