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第4章 得たものとモノ
バカ面にバカ面
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俺たちはまだ町はずれにいた。そして、俺の頭の上にはタワーが出来上がっている。厳密にいえば俺ではなくレクスの頭の上なのだが。
「ううう、ディタひどいよ。ここまでしなくたっていいじゃないか」
「ふん、何のことだか私にはわからないわ」
ここまでしておいてすっとぼけるとは肝が据わっているというかなんというか。まあ、こちらに降りかかることは避けたいので俺もすっとぼけるのだが。
「そんなことより、新しい魔法試さないか?」
「あー、そのことなんだけど私もう試しちゃったのよね」
そう言えば昨日レクスがそんなこと言っていたような気がする。それが原因で前も追いかけまわされていたけど。
「そういえば、レクスがそんなこと言ってたな。もしかして、攻撃魔法じゃなかったとか?」
ディタの眉毛がピクンと一跳ねした。そしてディタは俺の上の方を睨めつけていた。何だか頭がすごく左右に揺れるのだが気のせいだろうか。
「いえ、その攻撃魔法だったわ」
「そうか、そりゃよかったな。後で俺にも見せてくれよ。・・・ん?それじゃあなんでレクスは」
そう言いかけた時俺の頭からヌッと手が飛び出てきた。
「んん!?なひぃすんはぁよ、ふぇくす!?」
「はははっ。なんでだろ、それ以上ロガがなんか言ったらボクの頭は雲まで届きそうな気がする」
「あら、残念。見て見たかったわね、空まで届くところ」
俺は無理矢理レクスの手を退けた。
「あっ、ロガ」
「言わねぇよ」
まあ、俺もレクスの頭が空まで届くところが見て見たい気持ちはあったが、何分そうなると俺の首が持ちそうもないので諦めた。俺は立ち上がり、ディタたちから離れた。
「じゃあ、魔法試しますか」
レクスはすでに本の姿になり、手に入れた魔法のところを開いていた。あのたんこぶはどこにいったのやら、と不思議に思いつつも、魔法を読む。そこには“姿を晦まし給え リオートカリマ”と書いてある。どう読んでも攻撃魔法ではないことはわかる。俺は武器を構え魔法を書く。
「まあ、試してみるしかないか。“リオートカリマ”‼」
・・・何も変わっていない気がする。微かに周りが冷えている気がしたが、それ以上でもそれ以下でもない。唯一目に見えて変わったとわかるのは、目の前にあるディタの顔だ。目をまん丸にし、口も馬鹿みたいにあんぐり開けている。その顔で驚きのことを言ってくる。
「ロガ!?どこ行ったの⁉」
「何馬鹿なこと言ってんだよ。目の前にいるだろ」
「うわ、声だけ聞こえてくる。気持ち悪いわね」
散々な言いぐさだ。俺の姿は本当に見えていないのだろうか。俺自身では確認することができない。ちょっと試してみるか、ディタの方に近寄る。
「あっ、いた・・・あんた何してんの?」
「へ?見えてないんじゃなかったのか?」
「見えていなかったけど、今あんたを確認できたわ。あんたのバカ面をね‼」
バチーン‼
「いってーー‼」
「ううう、ディタひどいよ。ここまでしなくたっていいじゃないか」
「ふん、何のことだか私にはわからないわ」
ここまでしておいてすっとぼけるとは肝が据わっているというかなんというか。まあ、こちらに降りかかることは避けたいので俺もすっとぼけるのだが。
「そんなことより、新しい魔法試さないか?」
「あー、そのことなんだけど私もう試しちゃったのよね」
そう言えば昨日レクスがそんなこと言っていたような気がする。それが原因で前も追いかけまわされていたけど。
「そういえば、レクスがそんなこと言ってたな。もしかして、攻撃魔法じゃなかったとか?」
ディタの眉毛がピクンと一跳ねした。そしてディタは俺の上の方を睨めつけていた。何だか頭がすごく左右に揺れるのだが気のせいだろうか。
「いえ、その攻撃魔法だったわ」
「そうか、そりゃよかったな。後で俺にも見せてくれよ。・・・ん?それじゃあなんでレクスは」
そう言いかけた時俺の頭からヌッと手が飛び出てきた。
「んん!?なひぃすんはぁよ、ふぇくす!?」
「はははっ。なんでだろ、それ以上ロガがなんか言ったらボクの頭は雲まで届きそうな気がする」
「あら、残念。見て見たかったわね、空まで届くところ」
俺は無理矢理レクスの手を退けた。
「あっ、ロガ」
「言わねぇよ」
まあ、俺もレクスの頭が空まで届くところが見て見たい気持ちはあったが、何分そうなると俺の首が持ちそうもないので諦めた。俺は立ち上がり、ディタたちから離れた。
「じゃあ、魔法試しますか」
レクスはすでに本の姿になり、手に入れた魔法のところを開いていた。あのたんこぶはどこにいったのやら、と不思議に思いつつも、魔法を読む。そこには“姿を晦まし給え リオートカリマ”と書いてある。どう読んでも攻撃魔法ではないことはわかる。俺は武器を構え魔法を書く。
「まあ、試してみるしかないか。“リオートカリマ”‼」
・・・何も変わっていない気がする。微かに周りが冷えている気がしたが、それ以上でもそれ以下でもない。唯一目に見えて変わったとわかるのは、目の前にあるディタの顔だ。目をまん丸にし、口も馬鹿みたいにあんぐり開けている。その顔で驚きのことを言ってくる。
「ロガ!?どこ行ったの⁉」
「何馬鹿なこと言ってんだよ。目の前にいるだろ」
「うわ、声だけ聞こえてくる。気持ち悪いわね」
散々な言いぐさだ。俺の姿は本当に見えていないのだろうか。俺自身では確認することができない。ちょっと試してみるか、ディタの方に近寄る。
「あっ、いた・・・あんた何してんの?」
「へ?見えてないんじゃなかったのか?」
「見えていなかったけど、今あんたを確認できたわ。あんたのバカ面をね‼」
バチーン‼
「いってーー‼」
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