167 / 171
第五章 旅立ち
吸い込みと吐き出し
しおりを挟む
今俺たちは、ルミラクムの前に来ている。二日経ち、ここの周辺は直りつつあった。まあ、まだ戦いの傷跡は生々しく残っているが。エルフたちは他の場所よりもここを真っ先に直し始めたのだ。魔法で体が直っているとは言っても、家族、恋人、友人が亡くなり心に傷がついているはずなのに、何事もなかったかのように振る舞いながら。そして、二日経ちやっと亡くなった人たちの弔いを行っている
「地に帰り、生命の糧とならんことを。そして芽吹き給え、美しき生命よ」
俺たちが残った理由は、少しでも復興の手伝いをし、亡くなった人達の弔いをすること。俺もそれを望んだが一番望んだのはソエルだった。それを反対する者は仲間のなかには誰一人いなかった。そう、仲間のなかには・・・レスプケやサジュたちは俺たちに早く去って欲しいようだった
別に俺たちに負の感情を向けているわけではなく、逆にこれ以上迷惑をかけられないとこの里から出ることを促された。ただ、俺が”戦いの傷を癒すために少しの間滞在させてください”と言うとそれ以上何も言い返してこなかった
いや言い返せなかったのだろう。その理由なんて簡単にわかる、だからその言葉を発したのだから。それにここに滞在したい理由はそれだけではない。時間が必要だと思ったからだ、答えを出す時間が。ただ、それはもう必要ないことがそいつの目を見てわかった。そろそろ出発するか
「ふぁぁ」
「アシオン、欠伸をするものじゃないわ」
「わりぃ、昨日ちょっと張り切り過ぎてな、寝不足で」
何だか誤解の生みそうな言いぐさだが、別に変な意味はないのだろう。昨日アシオンは遅くまで里の整備を行っていたのだから。だからと言って欠伸をしていい理由にはならないのだが
「俺もしたくてしてるわけじゃないぞ。ふぁぁぁ」
「はあ、もういいわ」
こちらに気付いたのかサジュがアシオンを見て何かを訴えかけている。”お静かにお願いします”と言わんばかりに睨みつけていた。後でお説教じみたものがあるに違いない。まあ、これに関してはアシオンが悪いのでどうしようもない
当の本人はそれに気づいてないようだ。それにしても、こういうことに一番噛み付いてきそうなソエルが何も言わずに黙っている。悲しみにくれているのか、それともアシオンの働きを認めてのことか。いや目を閉じ、弔うことに集中してそれどころではないのだろう。ソエルが一瞬こちらを見た気がする、後が怖いな、この式が終わったらお説教が始まりそうだ。二人からの説教長くなりそうだな。まあ、そうなったら俺はしれっと席をはずそう
「地に帰り、生命の糧とならんことを。そして芽吹き給え、美しき生命よ」
俺たちが残った理由は、少しでも復興の手伝いをし、亡くなった人達の弔いをすること。俺もそれを望んだが一番望んだのはソエルだった。それを反対する者は仲間のなかには誰一人いなかった。そう、仲間のなかには・・・レスプケやサジュたちは俺たちに早く去って欲しいようだった
別に俺たちに負の感情を向けているわけではなく、逆にこれ以上迷惑をかけられないとこの里から出ることを促された。ただ、俺が”戦いの傷を癒すために少しの間滞在させてください”と言うとそれ以上何も言い返してこなかった
いや言い返せなかったのだろう。その理由なんて簡単にわかる、だからその言葉を発したのだから。それにここに滞在したい理由はそれだけではない。時間が必要だと思ったからだ、答えを出す時間が。ただ、それはもう必要ないことがそいつの目を見てわかった。そろそろ出発するか
「ふぁぁ」
「アシオン、欠伸をするものじゃないわ」
「わりぃ、昨日ちょっと張り切り過ぎてな、寝不足で」
何だか誤解の生みそうな言いぐさだが、別に変な意味はないのだろう。昨日アシオンは遅くまで里の整備を行っていたのだから。だからと言って欠伸をしていい理由にはならないのだが
「俺もしたくてしてるわけじゃないぞ。ふぁぁぁ」
「はあ、もういいわ」
こちらに気付いたのかサジュがアシオンを見て何かを訴えかけている。”お静かにお願いします”と言わんばかりに睨みつけていた。後でお説教じみたものがあるに違いない。まあ、これに関してはアシオンが悪いのでどうしようもない
当の本人はそれに気づいてないようだ。それにしても、こういうことに一番噛み付いてきそうなソエルが何も言わずに黙っている。悲しみにくれているのか、それともアシオンの働きを認めてのことか。いや目を閉じ、弔うことに集中してそれどころではないのだろう。ソエルが一瞬こちらを見た気がする、後が怖いな、この式が終わったらお説教が始まりそうだ。二人からの説教長くなりそうだな。まあ、そうなったら俺はしれっと席をはずそう
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【完結済】悪役令嬢の妹様
紫
ファンタジー
星守 真珠深(ほしもり ますみ)は社畜お局様街道をひた走る日本人女性。
そんな彼女が現在嵌っているのが『マジカルナイト・ミラクルドリーム』というベタな乙女ゲームに悪役令嬢として登場するアイシア・フォン・ラステリノーア公爵令嬢。
ぶっちゃけて言うと、ヒロイン、攻略対象共にどちらかと言えば嫌悪感しかない。しかし、何とかアイシアの断罪回避ルートはないものかと、探しに探してとうとう全ルート開き終えたのだが、全ては無駄な努力に終わってしまった。
やり場のない気持ちを抱え、気分転換にコンビニに行こうとしたら、気づけば悪楽令嬢アイシアの妹として転生していた。
―――アイシアお姉様は私が守る!
最推し悪役令嬢、アイシアお姉様の断罪回避転生ライフを今ここに開始する!
※長編版をご希望下さり、本当にありがとうございます<(_ _)>
既に書き終えた物な為、激しく拙いですが特に手直し他はしていません。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※小説家になろう様にも掲載させていただいています。
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる