アナスタシス・フルム

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第1章 初めてのダンジョン

騒がしさは続く

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振り返るとそこには同い年ぐらいの女の子がいた。
しかし、何で俺の名前知ってるんだ。


「誰だっけ?」


「ほら、同じクラスだったディタ・グラセだよ。忘れたの?」


レクスが教えてくれる。そういえば見覚えがあるような。
あのポニーテールの髪の毛。それにこの声。先生に花束を渡してたやつか。


「ああ、あいつか。」


「”ああ、あいつか”じゃないわよ。クラスメイトの名前と顔すら覚えてないの?
はあ、あなたは相変わらずね。」


「そりゃどうも。」


「褒めてないわよ。」


確かにこんな奴もいた。それにこいつは何かと俺に食って掛かってきた。
俺は何もしていないのに。クラスでは2番目ぐらいには覚えている方だと思う。


「まあ、いいわ。それよりあなたダンジョンいくつ攻略したの?」


「まだ、ひとつも。」


ディタは勝ち誇った顔をしている。


「まだ攻略していないの?遅いわね。私たちはもう3つも攻略したわよ。」


辺りを見渡すと、何人か側でたむろしていた。それにあのお調子者もいた。
おそらく噂になっていたのはこいつらのことなんだろう。


「へぇ。そうなんだ。すごいな。」


「何よ。その気持ちの籠っていない言葉は。」


いや、俺は普通に言ったつもりなんだけどな。
そういう風に聞こえたか。気に食わなかったらしい。


「それにしてもあのダンジョンに挑もうとしている人が、まだ一つもダンジョン攻略していないなんてね。あのダンジョンなんて夢のまた夢ね。」


馬鹿にしているような、それでいて残念がるような声。
ただ、俺はその言葉自体にイラついた。


「おい。それ以上言ったらただじゃおかないからな。」


自分でも驚くほどにドスの効いた声が出していた。
よっぽどさっきの言葉に腹が立ったらしい。自然と言葉を発していた。


「な、何よ。」


ディタは俺の声にたじろいでいる。
さっきまでの威勢はなんだったのかと思うほどだ。
面倒臭いし、この空気を変えるか。指を空中に滑らす。


「フウァール」


はあ、風が気持ちいい。色々なものが舞い始める。そう、色々なものが。
俺は視線を下に向ける。砂埃が目に入るとまずいからね。


「キャー‼あんた何するのよ‼」


「あっ。縞々だ。見てよ、ロガ。縞々だよ。」


ふむ、縞々か、これも悪くない。
風も止み顔をあげると、顔を真っ赤にして歯を食いしばっているディタの姿があった。


「んんんんっ。」


何だか俺を殴らんばかりにこっちを睨みつけ近づいてくる。
すると、別の者の声が聞こえてくる。


「おい、何遊んでるんだよ。そろそろ行くぞ。」


あのお調子者がディタを呼んでいたのだ。寸でのところでディタは振り返って答えた。どうやらあの拳の餌食にならずに済んだみたい。


「はっ。・・・う、うん。今行く。」


こいつらの力関係は明らかだった。ディタはこちらに視線を戻す。
表情がコロコロ変わるやつだな。



「ふん。あんたなんか一生ダンジョン攻略できないわよ。ベーだ。」



捨て台詞を履いてあいつらの元に戻っていった。
はあ、何なんだよ、あいつ。俺のこと嫌いなら話かけなければいいのに。
面倒臭いやつだな。




嵐が去ったみたいに辺りは静けさに包まれている。
まあ、小雨程度の音は聞こえてくるが。


「ロガ、大丈夫?」


「何が?それよりダンジョンに向かうぞ。はやく行かないと日が暮れちまう。」


ただ、あいつらが言った方向が気になる。
同じダンジョンを挑むことにならなければいいが。
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